個人依頼のワンオフパーツが高額になりやすい理由と安くする方法

部品加工依頼の「い・ろ・は」

個人で町工場などに、ワンオフパーツの製作検討を依頼する時には、必ず見積もりをお願いするでしょう?

そして、返ってきた見積もり単価を見て自身の希望金額との乖離にため息がこぼれることもあるのではないだろうか。

 

しかし「あなたが漏らしたため息」に町工場もため息をついていることを知ってほしい。

 

あくまでも誤解しないでほしいのですが、個人依頼の見積りだからといって、わざと高い見積り金額を出しているわけではないです。

どうしても高くなってしまう理由があるんですよ・・・

 

でも、この理由って、あなた次第で実は価格を安くすませられるようになるかもしれないので、是非とも読んでみてください。

 

個人依頼の部品が高くなりやすい理由

個人依頼=高い

というのは間違いであることを最初にお伝えしておきます。

あくまでも、高くなる傾向が強いということです。

 

高くなる傾向が強い理由は以下の通り

  • 正式な部品図面が無い
  • 製作難易度が高い部品設計になっている

 

「図面がありません」⇒どうやって作ってもらうつもり?

どうする

個人依頼でめちゃくちゃ多いのがこれです。。。

現物があるけど、図面が書けないから図面は無しでってやつです。

メールなどの問い合わせで写真だけを送ってくる人。

 

大きさも材質も何もかもが分からないことだらけで

あれは?これは?ここはどうなってるの?

という質問のやり取りをさんざんした挙句、「現物を送るからそれを見てください」と言われるんです。

 

けどね。言わせて。

 

それを見たところで、材質が何かとか分かると思うんでしょうか?

鉄(鋼)って、いくつかの金属元素の合金なので種類いっぱいあるんですよ。

純粋な鉄(Fe)だけで出来てる金属製品ってほとんどないです。

 

また、現物を見ただけで見積りって言われても、実際に加工する時には図面がいるんです。

 

設計図無しに家を建てることってできないですよね?

「適当に作りました!!」と言われた家をあなただったら買います??

買わないよね。

 

じゃあ、図面を描いてよ。

と言われるんですけど、図面を描く手間についてはそれをサービスの一環として受けている加工屋さんもありますが、そうでない加工屋さんもあります。

どちらが正しいとかはないですが、少なくとも、正式な図面がある状態か無い状態かでスタートラインが異なるわけです。

 

つまり、図面も何もないということは、見積り価格が高くなる原因でもあるので、自分で描いてみるということにトライしてみてください。

それだけコストはかかりますよってことです。

 

どうしても無理という場合は、ココナラで製図を安く受けている個人さんがいたりするので探してみよう。

無料で登録できますし、製図以外にも色々なことを請け負ってくれる方々がいるので見ていると楽しいですよ。

 

加工難易度がやたらと高い部品設計をしていませんか?

図面も用意した、材質も決めた。

じゃあ、正式な見積りをください。

 

というところまではよいのですが、図面の内容を見たら超難易度が高いものだったりします。

何をもって難易度が高いかどうかは加工会社によって異なりますが、その会社では対応が難しいものだったりすると、何とかして加工しようと工夫したりして価格が高くなることがあります。

 

決してぼったくっているわけではなく、たまたま、その会社では難しいものだったのかもしれないと思ってください。

例えば、1mmくらいしか厚みのない旋盤加工品とか。

長さが2000mm(2メートル)もあるような長い部品だったりとか。

本来は鍛造品とか鋳造品、あるいは3Dプリンターで作るものであって、刃物で削れないような形状だったりとか。

 

やはり、加工難易度が高いと判断される部品はどうしても高くなってしまいます。

 

町工場における部品加工の価格基準になるもの

町工場で部品加工代金を計算するときの基準点はいくつかあります。

  • 材料費
  • 加工費
  • 梱包・送料費

 

材料費は言うまでもないでしょう。

加工費の中には、工作機械、工具、切削油などの消耗品にかかる費用や人件費も含まれます。

一般的には時給換算して売り上げを考える会社が多いです。

あなたが依頼しているワンオフパーツがいったい、どれくらいの時間をかけてできるかがポイントなんです。

 

もしも、図面が無いんですよねって話のスタートだとすると、加えて製図費というものが発生することもあります。

送料については、どこに送るかによって変わりますので、個人依頼ならばできる限り近場の会社に依頼するのが良いかもしれません。部品加工代で送料以上に差が開いている場合はこの限りではありませんが。

 

「端材(はざい)で作ってくれ」は禁物

たまに個人依頼において「余った材料を使ってくれていいから」という声もある。

 

正直、その余った材料も商品の1つなんだよ!!

 

そう叫びたい。

安く作ってねという気持ちは分かりますし、少しでも協力したいと思いますが、これは本当に町工場に言ってはいけないフレーズです。

 

材料をどうするかは、町工場が決めること。

あなたが決めることではない。

あなたが決めたかったら、材料を用意して「これで作ってくれ」と頼みに行くべきだ。

 

個人だから高いという認識は間違っている

よく、町工場へワンオフパーツの製作を依頼したらぼったくりやった!という話を聞くことがある。

しかし、個人に対しても真っ当に商売をしている町工場において「個人だから」高くするということはない。

 

前述の通り、基本的には段取り時間や加工内容、数量を吟味して価格計算をするからだ。

だから、あなたが町工場から提示された金額は町工場の世界の金額なのです。

 

個人依頼者が町工場から提示される加工金額が高いと思ってしまうその大きな理由は、ホームセンターや百円均一の店でそこそこのクオリティの商品が数百円という金額で購入できることが挙げられる。

しかし、そういった商品は決してワンオフではない。

大量生産品である。しかも、数十万個とか数百万個というレベルの量産品。

工場では専用の機械設備を数百万円、数千万円かけて投資し、数百円の商品を大量に作って資金回収をしているのだ。

 

あなたが見ようとしている町工場とは全く世界が違うところで作られているモノなのだ。

だから、それらと同じ価格基準で町工場にワンオフパーツの相談をしてはいけない。

 

ワンオフパーツが高くなりやすい理由と対策方法

ワンオフパーツが高くなりやすい理由をご理解いただけたでしょうか?

もちろん、足元を見てくる町工場は無いと言い切れませんが、少なからず、多くの会社ではそのようなことはしないと思ってください。

 

では、最後に高くなりにくくする対策方法は以下の3つです。

  • 図面を用意する
  • 希望価格や納期があるなら最初に提示する
  • 無茶な設計になっていないか相談し条件緩和を心掛ける

 

図面はできることならば、用意しておきたい。

予算があるなら、最初に伝えておけば割かし協力的になってくれる町工場は多い。

加工相談をするときに、こういう使い方をしたいがこのような形は作れるか?と問い合わせをして、必要におうじて形状や寸法の緩和を心掛ければ安く部品は作れるようになります。

 

あなたの部品加工依頼がうまくいきますように。

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