長年勤めていた会社が不景気で倒産したり、後継者がいなくて廃業したりして再就職活動を余儀なくされてしまうと、新たに再就職先を探さないといけない。
若い頃から技術や知識を買われて色々な会社を転々としてきたのなら別だが、1つ2つの会社で長年働き続けてきた人にとって、40代、50代あるいは60代で急に無職になってしまうと、いまさらの転職に不安が大きいのではないでしょうか。
最近では若い世代がホワイトカラーの仕事にあこがれる人が多いけれども、やっぱり鉄工所のような雰囲気が馴染みがあるし、働きやすいという人もいるでしょう。
工場の油のニオイ、金属を削る音、モノを作る楽しさ。
何とも言えないですよね。
ただ、こんな年代からではなかなか雇ってもらえないのではないか・・・
そんな気持ちになったりするかもしれません。
しかし、現実は全くそんなことはありません。
ここでは、40歳からの再就職ということで町工場の経営者目線から工場勤務についての極意的なものを紹介します。
工場が求めている人材はどのような人か?を知ろう
日本全国、大企業から中小零細企業の工場がたくさんあります。
あなたが過去にどのような仕事・作業に従事してきたかということに合わせて、あなたを求めるであろう工場がどこなのかを知る必要があります。
そもそも、今まですごく特殊な内容の作業しかしてこなかったというのであれば、同じような作業が必要な業種・会社を探すか、過去の経験はいったん忘れて「未経験でもOK」な職種への転向を考えるしかない。
自分の経験が幅広く活用できるのか、狭い分野でしか使えないのかは個々次第です。
それに合わせて就職先候補を調べてみましょう。
大企業の工場と町工場では、そもそも求めている人材が違う!
一概には言い切れないのですが、分かりやすく分類すると大企業の大きな工場と、下町にある小さな町工場ではそれぞれが求める人材は全く異なります。
求人募集にあるなかで、大手企業の工場では比較的、未経験者でもできるような作業内容を募集していることが多い。
例えば、高収入や寮完備のシゴトが満載!で有名な工場系シゴト情報求人サイト「工場求人ナビ」 を見てもらうと、名前の知れた大企業の工場求人に簡単に応募することができます。
実際にサイトを見てもらうとわかりますが、未経験者歓迎とか普通にありますし給料も概ね良好です。
過去の自分の経験が上手くマッチしなくても、そこでトレーニングさせてもらえるというメリットがあるし、企業側としてもその企業が指示する通りに動いてくれる人が欲しいわけです。
ただ、どうしても自分の過去の経験というプライドがあるという人には向いていないかもしれないです。
仕事の内容的には、組み立て、検査、搬送などが結構多い気がします。
一方で人数の少ない町工場ほど、個々のパフォーマンスを重視する傾向にあります。
その人の得意なことは、「会社の得意なこと」に直結しやすいし、会社からも特定のことで頼られやすい。
ただ、町工場の場合はその会社ごとで行う作業内容が全く異なります。
若い人なら、見習いというスタンスで取り組むことができるかもしれませんが、40代を過ぎた経験者とあれば、それなりの即戦力的なものを求められたりするのでプレッシャーが怖いという人は面接時や応募時に控えめに伝える方がいいかもしれません。
あまり控えめ過ぎて「何もできません」的なことを言うと、雇ってもらえないですが・・・
自分の武器を知ろう
再就職する工場(会社)が求める人材はどんな人材か?を知ることは重要ですが、それに合わせて自分の武器も再確認しておくことが大切です。
ルーチンワークが得意だとか、細かい作業が得意といった一般的なことから、何か免許を持っていたりすればそれも武器です。
フォークリフトが使える、溶接の技師免許がある、工作機械の技能検定で1級を持っているとか。
そういうのがなくても、これまでに培ってきた色々な加工知識をピックアップすれば、あなたの強みがきっとあるはずです。
