【公差で値段が変わる!】ワンオフパーツ加工依頼の図面に書く公差に注意

図面のこと

オリジナルパーツの製作や既製品(メーカー純正品)に追加工を町工場に依頼したいと思う時に注意しておくべきことの1つに『公差』の問題があります。

公差とは寸法の許容範囲のことを指しますが、公差で部品加工の費用が変わります。

さらに、公差をちゃんと設定しておかないと使い物にならない部品が出来上がることもあります。

 

あなたが何も知らないまま、町工場にお願いしてワンオフパーツを作ってもらったとします。

いざ使おうとおもったら使う部位にハマらない!とか、本当はピッチリ止まるようにしたかったのにガタガタや!とね。

それを不良品だ!粗悪品だ!と町工場にクレームを付けるのは大間違いです。

 

それは、ちゃんと指示が出来ていないあなたの責任。

 

素人なんだから、それくらい説明してよ!と思うかもしれませんが、寸法公差の問題は町工場では当たり前中の当たり前のことなので、指示がなければあえて聞くこともしないと思います。

もちろん、加工上の問題で問い合わせをしてくる町工場もありますが、その時にあなたがキチンと指示できるようにもしておきたいところ。

 

ということで、今回は寸法公差の指示についての基本です。

寸法公差の明記方法

通常は寸法数字の右肩や横に±(プラスマイナス)を付けて明記するのです。

もしも、公差が記入されていない場合は一般公差レベルで「使えたらいいよ!」っていう概念で加工されることが多いですね。

 

一般公差レベルっていうのは、数字の大きさによって標準的に定められた寸法のズレ(許容範囲)のことです。

 

1ミリの寸法の許容範囲と1000ミリの寸法の許容範囲は全く異なります。

当然、寸法が大きいほど許容範囲も緩くなるのです。

 

ちなみに、公差の記入例はこんな感じです。

 

 

数字の単位は「ミリ」で統一されます。

センチメートルやメートルで記載されることはありません。

「Φ」という記号は「ファイ」とか「パイ」と読み、「直径」を意味します。

 

個人で加工屋さんに依頼する時には、こうした寸法公差が必要なところに明記しておくことが大事になることがあります。

 

寸法公差の範囲指定にも注意しよう

さて寸法公差という概念を認識できたところで、あなたも図面で寸法公差の指示を出さなければならないかもしれませんね。

 

よーし!と意気込んで、やたらと寸法公差を入れるのはおススメできません。

必要なところに必要な数字を明記しましょう。

 

これが大事です。

やたらめったら寸法公差を記入すると、それだけシビアな加工内容になるので高コストになりますし、場合によってはお断りされてしまいかねません。

 

よくある寸法公差の明記理由が「はめあい」です。

 

「はめあい」とは、この言葉の通りで、モノとモノがはまる時のガタツキ具合のことです。

直径10.00ミリの穴に直径11.00ミリの棒は入りませんよね。

じゃあ、直径10.00ミリの棒は入るでしょうか?

 

一見、入りそうですけども実はこれも入りません。

では、直径9.99ミリならどうでしょう。

 

微妙なところですが、これも手で押し込もうとしてもおそらくは入らないでしょう。

プレス機を使えば入るでしょうけど。

直径9.98ミリになると、ようやく手で押せば入ります。

 

こうした微妙な感じがわからないですよね。

 

ただし、かち込みという方法で穴に入れた棒がクルクルと回らないくらいにビシッとハメる場合は、入れる穴の大きさと同じくらいか0.01~0.02ミリ程度大きめの棒を用意します。

穴にちょっと大きめの棒をハンマーやプレスで押し込むのです。

圧入も同じようなことです。

 

ですが、個人依頼のレベルでそこまですることはほとんどないと思いますので、はめあいについては、はめたい相手に対して入れるモノの大きさを0.02~0.05ミリ小さめに作るように指示をすればよいでしょう。

 

逆に「はまるモノ」が決まっている場合は、はめる側を少し大きめに作るように指示します。

 

切削加工で指示できる寸法公差レベルとは?

機械加工

町工場ごとに設備されている機械の種類も加工内容も異なりますが、一般的に工具を使って削ることを前提にした場合、寸法公差指定ができるレベルというものにも限界が生じます。

 

もちろん、同じ機械加工でも町工場ごとによって対応してくれる寸法公差レベルは異なります。

 

±0.1ミリくらいが限界というところは少数派ですが、±0.05ミリまでというところは多いですね。

もう少しレベル高く±0.02~0.03ミリくらいまでなら、なんとかやれるというところもあります。

 

すごいところは、0.01ミリまで調整するらしいですが、そういった町工場は個人依頼を受けていないことも多いです。

その理由は対企業向けの仕事で引っ張りだこになっているからです。

 

通常は、±0.02ミリレベルを超えると研磨仕事になるのです。

砥石を使って仕上げます。

 

刃物で削って出せる寸法公差には、機械レベルの問題以前に加工上の問題で安定性が低くなってしまうので、むやみに厳しい公差指定はしないように気を付けてください。

 

図面に書きこむ寸法公差のまとめ

個人依頼をする時に指定する寸法公差ですが、どれくらいの範囲を指定したら良いのか実際のところわからないってこともあるでしょう。

でも、できるだけ安くて良いものを作ってほしければ、公差管理は必須です。

 

純正品の追加工だと、純正品がどれくらいの設計で作られているかも実測できればよいですが、できなければ本当のトライになってしまいます。

場合によっては、修正に修正を繰り返すようなことになって、思わぬ出費が重なってしまいます。

 

1回1000円で終わっていたことも、3回修正を繰り返すと単純に3000円かかってしまいます。

修正をタダでやってくれるほど暇でボランティア精神満載の町工場も少ないと思いますし、修正を繰り返してお願いすると「またか!」と思われてしまいますからね。

 

そういった事も含めて、事前に町工場に問い合わせをする時には相談してみましょう。

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