アルミの部品加工依頼をするときに、忘れてはいけないのがアルマイト処理をするかどうか?です。
アルマイトの目的として多いのは、耐食性を向上させることです。
機械部品で油がべっとりと着くような環境で使う場合は、アルマイト処理も必要ないかもしれませんが、違う理由でアルマイト処理をすることもあります。
表面硬度を上げたいということから硬質アルマイト処理をしたり、あるいは、アルミに色を付けたいということでカラーアルマイトをしたり。
とにかく、目的に応じてアルマイト処理をするかしないかを決めましょう。
もちろん、アルマイト処理をしなくて済むのなら無理にする必要はありません。
無駄にコストがかかるだけなので。
アルミニウムの表面処理(アルマイト)の原理
アルミニウムは反応性が非常に高い金属であるため、空気中の酸素と反応し、酸化アルミニウム被膜(約0.02mm)を形成します。
アルミニウムが錆びないと思われているのは、この被膜形成により保護されるためです。
しかし、実際は酸化反応を受けているので錆びているということになります。
自然にできた酸化被膜は非常に薄いため、環境によっては浸食されてしまいますので通常はアルマイト処理という表面処理を行って表面を保護しています。
アルマイト処理はわざとアルミニウム合金の表面に酸化被膜を形成する技術で、アルミの表面に超微多孔性の酸化被膜を作ります。
メッキや塗装と違うのはアルミの表面から上に成長被膜を作ると同時に、内部にも下へ浸透被膜を同じだけ作ります。
被膜の厚みは10μm程度です。
(※1μm=0.01mm)
アルマイト処理がメッキや塗装と大きく違うのは、浸透被膜を作ってしまうということであり、メッキや塗装は剥離してから再びやり直しができますが、アルマイトの場合は、やり直す時には浸透した部分も除去しないといけないので少し痩せてしまいます。
なので、アルマイトを剥離すれば、必ず元のサイズよりも小さくなることを覚えておいてください。
注意点として、Aというアルマイト屋さんで処理したものをBという別のアルマイト屋さんに剥離してほしいと頼むと、ほとんどの場合は拒否されます。
他社でやったものに対しては、どんな液剤を使って処理しているかもわからないし、対処できませんというのが言い分です。
対応わるいなぁ!と思わないようにしましょう。
そんなもんです(笑)
アルミに色がつけるカラーアルマイトの原理
アルマイト処理でできた酸化被膜には処理工程で超微孔(直径10nm程度)ができます。
(※1nm=0.001μm=0.000001mm)
この孔は無数にできるのですが、ここにカラー染料を染み込ませて孔の口を水和物の膜で蓋をすると着色することができます。
これをカラーアルマイトと呼び、赤、青、黄など色々あります。
何も染色せずに、アルミの地の色のままにしておく場合は白アルマイト、俗に「白あげ」と呼びます。
白アルマイトやカラーアルマイトの他にも、酸化被膜の目を細かくするように特殊な処理をする硬質アルマイト、スーパーハードアルマイトという処理もあります。
硬質アルマイト処理をかけることで、アルミの表面硬度が鋼の硬度よりも高くなり、より耐摩耗性が上昇します。
専門的にはHRC40~45程度の硬さ(鉄を焼入れした硬さに匹敵します)。
さらに、スーパーハードアルマイト処理でHRC45以上にも上がります。
とりあえずは、アルミの表面処理にはアルマイト処理っていうのがあるんだよって知っておけば、あとは加工屋さんにアルマイト処理お願いしますって伝えれば大丈夫でしょう。
もしも、アルマイトって何??って逆に聞かれたら、別の加工屋さんに変更したほうがいいと思います(笑)