そして、その武器を再就職の面接時にどのように伝えるかによって再就職率は変わる。
ここからは特に町工場で求められやすい人材、敬遠されやすい人材について紹介します。
sponsored link経験してきたことを誰かに”伝える”ことも、あなたの武器になる
町工場で工作機械を動かすということだけにフォーカスしてしまう人が結構多いですが、町工場の経営者が求めるものは、社員同士の情報交換(コミュニケーション)であったりします。
経験のある者が経験の浅い者に教えるというのは、自然な流れだと思いますが「誰かに教えるのは苦手や」という人もいます。
そこは1つ評価の分かれ目だと思っておいた方がいい。
やっぱり教えるのが上手な人は欲しいです。
若い人よりも50代、60代の人を雇うメリットは何か?ということを会社経営者としては考えます。
例えば、60代の人を新たに雇っても引退しちゃうまでの年数が少ないです。
そうなると、早ければ数年でまた新しい人を探さないといけない。
そう考えると、どうしても少しでも若い人がいい・・・となります。
でも、その人の経験値や指導力に魅力があり、他の社員にも色々と伝授していってもらえそうだなとなれば、話は別。
あなたの経験を実際の作業だけでなく、誰かに伝えるということで活かせるようにすれば再就職も難しくないと思います。
過去に仕入先(外注先)やお客さんとのやり取りを担当していたことがある
小さな町工場ほど、会社の対外的なことを任されていたという人も多いのではないでしょうか。
経営者に代わって一部の外注先とのやり取りやお客さんとのやり取りを担当していたというのであれば、それも武器になる。
町工場への就職応募者の大半は、どうしても現場作業だけしか見ていなかったりします。
俺の仕事は現場作業だけと割り切り過ぎている・・・と経営者の多くは愚痴をこぼしていることがよくある。
なので、対外的にも打ち合わせとか話を聞きますよと言うだけで「おっ!?」と面接時に感じます。
経営者って従業員からするとどのように見えているか千差万別ですが、結構忙しいです。
やることいっぱいです。
特に零細町工場になると、納品配達、営業、見積り、打ち合わせ、納期管理・・・
それらの1つでも誰かが助けてくれるなら、それは重宝されるわけです。
工場の現場で納期管理と作業管理をする工場長がいたり、取引先に品物の配達がてら営業をしたり、見積りをしたり。
あなたが過去にやってきた経験があるのなら、是非とも伝えて欲しい。
町工場への再就職の面接で敬遠されるパターンを知ろう
過去に私が面接をして「これはちょっと・・・」と思った方々の共通点とか、他の会社の社長さんが裏で「彼は失敗だったわぁ」と言っていた人たちのことについて紹介します。
反面教師として覚えておいてもらえると雇う側としては助かります。
40代を過ぎて未経験は再就職が難しいかも・・・
うちの会社も「未経験でも可」として募集をかけたりしますが、やっぱり年齢的には30代くらいまでが理想です。
マシニングセンタやNC旋盤などの機械操作は覚えれば済むのですが、50代、60代になってくると何も知らない状態で一から覚えていくというのはちょっとしんどいかもしれません。
それに、部品加工ではただ削ればいい、曲げればいいというものではなく、どのような方法でどのような手順で加工を進めるのか。
そして、どのような工具をどのような条件で使用するのかなど細かい知識の積み重ねは重要です。
中高年ではありませんが、うちの会社にはベトナム人従業員がいます。
彼は少しは加工のことを知っているけれども、ほぼ素人。
素人だからといって私が工具設定や回転速度、送り速度などを仮に設定したら、鋼材の種類が何であろうと、工具の種類が何であろうとその条件で加工しようとして失敗します。
工具を壊しては怒られ。加工を失敗しては怒られ。
それを繰り返し中です。
それで適切な知識を覚えてくれたらいいですけど、果たして覚えてくれるのか?
あなたが中高年だとしたらどうでしょうか?
