こんにちは。 Akimaru です。
私が勤務するのは小さな町工場で、普段は金属部品加工をしています。
町工場にも今、求人難という時代の波が押し寄せてきているので、なかなか人材集めには苦労します。
今までの町工場の条件で求人募集を出しても応募数ゼロは当たり前です。
人を入れたけりゃ基本給をアップするか、完全週休二日制に福利厚生の充実、ボーナスは2か月分支給みたいないかなりの厚遇くらいやらないとダメな場合もあります。
それでも、若い人はなかなか募集してくれず、来るのは40代、50代が圧倒的に多いですね。
しかし、誰も応募してくれないままいけば、間違いなく会社は縮小して潰れてしまいます。
弊社も少人数でここ10年くらい同じメンバーでやってきましたが、流石にそろそろ新しい人を入れないといけないという局面にぶち当たりまして、何とかこの 6月に機械加工スタッフとして新入社員を1人追加することができました。
新入社員さんもまだ入ったばかりで仕事に慣れることからスタートですが、町工場の機械加工に従事する人にも守破離(しゅ・は・り)が大事であるということをプライベートの友人と食事をしている時に思い返したので忘備録として書いておこうかと思いました。
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守破離は日本の伝統の教訓
守破離は「しゅはり」と読み、日本の武芸の世界では有名ですが「師弟関係とはこういうものだ」というのを表した言葉です。
特定の技術において個人の能力・スキルを上達させるためのステップを表現したものです。
弊社のような町工場でも機械加工に従事するには加工技術の向上が必要です。
それは、加工の基礎の上に積み上げられていくものであって、どんなに機械が進化して多様なことができたとしても、加工するという本質に変わりはないからです。
その技術の向上には守破離が欠かせないのです。
守(しゅ):師匠や先輩に言われたことを守ってやり遂げること
まず、ゼロの状態からスタートした場合、会社の先輩や師匠と呼べる人の言うことを忠実に守って実行することが大事です。
師匠や先輩の言うことが、仮に間違っていたとしてもとにかく守ります。
間違っているのに守って大丈夫か?
そんな心配をするほど新人にスキルは備わっていないのです。
ただただ言われたことだけは 100% 忠実に守って実行してみせないといけない。
破(は):師匠や先輩が言うことに自分なりのアレンジを加えていく
言われたことは一通りできるようになったら、人が成長するためには次のステップとして自分なりのアレンジを試し、加えていくことです。
師匠はこう言っていたけど、こうやったらもっと良いのではないか?
という思考を持てるようにするのが「破(は)」の状態です。
言われたこと全てをひっくり返して否定してはいけませんが、局所的にアレンジを加えることができるようになれば1ステップ上がったことになる。
見方を変えれば、アレンジを加えることができるということは、それだけ自分で独自学習をしているからこそ行えることです。
技術の向上は言われたことを守るだけではなく、与えられた枠を少し破ることから始まるとも言えます。
町工場の機械加工スタッフの新人さんにありがちなのは、この「破(は)」の状態にいかずに、ず~っと師匠や先輩の言う通りにしか動かないことです。
決まった時間に決まったことだけをやって終わり。
悪く言えば向上心がないということ。
意見を聞くところによれば、何故向上心をもって自己学習をしないのか?というと、結局、そのスキルアップの結果として見返りが求められないからという理由があるようです。
確かに、会社によっては出来ることが増えても給料が上がらない、待遇がよくなるわけでもないという場合もあるかもしれません。
これはちょっと会社として考えないといけないと同時に、従業員としても訴えていくべきことだと思います。
離:師匠や先輩から離れて自分独自の技術の確立
言われた事を守ってやり抜き、少しずつ内容が分かるようになるとアレンジを加えてみるようになる。
そして、これはイケル!となれば、そこから独自の方法や流儀の確立へと進めることが出来る。
独り立ちですね。
独り立ちをすると、今度は先の新しいことすべてを自分で学習し習得し活用しなければなりません。
完全に自分の責任次第になります。
町工場の機械加工スタッフに必要な守破離
町工場の機械加工スタッフとして働く時、機械の動かし方よりも大事なことは機械加工のノウハウですよね。
工具の選別、金属切削の諸条件、加工手順など。
それらは、「こうやって、ああやって・・・」ということを教えてもらう中で身につけていきます。
1つ1つの細かい手法を教科書を読むように机に座って教えてもらうのではなく、ほとんどは現場で実際に作業をしながら覚えます。
ただ、全てのことは網羅できるわけではないので、不足することや疑問に思ったことは自分で調べることが大事。
よくあるのが、何でもかんでもすぐに分からなかったら人に聞くという行動。
別に否定はしませんが、できれば自分で調べるというアクションを起こすべきですね。
その方が理解度が違うし、何より師匠や先輩の言うことが 100% 正しいという保障は全くないので。
つまり、金属加工スタッフには「守(しゅ)」はあっても、自分で調べてやってみるという「破(は)」がない人が多いのです。
破(は)がないということは、当然のことですが離(り)がない。
金属加工会社の経営者として、絶対に手放したくないスタッフはこの「守破離」ができる人です。
トップダウン形式で経営者から作業者へ作業指示を出すのではなく、同じ目線で仕事の相談が社内できるスタッフの育成が会社には必要だからです。
同じ目線で考えることができるスタッフは「守破離」ができています。
破(は)がある人は、仮に別の職場に移らないといけないとなったとしても、きっと大丈夫です。
「守破離」を是非意識してみてください。