部品加工の中でネジ穴加工と言えばタップ加工ですが、最近ではスレッドミル(ネジ切カッター)というものがよく使われるようになってきました。
一見するとタップ?と思ってしまうようなタップじゃない工具ですね。
通常のネジ穴加工は、下穴をあけた後にタップでネジ切加工しますが、スレッドミルではマシニングセンタでヘリカル加工によりネジ切りをします。
ヘリカル加工とは、工具を回転させると同時に螺旋階段のように上下に動かしながら削る加工のことです。
ネジサイズ等によっては、下穴さえ不要のスレッドミルもあります。
ネジ穴加工はM2とかM3くらい細いと折れ込んだりしやすくて大変ですよね。
これは加工屋なら分かってもらえると思う。
特に私が嫌いなネジ加工はRc(PT)ネジ。
管用テーパネジです。
入り口が広くて、奥に行くほど細くなるネジ穴です。
タップで加工すると、よく切りくずが詰まったりして、場合によってはネジ山がつぶれたりするのです。
こうなると、作り直し・・・・
特に大きいサイズのRcネジは、タップ加工だと切削抵抗も大きくてボール盤のトルクが効いてしまうので加工が大変。
今回、Rc3/4ネジの割と大きめのテーパネジ加工をしないといけない仕事があり憂鬱になっていたのですが、この際、スレッドミルを購入してヘリカル加工で仕上げることにしたのです。
ところが、思わぬ事態に・・・
スレッドミルの到着が加工納期に間に合わない!!!!
Rc3/4ネジ穴の加工をしないといけないけど、従来通りタップで加工するとネジ山がつぶれたりすることもあるかもしれないし、何よりタップ加工が大変なので取り急ぎスレッドミルを注文した。
ところが、注文したその日に納期催促の連絡が・・・
工具が到着するまで待ってくれないとのこと。
こりゃ諦めてタップで加工するかとも思ったのだが、何せタップ箇所が多くてますます鬱になりそう。
こんな時、あなたならどうしますか?
ちなみに、Rc3/4タップは径が20mm以上あるんですよ。
大変なんです。これ。
せっかく高いスレッドミルの注文をしたのに・・・とブツブツ文句を言っていましたが、カタログなどを見ていてふと思いました。
ちょっと自分で工具を作ってみるか。
何か、工具の刃先を見ていると作れそうな気がしたんです。
簡易の自作工具。
知人から言わせてみれば「バカじゃないの(笑)」だってさ。
バカかも(笑)
自作してみたスレッドミル(ネジ切り工具)はこんなもの
ネジ山の角度が60°なので、刃の形状と逃がしさえ付ければ何とか応急措置的にでも使えるのではないかと。
これ、元々はこんな工具です。
↓↓↓
思いっきり整形してやりました(笑)
エンドミルを研磨するグラインダーで整形です。
さすがに市販されているような複数の刃を付けるのは無理なので2枚刃です。
スレッドミルと呼んでよいかどうかは分かりませんが、これが使えるなら結構オールマイティに使えるネジ切工具かも。
ちなみに、刃物径は14mmくらいです。
なので、M16以上なら使えそう。
sponsored link自作のスレッドミルでネジ切加工をしてみた結果
通常ならば、下穴をあけた後にRc(PT)3/4のタップでネジ切りをするのですが、今回は下穴をあけた後に自作のスレッドミルでヘリカル加工です。
繰り返しますが、ヘリカル加工とは刃物をらせん状に動かしながら上から下、あるいは下から上へと移動させて切削する加工方法のことです。
スレッドミルの場合は刃物を回転させながら、ネジピッチに合わせたらせん形状に工具を動かしてネジ溝を切ります。
また、今回はテーパ(入り口が広くて奥が細い)形状なので、CAD/CAMソフトを使ってRcネジ加工プログラムを作りました。
繰り返しますが、使うのは自作したスレッドミルですよ。
さて、実験してみた結果です。
はい。
この通り。
やりました!
普通に加工できた(笑)
わ~い!わ~い!(*´▽`*)
ネジ山ピッチも間違いないかどうか、タップを手で回して入れてみると大丈夫そうです。
ガタつきもありません。
せっかく工具を注文したのに、自分で作ったスレッドミルで加工できちゃった♪
案外、使えてビックリでした。
スレッドミルでのネジ穴加工をしてみた感想
今までは、大きいサイズのタップの頻度がそんなに高くなかったので、都度タップでヒーヒー言いながら加工していましたが、今回、工具を自作してマシニングで加工してみたら
すんごい楽!って今頃なんですが、病みつきになりそうです(笑)
そんなに大きくないサイズのネジ穴加工はタップでもよいかもしれませんが、今後は大きいサイズのネジをスレッドミルでやろうと決めた日でした。
あ~便利。