今まで、倉庫で荷物運びをしていましたと言う応募者もいました。
木工職人をしていたので、金属でも同じ感覚でやれそうと言う応募者もいました。
未経験だけども、やる気は誰にも負けません!と言う応募者もいました。
彼らは全員、1カ月程度でギブアップして辞めました。
結局、覚えないといけないことが多いし、町工場はうちの会社のように単品加工が多いと単調作業が少ないので、慣れないとすごく疲れるんでしょうね。
1人は不眠症になりそうだ・・・と言って辞めちゃいました。
やっぱり、40代を過ぎて全くの未経験だと大きな工場での流れ作業のような仕事の方が良いのではないかと思います。
「前の工場ではこうだった」・・・前職場との違いを引き合いに出さない
会社にはそれぞれの会社のやり方があります。
前の会社でのやり方がダメだとは言いませんし、その方が効率が良かったり、加工の正確性が良かったりするかもしれません。
ただ、あまり強く主張し過ぎるのは良くないということです。
和を以て貴しとなすを心掛けておく方がいい。
会社という集団がバラバラにならないように、「こういう方法もあるよ。やってみてはどうだろうか?」ぐらいの角度から助言するように言った方がいいですね。
給料面で最初から交渉し過ぎない
再就職の面接では、相手はあなたのことなんて全く知りません。
前の会社でどれだけの給料を貰っていたのかなんて、正直なところ知ったことではない。
特に現場の作業でのパフォーマンスがどれほどのものかなんてものは、実際に雇ってみてからでないと分からない。
それを度外視して、よくわからないあなたの過去の経験からドーンと給料を積むことは冒険以外の何ものでもない。
プロ野球選手のように、その人の前年度の活躍ぶりがどれほどであったかが分かるのなら、年俸交渉もしやすい。
もしも、あなたが何かに余程の自信があるのなら、それを伝えて交渉してみてください。
ちなみに、うちの会社の場合
1.営業マンとして仕事を獲ってくるし、その仕事を振る外注も自分で何とかする!
2.ウェブマーケティングで仕事の獲得やその他のアプローチに取り組んで成果を出す!
というような人たちだったなら、年俸交渉に応じます。
現場で機械作業する人は会社としてはとても大事ですが、収益の伸びには限界があります。
なので、それ以外にも設けるビジネスモデルというものを作らないといけない。
そういう観点から、上のような人材が欲しいと私なら思うのです。
そういう人たちにならば年俸500万、600万、700万ほしいというのなら、交渉に応じます。
もちろん、どうやって会社にリターンを持ってくるのかというビジョンも聞きたいですし、可能性を感じるのなら、私も協力していっしょにやりたいくらいです。
まぁ、でもなかなかそういう人って少ないですけどね。
いやいや!俺は違うぞ!できるぞ!
という人は、是非ともご連絡をお待ちしております。
工場求人の探し方
工場に再就職しようとする場合、まずは地域のハローワークが手っ取り早い。
大手の求人広告に載せるには、それなりの費用がかかるので小さな町工場だと活用していないことがあって、意外と良い就職先が見つかったりするらしいがどれほどの確率なのかは知りません。
大手企業の工場勤務を探すのならば
がおススメです。
業種、作業内容別に探したいというのであれば
のようなサイトが有名ですし、利用者が多いのでおススメです。
いずれも雇用形態は派遣社員、契約社員、正社員などさまざまです。
それ以外の方法としては、自分の過去の経験からインターネットで「金属加工 フライス 大阪」のようなキーワード検索をしてヒットした会社のホームページを見て回ってください。
そして、それらのなかで気になる会社があり、スタッフ募集とか従業員募集をしているようなら直接問い合わせ応募をしてみるといいです。
インターネットの検索で上位に表示されているような会社さんだと、色々な人から閲覧されているということにもなりますので、仕事も忙しかったりします。
ハローワークとかよりも意外と良いところが見つかる可能性が大きいと思います。