2.5次元加工とは?2次元加工・3次元加工との違い

2.5次元加工 工作機械

マシニングでの部品加工ではCAD・CAMを使って加工プログラムを作る時に「2.5次元」という特殊?な言葉を使うことがあります。

 

2次元とか3次元なら理解できるけど、「2.5」ってなんだ???

と思ってしまう部品加工の初心者さんは多いと思います。

 

結論から言っちゃうと、2.5次元というのはXYZ軸のうちX-ZもしくはY-Zを同時に動かして加工するプログラムのことを指すんです。

X-Y軸なら平面の加工なので2次元。

X-Y-Zを同時に動かす場合が3次元。

違いが分かりますか?

 

ここでは、もう少し分かりやすくお伝えするために図を使って違いを説明しますので読み終えると納得できると思います。

2.5次元加工とは

マシニング加工をするための加工プログラムを作る時に2.5次元加工という言葉が使われます。

加工物をマシニングのテーブルに置いたとき、四角いものでも、丸いものでも、異形のものであっても全ては縦・横・高さ(X・Y・Z)の3軸で物体の大きさを測ることができますよね。

 

CAD/CAMで加工プログラムを作る時には、切削工具をどの方向に動かして削るのかということでそれが2次元の動きなのか、2.5次元の動きなのか、3次元の動きなのかが決まります。

 

例えば、平べったいプレートにエンドミルで溝加工をする場合、エンドミルを横方向(X軸方向)、もしくは縦方向(Y軸方向)に動かしますね。

あるいは、斜め方向(XY軸方向)に動かすかもしれません。

2.5次元の動き

※黄色い棒で示すのはエンドミル(切削工具)

このように平面を削るような動きをする加工は、最大でも平面のXとY2軸でしか制御していないので2次元加工になります。

平面の加工が2次元加工だと思えば大丈夫ですね。

 

従って、2次元加工を作るためのCAD/CAMソフトで取り扱うデータも2次元データになりますので、CADデータの拡張子はDXFなどが主流となります。

DXFは”中間ファイル”と呼ばれていて、自分が使っているCADソフトのオリジナル拡張子とは別のものになります。

自分以外の誰かとデータ共有をする場合、同じCADソフトを使っているとは限らないですから、誰でも共通して使えるような拡張子で共有する必要があるんですね。

 

CADデータの拡張子については「部品加工の依頼で送るCADデータの拡張子は何がよい?」の記事でも書きましたが、DXF以外にも加工プログラムに使える拡張子と使えない拡張子、あるいは使用しているソフトのオリジナル拡張子から中間ファイル用拡張子など様々あります。

外注依頼をするときなどは、中間拡張子に変換して提供することが望ましいのと2Dデータか3Dデータによっても拡張子が変わります。

 

ちなみに、CAD/CAMの「CAD」と「CAM」の違いが分からないという人は「CAD と CAM の違い『超基本』は簡単なことです」の記事を参照してください。

 

さて、平面の加工にZ軸が加わることで2.5次元の加工になるわけですが、3次元加工がXYZの3軸を同時に動かす加工のことを指す一方で、XZもしくはYZの2軸を同時に動かす加工を2.5次元加工と呼びます。

 

例えば、下のような図で黄色の棒がエンドミルだと思ってください。

エンドミルが平面を横に動いている間は2次元加工ですが、三角錐の斜面を斜め上に動いている時や斜め下に動いている時は2.5次元加工になります。

2.5次元加工の動き

一方で、下の図の緑色の矢印の動きのように、三角錐の斜面を斜め上もしくは斜め下に動いている時はXYZの3軸が同時に動いているので3次元加工になります。

3次元加工の動き

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2.5次元加工と3次元加工の使い分け

2.5次元加工と3次元加工の使い分けについては、使用しているCAD/CAMソフトおよび工作機械(マシニング)によります。

フライス入門用というか、簡単なCAD/CAMソフトだと3次元加工のプログラムを作れなくて、2.5次元までしか対応していない場合があります。

 

金型などの加工をする場合は3次元加工が必須ですが、2.5次元加工で十分な部品もありますので、特段使い分けをしなければいけないというわけではないです。

形状によって、3次元加工をしないと作れないものがあるよということです。

 

2.5次元加工に比べて3次元加工は加工プログラムの作成は急に難しくなります。

2.5次元までは、かろうじて工作機械に手打ちでプログラムを作ることができるかもしれませんが、3次元加工の場合は手打ちは無理だと思ってください。

基本的にはCAD/CAMソフトを使って対応するしかありません。

 

なので、3次元加工以上のプログラムを作れるようになるためには、まずはCAD/CAMの使い方を覚えるしかありませんし、できれば3Dモデルも自分で作れるようになっておく方がよいと思います。

ちなみに、部品加工の初心者はCAD/CAMの使い方を覚るためには、実際に部品加工をしている会社に就職してから触るしかないと思います。

 

学校で教わるようなものでもないし、CAD/CAMもマシニングもメーカーによって様々な種類があるので使っているうちに覚えていくというのが正しいのでは。

これから部品加工をする仕事をしたいという人は、大手メーカーよりも町工場の門をたたくのがおススメです。

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