これからフライス加工をやっていこうという初心者の方に向けて、フライス加工にはどのような加工があるのかについて説明します。
この記事を読むことで、加工の種類がわかるので図面を見てどのような方法で加工すればよいかを考える力が付きますよ。
正面切削
スローアウェイカッターと呼ばれる工具を使い、加工物の正面を削ることを正面切削と言います。
エンドミルは工具の底と腹に刃がついていますが、スローアウェイは基本的には底面だけです。
エンドミルに比べて剛性があるので、鋼材の厚みを落としたい場合にはエンドミルよりも素早く削れます。
また、スローアウェイはホルダーに超硬やセラミックのチップを取り付けて使い、チップが摩耗したら交換できます。
溝切削
エンドミルを使って加工物に溝を加工することです。
溝幅に公差があれば、溝の仕上げ幅よりも小さいエンドミルで荒加工、仕上げ加工をして精度を出します。
ボールエンドミルを使えば、R溝が加工できます。
T溝切削
最初にエンドミルで溝加工をした後に、Tスロッターと呼ばれるT字型の刃物で底部分だけ幅が広い溝を加工することです。
T溝加工をする場合は、ダウンカットよりもアップかっとの方が経験上よいと思います。
ダウンカットすると、どうしても切削屑を巻き込んで工具が折れたりしやすいので。
アリ溝切削
ハの字になった溝の加工のこと。
アンギュラカッター(アリ溝カッター)で加工します。
面取り加工
エッジを斜めにカットする加工のこと。
テーパーエンドミルや面取りカッターで加工することが多いが、加工物を斜めに固定してスローアウェイやエンドミルで加工することもある。
穴の面取りは面取りカッターを使うが、大きい穴の場合はテーパーエンドミルで穴に沿ってグルリと加工する。
なお、糸面取りとあれば通常はC0.2くらいで加工します。
穴加工
フライスで行う穴加工には、ただのバカ穴をあけるドリル加工、精度要求があるリーマ加工やボーリング加工がある。
ドリル加工
最もオーソドックスで基本的な方法ですが、基本である一方でドリル研磨は熟練の技が必要とされます。
初心者のうちは、うまくドリル研磨ができずに穴加工をすると加工面がガタガタになってしまったりすることがよくある。
Φ10のドリルであけた穴を測定すると、Φ10.6とかになっていたり。。。
それだけ、ドリルの先端が切れていないので芯が振ってしまっているんですね。
ドリルにはいくつもの種類があることは、工具販売サイトなどを見るとよくわかるが、特殊なドリルになればなるほど再研磨が自分でできないタイプのものがある。
切れなくなったらメーカーに再研磨依頼しないといけないのだ。
正直、加工上は便利だけれどもメンテが面倒くさい・・・と私は思っているので、個人的にはよほどのことがない限りは、オーソドックスなドリルを常用しています。
ザグリ加工
ボルトを入れるための穴(ザグリ)の加工。
ドリルで穴をあけた後に、エンドミルで上部を広げます。
工具によっては、穴と座の部分を同時に加工できるものもある。
他には皿ネジ用の皿もみ加工もあります。
リーマ加工
ある程度の穴精度が必要な部位はリーマ加工します。
精度は0~0.03mmくらい。
おおむねΦ20以下の穴に適用し、大きな穴はボーリング加工をすることが多い。
リーマには、刃物がテーパーになっているテーパーリーマもあり、テーパーピン用の穴を加工するときに使います。
慣れていないと加工が難しい。
ボーリング加工
ボーリング加工専用の工具を使います。
厳しい穴精度が必要な部位に適用し、おおむねΦ10以上の場合で使うことが多い。
ボーリング加工は1枚の刃で加工するため、見た目もキレイに仕上げることができます。
(回転と送りの設定による)
sponsored linkタップ加工
いわゆるネジ切りです。
ドリルで下穴をあけて、タップでネジ加工をします。
タップには、ポイントタップとスパイラルタップがあり、それぞれ用途の使い分けがあります。
止まり穴にはスパイラル、貫通穴にはポイントがセオリーです。
ヘリカル加工
らせん状に工具を回転させて加工する方法。
タップでは加工できないようなネジ加工にも、スレッドミルという工具を使えばネジ加工がフライスでもできます。
そのほか、ドリルでは硬くて加工できないような素材でも、超硬のエンドミルなどを使いヘリカル加工をすることでエンドミルで穴あけもできてしまいます。
このほか、3次元加工をするときに工具の侵入をヘリカル侵入させると、衝突回避ができるので利用することがある。
3D加工
3次元加工のこと。
金型の掘り込みとか、ブロックからの削りだしでプロペラを作ったりした動画を見たことがないでしょうか?
3次元加工はCAD/CAMソフトで加工物のモデリングをし、作ったモデルで加工プログラムを作ります。
3次元加工は非常に難しそうですが、ある程度まではCAD/CAMの使い方次第と言えます。
一定レベル以上は加工ノウハウがものを言う世界になるので、そこからは熟練の知識が必要になるでしょう。
なお、3次元加工には、3軸制御、4軸制御、5軸制御のいずれかのマシニングが必要になります。