個人の金属加工依頼を極限までコストを落とすためのルール

お金・費用
[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”Akimaru.jpg” name=”Akimaru”]金属部品の加工って個人で依頼できるところが少ない上に割高だったりします [/speech_bubble]

オリジナルの部品を作ってもらおうと、一生懸命に考えて素人なりに図面を描いて加工屋に打診する。

これなら大丈夫かな。

改善点があれば相談してみるか。

 

と思いながら加工屋に相談してみると

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”kakouya.jpg” name=”加工屋”]そんな図面じゃ無理無理。

できない。できない。

できても高いよ。  [/speech_bubble]

 

一蹴。。。。

 

ち~ん。

ガックリ。

 

ということがよくあります。

あるいは、加工屋も万能ではないので的外れな提案をされる場合だって考えられます。

 

なので、簡単な図面作成を自分でする時には、加工方法のこともある程度想定しながらできると理想です。

まぁ、加工方法なんて知らないわ!というのが普通でしょうけどね。

 

というわけで、もしもあなたが自分で考えた部品加工(切削加工)の相談を加工屋にする時、極限までコストを落とすためのコツをお伝えしようかと思います。

ほとんどの人は、加工見積りをお願いしますと加工屋に頼むが返ってきた回答に「こんな高くなるんか! じゃあええわ」というパターンになります。

 

言っておきますが、加工屋も見積り作業に時間を割いているわけです。

決して適当にやっているわけじゃないんです。

無料で見積りするのは当たり前の世の中ですが、見積りする前から双方に感覚のズレがあると見積り作業そのものが無駄な時間を過ごすのと同じになります。

 

できれば、これくらいまでにコストを抑えたいという願望は最初に伝えておくとよいですね。

なんか、金額を言っちゃうとカモられそうという心配はあるかもしれませんが、自分が納得できる金額で作れる作れないの判断を確実にしてもらう方が私は良いと思いますけどね。


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部品加工における材質の選定が大切

金属部品を作るとき、最初に決めないといけないのは材質

私が加工屋として働き、今まで色々な方から相談を受けたことがありますが、案外「材質」をまったく言及されない人が多いことに気付きました。

 

ひどい時には、何か写真を撮ってメールで送ってくれるんですが

「これを作ることできますか?」

の一文だけ。

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”Akimaru.jpg” name=”Akimaru”]

雑!!!

雑すぎますよ![/speech_bubble]

 

それは一体何なのかも分からないし、材質が何かもわからない。

ましてや一部分だけ撮影した写真を送っても、全体像がわからないと大きさすらも分からない。

 

それに、せめて自分の名前くらい書いてくれてもいいんじゃないですか?

「○○御中」とか弊社宛のメールであることを明記するべきです。

メールの送り方にも注意してほしいとは思います。。。。

だって、回答する気が失せますもん。

 

このような雑すぎるメールには、基本的にはお断りメールを返答することがほとんどです。

すいませんね。

 

さて、脱線しましたが、とにかく材質は何で作りたいのかは伝えるようにしましょう。

もしも、何で作ればよいかがわからないなら、その旨を伝えてアドバイスをもらえばいいと思います。

 

ただし、注意してほしいのは加工屋は万能ではないということ。

得意、不得意分野があるので、知識が偏っていることもあります。

材質選定についてもベストアンサーが返ってくると信じ切るのはダメ。

あくまでも参考にしてくださいね。

 

もしも「鉄」で作りたいというなら、私の知るところで最も安いのはSS400という種類の鉄です。

焼入れも何もしない、普通の鉄です。

でも、旋盤加工の場合は会社によってSS400は切り粉(切削くず)がまとわりつくので、S45C(炭素鋼)の方がいいって言うところもあります。

S45CもさほどSS400と価格が変わらないので、旋盤加工品の場合は「鉄」で作りたい=S45Cで作るでもいいかもしれません。

 

多面的に加工を要しない設計が好ましい

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”kakouya.jpg” name=”加工屋”]くっそ!

なんでこんなに加工工程が多いんや!

時間かかるなぁ・・・  [/speech_bubble]

という加工屋のボヤキはよくあること。

 

部品加工を工作機械でする場合、まずは加工物を固定しないといけません。

バイスで掴む。

チャックで掴む。

機械テーブルにクランプする。

治具を使って固定する。

 

固定の方法は様々です。

どれがどんな方法かは特に細かく知る必要はありませんが、とにかく固定しないと加工できないと理解してもらえればOKです。

だって、空中に放り投げてシャシャシャ~っと切れるわけないから。

マンガか!

 

加工物を固定するということは、機械の種類によっても様々ですが、上から横から、裏側と色々な方向から加工が必要になる場合は加工プロセスごとに固定し直しが必要です。

今、5軸加工機と呼ばれる機械がどんどん増えているのは、加工プロセスにおける固定し直し回数を極力少なくするのにすごく有効だからです。

こんな感じですね。

 

今までなら、何回も掴み代えしながら加工していたのが、一回の固定で多面加工できるんです。凄いでしょ?

