異種金属を溶接以外の方法で接合する方法

摩擦接合 加工のこと

とあるローラーシャフトの見積り案件があったんですが、SKD11のロールにSCMの軸を焼きバメする構造のものだったんです。

正直、焼きバメするシャフトって得意じゃないんだよなぁと思っていたんです。

 

特にSCMとSKDの膨張係数の違いのせいで、なかなかうまくいかなかったりするらしい。

あ~。やっぱ難しいなぁ

そんな感じの中、とある知り合いに焼きバメするとこ知ってるか相談したんですよ。

そしたら「摩擦接合やったらアカンの?」と言われたんです。

 

まさかの摩擦接合!?

摩擦接合(摩擦圧接)とは

素材を高速で擦り付け、その時に発生する摩擦熱で接合する技術を摩擦接合(摩擦圧接)といいます。

摩擦溶接と呼ぶ人もいるように、一種の溶接と考えてもよいですが、動画を見てもらえれば分かるとおり金属だけでなくアクリル樹脂などにも使えるし、異材同士でもくっつくのが特徴です。

 

そして、通常のアルゴン溶接などと違うのは、接合力が群を抜いて強いということ。

摩擦接合をする部分は接合面が真空になり、不純物が外に排出されていくことで接合面全体がお互いに接合するからです。

普通の溶接だと、どうしても外周部だけの接合になってしまいますからね。

 

摩擦接合のデメリット

接合強度も良いし使えそう!!と思いたいところですが、デメリットもあります。

  • 強度の弱いものには使えない
  • 回転させられないようなものには使えない
  • 誰でもどこでも簡単にできるわけではない
  • 他の溶接よりも費用が高め

 

素材同士を擦り付けて摩擦熱を発生させることで接合するため、高速回転させることができないと摩擦熱を発生させられません。

なので、複雑な形状をした異形のものなんかは無理ですね。

あとは、摩擦接合部には大きな圧力をかけることになりますから、薄っぺらいものはその圧力に耐えられないのでダメです。

 

そして、もう1つの問題は摩擦接合をやっている業者がそんなに多くないということと、費用は通常の溶接よりも若干高めかなということです。

実際、私も摩擦接合の見積りを出してもらいましたが、ひっくり返るほどではないけど「高いなぁ」と感じたほどです。

摩擦接合のメリット

  • 強度が強い
  • 異材の接合も可能
  • 焼きバメするよりは安い?

メリットはとにかく接合力が強いということ。

溶接ですけど、ほぼ一体化しちゃうイメージを持ってもらうとよいかもしれません。

 

それに、アルミと銅などの異材でも接合できるので加工品の幅が広がりますよね。

溶接するときの溶接棒は何を使おうか???と迷うこともありません。

ちなみに、超硬と鉄の接着にはロウ付けという方法を用いることが多いです。

 

費用については、普通にアルゴン溶接するよりは若干高いと思います。(業者さんによる)

しかし、焼きバメとか冷やしバメするよりは、費用も安いし早いはず。

 

焼きバメの代わりに摩擦接合は使えるか?

焼きバメをする部品にも色々とあり、摩擦接合が使えるかどうかは形状次第です。

ただし、SKD材のように焼入れをして硬度を高くするものは、摩擦接合した部分が摩擦熱によって鈍ってしまいます(硬度が下がる)から注意しないといけない。

 

摩擦接合という技術は特別に新しいものではなく昔からある技術ですが、知らないうちは加工方法の選択肢として頭に浮かんできません。

こういう加工方法もあるんだということを知るということが大事ですね。

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