NCフライスは普通のフライスと違う?これからフライスを始める人へ

部品加工の基礎

町工場の機械加工職人の募集を見ていると様々な職種があることに気づくと思います。

旋盤、フライス、放電、プレス、溶接・・・

 

その中でも、機械加工のことを全く知らないという人がフライス加工の職人として仕事をしようと考えた場合にまず疑問に思うかもしれないことがNCフライスって普通のフライスじゃないの?ということ。

 

基本的にはNCとはコンピューター制御された機械(フライス盤)を使うってことです。

「普通の」とは汎用フライス盤を指すとします。

つまり、NCフライス加工とは加工プログラムを作って機械を作動させるということ。

 

ん~、いまいち違いがわからない・・・

という人のために、簡単に説明しようか。


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NC? CNC? MC? 汎用? どれが何やらフライス加工

汎用フライスというのは、ザ・町工場!!的なイメージをすると想像しやすいですが、いわゆる手動で操作するフライス加工機のこと。

ハンドルを回して加工します。

昔ながらの機械ですね。数字を打ち込むとかプログラムがどうとか一切ありません。

 

なんかショボいなと思いますか?

そんなことを思ったあなたは甘いね。

実は、汎用フライスを使うからこそやりやすい仕事ってのもありますし、実際に機械のハンドルを握って加工していくと、加工物を削るときの抵抗とかが手に伝わってきます。

 

力いっぱいハンドルを回してしまうと、工具が折れたり、加工物がぶっ飛んだりしますが、その感覚を学習できるのは汎用フライスならではじゃないかなと私は思うのです。

 

 

一方で、先ほどNCフライスはコンピューター制御された機械で加工することと書きましたが、厳密には「NC=数値制御」なので、コンピューターとは限りません。

※NC=numerical control machining

事実、JISでは「数値制御工作機械において、工作物に対する工具の位置を、それに対応する数値情報で指令する制御方式」とNC加工の定義をしています。

 

今では、加工のための数値情報を指令するのにほぼ100%コンピューターが使われますが、昔は紙テープやパンチカードと呼ばれるものに穴をあけて工作機械に加工指示を出していたようです。

ただし、今ではそんなものを使っているところは皆無です。

 

パソコンなどコンピューターが普及し始めた頃は、紙テープを使うところとコンピューターを導入するところが入り混じるようになりました。

その頃は、紙テープタイプとパソコンタイプを区別するために、パソコンなどのコンピューターでNC制御する加工を特別にCNC(computerized numerical control)加工と呼んだのでNC加工、CNC加工の2つの呼び名があったのです。

でも、今はコンピューター全盛の時代です。

 

単にNC加工と言えば、CNC加工のことを指します。

イメージ的には機械に加工プログラムを打ち込んで加工スタートさせるような感じですね。

「穴をあけろ」「ポケット加工をしろ」とかね。

 

さらに複雑な形状の加工になると、パソコンにインストールしたCAD/CAMソフトと呼ばれるものを使って加工プログラムを作ります。

 

ちなみにですが、図面を描いたり3Dモデルを作ったりするところまでを行うのがCADと呼ばれるソフト。さらに製図した図面や3Dモデルを使って実際の加工プログラムを計算して出力するのがCAMと呼ばれるソフトです。

どんな工具を使って、どんな手順で加工していくかというものを考えながらプログラムを作り上げます。

 

実はこれらのソフトが今のフライス加工では非常に重要なんです。

全く同じ品物でも、加工プログラムの作り方や工具の選定が違えば加工時間も仕上がり具合も変わってきます。

加工屋さんによって加工価格が異なるのはそういった要素も大きいでしょうね。

 

もしも、フライス加工に従事する仕事を選ぶのであればCAD/CAMソフトは是非とも使えるように習得してもらいたいと思う。

ソフトはいくつかのメーカーから出ているし、各会社によって使っているものが違うので入社してから習得することになるかな。

 

さらに今は進化してきて、工作機械の中に簡易CAD/CAMが装備されているものも販売されてきています。あまり複雑でない加工なら、わざわざソフトを購入しなくて済むので便利なんですって。

私の会社ではCAD/CAMソフトをパソコンに入れて使ってますけどね。

 

最期にMCですが、司会者って意味じゃないからね(笑)

MC=machining center (マシニングセンター)のことです。

中身はNCと同じくMCも数値制御によって加工プログラムを動かしますが、フライス加工の世界で俗にNC、MCを使い分けするのは、ツール(工具)交換機能がついているかついていないかの違いによります。

 

MCとは複数のツールを装着できるようになっており、加工内容に応じて機械が自動でツール交換できるようになっています。もちろん、装着しておくツールの選定は人間がします。

一方でNCと呼ばれるフライス盤では、簡単な加工プログラムは入力できるけどツールは都度自分で交換しないといけないのです。

 

まぁ、今ではMCを使うのが主流ですけどね。


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素人がNCフライスの仕事を選ぶのは無謀なのか?

何となくでもNC、MC、汎用フライスのことがわかったところで、素人がNCフライスの世界に飛び込んで上手くやっていけるかどうか不安ですよね。

汎用フライスだけしか触らないという会社も少なくなってきていますし、お給料のことを考えるとやっぱりNCフライスはできるようになった方がベターです。

 

加工プログラムにしても、機械の操作方法にしても、全ては積み重ねです。

まず、機械加工の右も左も分からない状態の人は、加工の基礎を勉強しないといけません。

加工テクニックではなく、加工の基礎です。

これ重要。

 

それから、機械操作うんぬんです。

機械なんてメーカーが違えば操作方法も変わります。

でも、加工の基礎は変わりません。

 

なので、不安を持っていても持っていなくても、加工技術者を目指そうかと思うなら甘い考えは捨てて、プライドも捨てて一から入社した会社で学ぶべきですね。

そして、自分でも動画を観たり、本を読んだりしながら勉強していくことが大事です。

 

最も危険なのは怪我をする可能性があるということ。

時にはミスによって、何千万円もする工作機械をぶっ壊す可能性だってあるわけですから、いつでも慎重に作業を行わないとダメな世界。

機械が壊れるならまだしも、怪我をしたり死亡事故につながったりもするのでね。

 

私も事故で若い従業員が亡くなったという近くの会社を知っていますが悲惨ですね。

気を付けよう!

気を付けていれば、事故は起きませんし性格に合えば案外楽しく仕事ができますよ。

 


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