全くの新人はマシニングセンタの加工プログラムをどこまで理解すべき?

部品加工の基礎

プラモデルを作ったり、自分でちょっとした部品を作ったりするのが好きだからという理由で就職した金属部品加工の世界。

初めて飛び込んでみた結果わかったことが沢山あるというのは、部品加工初心者によくあることです。

 

現実と理想のギャップを感じて辞めてしまう人もいれば、すっかりと職人さんになって頑張る人もいます。

どの職種でも同じですが、自分に合った仕事かどうかなんてやってみないと分からないことばかりです。

 

金属部品加工でもフライス加工の世界に入ると、マシニングセンタを操作しないといけない状況に置かれていく可能性が高い。

昔ながらの汎用機だけで飯が食えるほど世の中は緩くないということです。

今はNCプログラムを使って複雑な形状でも加工できないとダメなんです。

 

そのためにも、マシニングセンタは操作できるようになった方が断然良い。

もし、これからマシニングセンタを使う予定であるというならば、NCプログラムの基礎コードは嫌でも覚える必要があります。

もちろん、その前にフライス加工における工具の回転数だとか切削送り速度などの条件も覚えていかないといけません。

 

ここでは、全くの初心者さんがこれからマシニングセンタを使うに当たって最低限必要な知識と、マシニングセンタを使えるか使えないかでどれだけメリットがあるのかも含めて紹介します。

全てのNCプログラムを完全に理解する必要はない

工作機械はいくつものメーカーが製造していますが、マシニングセンタの加工プログラムはほとんどがGコード、Mコードという共通言語を使って指示されます。

何だかややこしそうというイメージを最初に持ちますが、1つ1つ覚えていけば大丈夫です。

 

というのも、各コードをを使うことで加工プログラムは作れるのですが、今では全ての加工プログラムを自分の手で1つ1つ打ち込んで作ることはほとんどありません。

とても便利なCAD/CAMソフトがありますので、それらを使用してCADデータから加工プログラムを自動作成するからです。

 

昔はマシニングセンタに “手打ち” といって、自分の手で1つ1つコードを入力して加工プログラムを作っていたこともあったそうですが、紙の図面を見ながら、座標点を計算して入力したりするので入力ミスが頻発したり、入力に時間がかかったりと大変でした。

さらに少し形状が複雑になるだけで入力作業が億劫になります。

 

でもCAD/CAMなら、目に見える図面データ上で実際に工具(ツール)がどのような動きをするかまで確認できるので、大きな間違いはありません。

実際、CAD/CAMで作ったデータで加工ミスが起こる原因としては、図面データが間違っているかマシニングセンタのセッティングを間違えるかのどちらかがほとんどです。

たまに、加工プログラムの作り間違えもありますが、1つ1つ確認しながら行えば大きな間違いは起こりません。

 

NCプログラムの基礎であるGコードやMコードを覚える理由はプログラムチェックをするため

マシニングセンタとCAD/CAMは今はほぼセットです。

CAD/CAMが使えないとマシニングセンタを使えないと言ってもよいくらいです。

最近では、マシニングセンタそのものに簡易CAD/CAMが装備された機械も販売されているので便利です。

 

いずれにしても、加工プログラムを作るという作業が必要になるわけですが、実際に作った加工プログラムでマシニングセンタを動かす時にはプログラムミスがないかある程度チェックできないと困ります。

そのためには、各Gコードが何を意味しているのか?ということが理解できないといけないのです。

 

例えば、早送りなのか切削送りなのかでも違いますよね。

セットしている加工物に工具をおもいきりぶつけて品物をパーにするだけならまだしも、機械をぶっ壊したとなれば顔面蒼白です。

マシニングセンタは1台が一千万円以上もする高価なものですし、高いものなら億ですから・・・

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覚えるべき基礎コードとは

機械を壊したらどうしよ・・・緊張するし、できれば触りたくないなぁと思う気持ちが出る人もいるかもしれませんが、慎重に扱えば大丈夫です。

まずは基礎コードをしっかりと覚えておきましょう。

 

マシニングセンタに付属の取り扱い説明書が必ずありますので、そちらを参考にすると良いですが、二次元加工レベルであればおおよそいつも使うコードというものは限られてきます。

Gコード、Mコードを全て暗記してもよいですが、人によっては全く使わないコードもありますので、自分の仕事に合わせて覚えましょう。

 

ちなみに、絶対的に使うのは

G00 : 早送り

G01 : 切削送り

G02 G03 : 円弧

G81 G83 など : 穴加工

M03 M04 : 主軸回転

M05 : 主軸停止

M08 : 切削油吐出

M09 : 切削油停止

M30 : 加工プログラム終了

などですね。(一部です)

 

NCプログラム覚えるコツとしては、CAD/CAM操作をまずは覚えて、作ったプログラムとマシニングセンタの動きを確認します。

その時によくわからないコードが出てきたら、都度調べるという方法が一番良いのではないかと思います。

実際、私もそうやって覚えました。

 

マシニングセンタを使える使えないで変わること

部品加工会社に就職し、フライス加工に従事するならばマシニングセンタは使えたほうが絶対に良いです。

もちろん、会社によりけりですがNCプログラムが全くわからない人とわかる人では会社として優遇する度合いが異なります。

 

今は1つ1つの部品もどんどん複雑な形状が要求されたりしますし、それが加工できるか出来ないかは機械の精度と加工ノウハウを持っているか、加工プログラムを作れるかどうかということにかかっています。

なので、色々な加工に対応できる人材というのはとうぜん給料面でも他の人よりも優遇されますし、工場長などの役職に就くことだって可能性が高くなります。

 

嫁子供を養うためには、少しでも多くのお金を持って帰りたいですよね?

そのためには、頑張って覚えるしかないのです。

 

それに、金属部品加工の世界は学歴が全く関係ないのも有り難い。

職種によっては、学歴でフィルターにかけられる場合も少なからずありますが、それが無いのです。

2次元レベルの加工プログラムであれば、毎日機械を触って動かしていると覚えていけます。

 

3次元以上の加工プログラムになると、もはや達人でもプログラムを見ただけで加工形状を理解するのは困難です。

従って、一定レベル以上の加工はCAD/CAMソフトに頼るしかありません。

多くの人はCAD/CAMソフトの操作で限界を感じて挫折するので、根気強く取り組む気力が大事ですね。

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