個人でミニフライス盤やミニ旋盤を購入したら、やっぱり実際に削ってみたいですよね。
現物の追加工だけでなく、一から(素材から)少しずつ削って形にしたいでしょう。
そこで、必ず必要になるのが金属素材や樹脂素材ですね。
素材については、鉄にも色々と種類があるんやで~ってことを以前の記事でも書きました。
ただ、問題はどこで購入するか?ということです。
一般的な鋼材屋(卸)さんは個人への販売をしているところは少ないため、一部のネットショップなどで購入するしかないかもしれません。
ただ、どうしても割高になっていたり自分の思っているサイズの鋼材がなかったりもします。
実店舗であれば、ホームセンターや東急ハンズなどに行けば売っていることもありますけれど、やはりサイズは決まったものだけしか置いていません。
一方、個人ではない町工場は丸棒材であれば、仕上がり寸法に近い長さで切ったものを仕入れますし、角材であれば6面フライスした任意のサイズのブロックを購入することもできます。
ここでは、町工場が実際に購入している素材についての説明と最後に「個人向けの代理購入」の案内をしたいと思います。
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丸棒材の外径寸法は決まっている
旋盤加工で何かを作りたい時には、丸棒の素材を購入しないといけません。
丸棒は各メーカーが決まった寸法で製造しているので「丸材 サイズ」などとインターネットで検索すると色々とヒットするので見てください。
一般的によく使う素材であればすぐに見つかるはずです。
あとは、その中から最も仕上げ寸法に近いサイズを選択するだけです。
長さは任意の寸法で切断してもらえる
丸棒の外径寸法が決まった後は、長さを指定して購入します。
例えば、仕上がり寸法がΦ30mm x 50mm だった場合は、素材寸法をΦ32mm x 53mm で購入すればOKということです。
加工するモノの種類によっては、素材の外径寸法を大きくしたり、長さを伸ばしたりします。
私達のような町工場では、材料屋から購入する時にはこのように任意の寸法で切断してもらっています。
ただし、中にはロット棒と呼ばれるようなものなどは、定尺(1m とか2m など)でしか購入できないものもあります。
購入できる丸棒素材の種類
鋼材屋から購入できる丸材の種類についてはそれぞれの鋼材屋で異なります。
厳密に言うと、どこの鋼材屋からでも買えるのですが得意・不得意としている鋼種があるのです。
俗に色物と呼ぶ真ちゅう、黄銅、青銅系が得意なところもあれば、ステンレスを専門にしているところもあります。
あるいは、ダイス鋼が得意だったり、S45C や SS400 といった鉄が得意なところも様々です。
鋼材屋を使い分けしている町工場もあれば、面倒なので値段の多少の高い安いには目をつむって1社からしか購入していないところもあります。
そのあたりは、それぞれの会社の考え方ですね。
ただ、鋼材屋さんは「ウチから材料を買ってください!」とよく営業に来られます。
さて、余談が過ぎましたが素材の鋼種以外にも丸棒素材には種類があります。
これは、一般的に「黒皮」と呼ばれる材料です。
素材の面がザラザラしているいわゆる無垢材ですね。
旋盤ではここから、任意の寸法に削っていきます。
こちらは、先ほどと少し違って表面がツルツルしています。
別に旋盤で削ったわけではありませんよ。
これは「ミガキ材」と呼ばれる丸棒材です。
SS400 や S45C でよく使います。
外径寸法には規格があって、Φ10mm とか Φ20mm など決まった寸法の品物を作る時には外径を旋盤で削らなくても済むので楽なのです。
だいたい、実寸は規格寸法よりも 0.02mm くらいマイナスになっているものがほとんどです。
ミガキ材にどのような寸法規格があるかについても、インターネットで「ミガキ材 規格」と検索すれば出てきます。
この他にはパイプ材もあります。
棒材の中を削ってパイプにするのは非常に大変で、そんな時にはパイプ状になった素材を利用するとすごく楽ですね。
こちらも、規格があるので検索してみてください。
パイプのサイズ規格は外径寸法と肉厚が指定されています。
例えば、素材が外径30mm で肉厚 3mm とあれば、内径は24mm になっているということです。
角材は ”黒皮” と6面フライスプレートを選べる
丸材は指定した寸法で切断してもらえますが、角材の場合も同じく指定した寸法で切断してもらえます。
例えばこちら。
黒皮(無垢材)の角材です。
角材の場合は、4面幅(縦 x 横)の寸法に規格があり、長さは指定の寸法で切断してもらいます。
