部品加工において、安さだけでなく加工の多様性を求めて中国メーカーに頼ることは多くなってきています。
中国メーカーも新規取引のDMを送って来たりと、いまだにメール営業が続いているのですが、「創業当初から日本企業と取引実績があります」といって、大手企業の名前を出して来たりするんです。
正直、そんなに大手企業と取引しているのに、なんでうちみたいな零細企業に営業するの?とツッコミを入れたくなるメールも。
実際は、大手企業の名前が入った図面の部品を作ったことがあるというだけで、仕事はどこかの商社などから受けているのがほとんどです。
大手メーカーが海外の中小零細町工場と直接取引することはほぼ無いです。
そして、素材についても金属から樹脂まで様々な材料の部品加工に対応し、見積りも早く、高精度に短納期で製造しますというセールス内容はどこも同じなので、騙されないようにしよう。
海外製で問題となる不良品の内容とは
実際に中国メーカーで部品加工をしてもらって、問題になる不良品のことが心配だという人は多いでしょう。
でも、加工技術そのものは日本製であっても中国製であっても、優劣をつけがたい部分は多々あります。
不良品率の問題を挙げる人もいますが、不良品がどれだけ出ているかということよりも、どんな内容の不良が報告されるかということに注目しないといけません。
単純に加工間違いなら、何で加工間違いが起こったのか?確認しないといけないですよね?
日本語を中国語に翻訳するのを間違えているなら、通訳係の人に注意してもらわないといけないですし、図面記号が読めていない場合はかなり問題です。
加工現場の作業員の教育が必要になります。
それでも、よく中国メーカーでは、「0.002mmまで精度保証して加工対応できます!」とアピールしてきたりするのですが、それを証明するものが必要ですよね。
それこそが検査機器の充実度です。
どんなに優れた検査員がいても、検査機器がボロボロだったりすると正確に測りようがないですものね。
中国メーカーからの営業メールが来たら検査体制のことを聞け!
もしも、海外の協力メーカーを持つことに興味がある場合、中国メーカーなどからDMが来たら返事をしてみるといい。
彼らは、インターネットで日本企業のホームページなどを見て回り、めぼしいところにメールを送っていくインサイドセールスを中心に行います。
いきなり電話営業してくることはほとんどありません。
まずは、メールを送ってくるのです。
なので、彼らに見つけてもらうためにはホームページを持っておく必要があります。
もしも、ホームページを持っていないというのなら、すぐにでも作りましょう!
色々と魅力的なことをいっぱい書いてくるメーカーもあれば、短文で素っ気ないメールを送ってくるメーカーもあり、様々です。
とりあえず、返事をする前にリサーチをします。
どこの国、どこの地域か。
ホームページを持っていそうならば、チェックしてみるのもいいです。
そのうえで、自分の会社の協力会社として検討したいなぁと思ったら、メールで検査体制はどうしていますか?どんなメーカーの検査機器を使用していますか?など、具体的な例なども付け加えて質問をしてみるといいです。
例えば、この部品のここの公差は何を使ってどのように検査しますか?など。
それで、適当なことを書いてくるようだったら、即刻アウトです。
素人のパートのおばちゃんが検査員であるという現実をカバーするのは高精度の検査機器のみ
私が過去に訪問したいくつもの中国メーカーの検査室では、ほとんどのところでパートの女性たちがノギスとかマイクロメーターを使って検査していました。
彼女たちは検査員としてのスキルを長年磨いてきた人たちとは限りません。
むしろその対極である素人が大半を占めます。
部品のことなんてさっぱり分からないまま、とりあえず図面どおりの寸法をチェックしていくのです。
でも、ピンゲージやブロックゲージを使った検査だったりすると、公差に対してどのサイズのゲージ検査で合格・不合格を判定するのかということが適当だったりするんです。
例えば、10.00(0~+0.02)という溝幅の検査に10.02のブロックを入れてOKとしちゃったりするんですよね。
アウトです。
とにかく、素人が検査するならせめてもの、検査技術をカバーできる検査機器を用意するべきです。
ボタン1つで検査数値がピピピと出るようなものもあります。
もちろん、全てがそれでカバーできるわけではないが、誰が測っても同じ検査数値になれば不良率も下がるはずなんです。
また、検査体制が整えば自ずと加工現場の技術力も比例するように向上していく。
これは良いスパイラルを生みます。
こういったことを、お付き合いしている中国メーカーがあるのなら是非とも伝えてアドバイスしましょう。
そんな当たり前のこと・・・
とか思わないほうがいいです。
彼らは、工作機械には積極的に投資し、色々な加工ができるようにしようとします。
でも、物は作れても測定技術がないために、品質の保証ができていないことがよくあるんです。
実際に製造してもらった部品の検査表には数字が書いてあるんですが、嘘っぱちだったり、適当な数字だったりすることもあります(事実)。
これじゃ、せっかくの加工技術も台無しです。
しっかりと検査して、詰めの甘さを無くせば一流の加工屋になれる中国メーカーはまだまだ発掘できるはずなんですがね。。。
なので、アドバイスするなら検査体制の強化です!