亜鉛メッキとは?ユニクロメッキとクロメートも亜鉛メッキ?

表面処理

部品図面の表面処理の欄に「ユニクロメッキ」とか「三価クロメート」という文字を見て、これがどんなメッキ(表面処理)なのかをしっかり意識している人は少ないかもしれない。

 

そもそも、何故そのような処理をするのかを考えたこともないかもしれない。

⇒どうせ、錆びないようにとか外観を良くするためでしょ。

まぁ、当たりです(笑)

 

ユニクロメッキもクロメートも亜鉛メッキのことですが、このような名前の違いがある理由について簡単に説明します。

ちなみに、亜鉛メッキはEp-Fe/Znというような記号表記されている場合もあるので覚えておくといいですよ。

Ep-Fe/Znはメッキの表記?

亜鉛メッキをする理由

身の回りにある鉄系部品には錆びないようにするため多く亜鉛メッキされています。

亜鉛は優れた耐食性を持つ金属ですが、本当のことを言っちゃうと亜鉛は鉄よりもイオン化傾向(金属がイオンとなって溶けだしていきやすさ)が大きいので、水+酸素と反応してZn(2+)になりやすいんです。

要するに鉄より錆びやすい・・・

 

ダメじゃん!!!亜鉛って錆びないんじゃないのかよ!!!

 

と言いたいところですが、亜鉛の凄いところは自身の錆びやすさを逆手にとって、亜鉛は鉄の犠牲になって先に錆びることで鉄が錆びてしまうことを防いているという。

これを犠牲防食作用と言う。

 

金属はイオン化傾向の大きいものから錆びていく。

学生の頃に化学の授業で「水兵リーベ僕の船・・・」と習ったのを覚えていないだろうか?

元素の周期表ってやつです。

これを見ただけで「吐きそう・・・」って言う人もいるとか、いないとか(笑)

そんなことはさておき、この表を見てみると薄緑色の元素は金属的性質を持つものとされる。

ほとんどが金属ってことになるんですね。

 

実は私たちの身の回りって金属だらけだったということを改めて思い知らされます。

 

そんな金属の主なものをイオン化傾向の大きさ順に並べるとこんな感じです。

K(カリウム)Ca(カルシウム)Na(ナトリウム)>Mg(マグネシウム)>Al(アルミニウム)>Zn(亜鉛)>Fe(鉄)>Ni(ニッケル)>Sn(スズ)>Pb(鉛)>Cu(銅)>Hg(水銀)Ag(銀)Pt(白金)Au(金)

 

オレンジ色で書いたK、Ca、Naは非常に酸化されやすく、一方で緑色で書いたHg、Ag、Pt、Auは逆に酸化されない金属です。

いや・・・ちょっと待って!銀って銀食器とかシルバーアクセサリーに使われるけど、すぐに酸化して黒くなるやん!!

と思ったかもしれませんが、銀が黒くなるのは酸化しているのではなく、硫化して黒くなっているのです。

 

温泉の成分とか、空気中や汗などの硫黄成分と反応して黒くなっているんです。

酸化しているわけではないんですよ。

って話がどんどん脱線しそうです(笑)

 

とりあえず、鉄に亜鉛メッキをするのは、鉄よりもイオン化傾向が大きい亜鉛で鉄を覆うことで鉄よりも先に亜鉛が錆びるようにして鉄の酸化(錆び)を防いでいるということです。

そして何よりも亜鉛は安い。これが結構大きな理由かも。

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亜鉛は赤さびには強いけれども、白錆びには弱い

鉄は酸素と反応して、酸化第二鉄(Fe2O3)というものに変わり、これが赤錆の正体です。

鉄が屋外で放置されて雨ざらしになるとボロボロになるのはこの赤錆が原因。

 

ちなみに、黒錆は四酸化三鉄(Fe3O4)であり、こちらはアルカリ溶液などで無理やり化学反応させることでできる酸化物です。

赤錆と違って黒錆は安定性が高く黒染めやホモ処理(水蒸気処理)に利用されています。

防錆のためにわざと鉄の表面を安定な黒錆で覆わせる処理なんですね。

鉄の赤錆と黒錆の違い

 

亜鉛は錆びないと思いきや鉄より錆びやすいという衝撃を先ほど受けたところですが、亜鉛は雨に濡れて乾きにくい状況下にあったりすると、白いチョークの粉のようなものが浮き出てきます。

これがいわゆる「白錆び」というもので、酸化亜鉛などが主な成分です。

強酸や強アルカリ、あるいは塩などで白錆びは出やすくなります。

 

そのため、通常、亜鉛メッキでは鉄の上を亜鉛で覆ったあとに、六価クロムもしくは三価クロムの被膜で覆う後処理をして防食性を上げることが一般的です。

このときにできる被膜がクロメート被膜です。

なので、亜鉛メッキの構造は素地(鉄など)- 亜鉛 – クロメート被膜というようになっている。

 

亜鉛メッキの種類

亜鉛メッキの種類は最終的な後処理によって分けられます。

この記事のタイトルにもある、ユニクロメッキもクロメートメッキと言われるものも亜鉛メッキの後処理による違いで名前が変わっているだけです。

なので、中身は同じ亜鉛メッキなんです。

 

亜鉛メッキをした後の後処理には、六価クロムもしくは三価クロムを含む処理液に漬けます。

それによって色味が変わる。

 

いずれにしても主に以下の3種類に大別できる。

  1. ユニクロメッキ(光沢クロメート)
  2. 有色クロメート
  3. 黒色クロメート

耐食性は1<2<3の順で向上します。

単純にクロメート被膜が順番に厚くなっていくと思ってもらえれば大丈夫です。

 

ユニクロメッキの色味は銀色~少し青っぽい感じに仕上がります。

安いネジなんかは、ユニクロメッキをしていることが多い気がします。

 

有色クロメートは黄色というか金色という感じから虹色っぽい仕上がりになります。

ちょうど上の画像みたいな感じの色合いです。

 

そして黒色クロメートはその名前通り黒色に仕上がります。

とにかく耐食性が必要なものは黒色クロメートの指示があることが多いです。

 

ただ、六価クロムは環境規制が厳しく、六価クロムによる人体被害(中毒症状)としては鼻中隔穿孔が代表例です。

これは、左右の鼻の穴を隔てている壁に穴があいてしまう症状です。

怖いですねぇ。

 

なので、現在は六価クロムフリーにどんどん移行しています。

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