この規格についてもネットで検索すればすぐに見つかります。
ただ、我々は最近この黒皮素材を購入することが激減しました。
何故なら、削るのが面倒だからです。
さらに、最初のうちは黒皮素材を削って6面をキレイに仕上げるのが難しかったりします。
削ってみたら、真四角にならずに台形になってしまう失敗を初心者はよくします。
角面の90度(直角)を出して切削仕上げすることは、簡単そうに思えてできない人は多いのです。
そんな時に楽ちんなのが6面フライスプレート(6Fプレート)です。
私達は6F材と呼んでいます。
こちらは、材料屋に注文するときに「20 x 30 x 50」というように任意の指示を出します。
そうすると、このように6面をフライス引きした状態で納品してくれるのです。
すごく便利。
6面フライスプレートを利用するメリット
6面フライスプレート(6Fプレート)を使用するメリットは、任意の寸法を指定して購入できるので何よりも余計な工程が減ることです。
黒皮素材ですと、規格寸法を調べてからどのサイズのものを使うか考えないといけませんが、6Fプレートだとそういうことは考えなくて済みます。
価格も黒皮素材を購入して自分でフライス引きするよりも、6Fプレートを購入する方が安上がりになります。
もう、6Fプレートの価格は底値に近い状態まできているのではないかと思うほどです。
6面フライスプレートは面取り指示が可能
これは弊社が購入した6Fプレートですが、角部がカットされていますね。
C面指示を出して購入したのです。
C面って何??という方は下の記事を参考にしてください。
C面取りって結構面倒だったりするんですよ。
だけど、予め材料を購入する時点で指示しておけばカットしてくれるのですごく便利。
注意点はあまり大きなC面加工はしてもらえないことが多いのと、肉厚が薄いプレートの場合もC面加工不可になることがありますので、都度聞いてみるのが一番早いですね。
弊社の場合、もし材料屋で加工不可の時は自社で面取りをしています。
寸法公差の指示ができる
さらに、少し精密さが必要になる部品の場合は、寸法公差が重要になります。
黒皮素材を購入してから、自分で削って寸法を出すのは慣れないと難しいでしょう。
そんな時、6Fプレートの購入ならば予め寸法公差の指定もできます。
例えば「20 x 30 x 50 (0 ~ 0.05)」という感じですね。
この場合、20と30は一般公差であり、50のところだけ 50.00 ~ 50.05 の間の寸法に仕上げてくださいという指示になります。
ただし、寸法公差範囲が 0.02mm 以下の場合は研磨仕上げになりますし、鋼材の種類によっては反りが大きくなったり研磨できなかったりするので確認が必要です。
もちろん、真鍮や黄銅、ステンレス、アルミでも6Fプレートで注文することが可能です。
ちょっと便利なミガキ材
6Fプレートではないけれども、4面(横 x 幅)が規格寸法に仕上がった角材もあります。
それが、ミガキ材。
長さだけ、指定の寸法で切断してもらいます。
こちらもネットで「ミガキ 角材 規格」と検索するとヒットするはず。
もしも、自分が使いたいサイズにマッチするものがあればこちらを利用すると安上がりになるでしょう。
ただし、長さは自分で切削しないといけませんし、大きく削り込む場合は加工熱による反りが大きいので注意してください。
加工が終わってみると、品物が弓なりに反っていたなんてことがありますので。
アングル素材や六角素材について
丸棒素材や角素材だけでなく、アングル素材や六角素材も材料屋から購入できます。
アングルとは形鋼のことで、L字に曲がった材料のことですね。
作業台を作りたいときなどに利用することが多いです。
こちらも規格があります。
このような六角のナットを作ろうと思った時、丸材から削るのは面倒ですよね。
そんな時には六角材というものがありますので、利用してみては如何でしょう。
もちろん、六角材の規格にないサイズのものを作る場合は丸材や角材を購入して自分で削るしかありませんけどね。
個人で素材を購入したい場合
ネットショップなどで購入できる金属素材に不便なところは沢山あります。
規格品しか購入できなかったり、欲しいサイズのものや寸法のものがなかったり。
中には個人向けに販売もしている材料屋がありますけれど、正直なところ材料単価は対個人か対法人かで全然違ったりもします。
町工場どうしでも、同じ材料なのに購入価格が違うという裏事情もありますので。
なので、個人で材料を購入したい時には弊社に相談いただければ、代理見積りいたしますよ!
その場合、材料は材料屋より直送しますのであしからず。