でも、どこの町工場もこんな機械をそろえているわけではないです。

しかも、スポット的に個人依頼の加工をこの機械でやってくれる会社も今は少ないし、やってくれても加工代は割高な傾向がまだまだ強い。

 

ですから、そもそも設計段階でできるだけ加工工程が少なくなりそうな図面を考えるのがあなたの努めでもあり、コストダウンにつながると思ってください。


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「細く深い穴」「細く深い溝」「削る量が多い」はコストが高くなる

部品加工図面を考えるときに注意したいのは、加工プロセスの多さだけでなく加工内容ももちろんです。

例えば、細く深い穴や溝というのは加工が難しい。

というか、場合によっては加工方法が限定されます。

 

それに加えて、ゴッソリと削り込まないといけない加工だと時間がかかるのでコストが高くなるというのは予想に難しくないと思います。

削る部分が多いと、使う工具の種類も増えることがあります。

 

使う工具の種類が増えれば、それだけ段取り(工具の設定、プログラムの作成、機械のセッティングなど)に時間がかかります。

私たち町工場の多くは、材料費を除く加工代を計算する時に「どれだけ時間がかかるか」をものさしにしています。

 

でも、部品加工にかかる加工賃は「加工する時間」だけでなく、どれだけ段取りに時間がかかるかも考えないといけないのです。

例えば、プログラムの作成に1時間。

加工セッティングに30分。

実際の加工に1時間。

合計で2時間半です。

 

これを予想して私たちは金額を算出します。

ですから、会社ごとに得意としている加工や普段からしている加工と類似内容のものが依頼としてあれば、セッティング時間が短くなるし加工プログラムも素早く作れます。

一方で、慣れない加工とかワークサイズがいつもやっているものと違うとか、加工が複雑であれば実際の加工時間以上に段取り時間が必要になるのです。

 

こういう、見えない部分というのがコストダウンに重要だったりします。

つまり、段取りに時間がかかるものほど、量が増えればディスカウント率(割引率)は高くなる傾向が強いということ。

まぁ、それは素人ではわかりませんし、同業であっても会社によって千差万別なので予測できません。

 

 

他にも、加工上難しくてコストに影響を与えるのは工具の形状や大きさによって制限される加工物の形状ですね。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、代表的なのはポケット加工の隅の形状なんかがあります。

 

なので、自分でオリジナル部品を考えるときは丸い棒状の刃物で削るぞ!と頭に入れながら描いてみてください。

そうすると、「あっ!ここは加工難しいかも・・・」と気付くようになれます。

 

「量をたくさん発注したら安くなる」の限界

単品だと高い。

量産だと安い。

 

この認識は間違ってません。

でも。

生産量を増やした時のディスカウント率というものにも、加工方法によって限界値があります。

 

とりわけ切削加工の場合、単品と量産では使用する機械が異なる場合もあります。

例えば、丸い棒材を削って作る製品があったとします。

単品加工する場合だと、目的のサイズに近い材料を用意して削っていきますが、量産になった場合は2mとか3mくらいの長い材料をセットして自動で削って切り落とす機械を使うこともあります。

 

あるいは、鍛造で形状を作ってから最後の仕上げだけを機械加工するという方法もあります。

この場合も自動機でバンバン量産できたりします。

 

このように、自動で流して加工できるような形状のものならば、かなり安くなることは間違いありませんが、問題は生産ロット数です。

つまり1回発注量ですね。

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”kakouya.jpg” name=”加工屋”]100個くらいじゃダメダメ。 [/speech_bubble]

数千、数万、数十万個という数を想定するくらいが妥当というものだってあるので考えもの。

特に個人で依頼する時には、数万個なんて発注することは稀でしょう。

 

100個レベルの仕事なら、形状に問題がなければ鍛造とか鋳造ではなく切削でします。

そうなると、結局は段取り時間が多少短縮されるだけなので、ディスカウント率は低くならざるをえないのです。

 

1個だと10,000円

100個になったら1,000円

なんて夢の話です。(たぶん)

 

想定コストの相違を少なくできるようにするためには

「見積もりしてください」

これを言うのは簡単です。

でも、加工屋も仕事になりそうにない案件は見積もり辞退をしたいというのが本音。

 

私たち町工場はものを作ることを生業としていますから、とにかく多くの部品製造をしたいわけです。

なのに、見積もりしても受注に至らない案件ばかりを相手にしていては生活できませんから。

 

そこで、個人依頼として「見積もり」をお願いする前に、考えている製作方法とか予算など情報提示は大事かなと思います。

継続して取引する企業と違い、スポット案件を嫌う会社は結構多いです。

なので、スポットでも受けてもらえるようにするためには、予算の提示が一番。

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”kakouya.jpg” name=”加工屋”]その金額ならできるよ!  [/speech_bubble]

という返事をもらえないと前に進みませんからね。

 

案外、自分が考えている予算が低いか高いかは分からないものです。

 


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