手元にあるプラスチック部品(パーツ)を複製したいという状況
色々あると思います。
しかも、数個~数十個くらいの少量。
あなたなら、どんな方法で複製しようと思いますか?
実は、小さなものなら自分で型取りをして複製できちゃいます。
しかも、使う道具はほぼ100均で買える。
その方法については、DIYなどを趣味にしている人達がたくさん you tube などの動画にアップしているので検索してみてください。
いやいや。自分で作業するのは面倒だし無理!
業者に頼んで安く作りたい!
という人におススメなのがここで紹介する真空注型という方法です。
プラスチック部品(パーツ)の複製方法にはどんな方法がある?
そもそもですけど、プラスチック部品を複製する方法はいくつかあります。
そんなのどーでもええから・・・と言う人は読み飛ばしてもらって大丈夫ですけど一応ね。
代表的な方法は以下の3つ。
- 樹脂素材から切削(削り出し)で作る
- 3Dプリンターで造形する
- 型を作って複製する
削り出しで作るメリット・デメリット
樹脂(プラスチック)素材を購入して削って作るという方法は素材選定に自由度が高いというメリットがあります。
3Dプリンターだとまだまだ使用できる素材が限られていますし、型に溶かした樹脂を流し込んで作る方法でも同じです。
でも、”削る”という方法は、樹脂素材さえ手に入って上手く削れるものなら何でもイケますよね。
しかも精度が他の方法に比べてコントロールしやすい。
とはいえ、金属部品などと比べると樹脂(プラスチック)は熱膨張率が大きかったりするので安定した精度を出すのはかなりムズイので、そのあたりは理解しておく必要があります。
デメリットとしては、コストが高い。
やっぱり、時間もかかるし1個1個を切削して作るわけですし、とりわけ肉厚が薄いプラスチック部品などは切削が難しくて価格が高騰しやすいです。
ブロック形状で穴があいているだけみたいな単純な形だとこの限りではないですから、それらについては業者さんに問い合わせをしてみましょう。
もう1つ超大事なことは削るために図面もしくはデータが必要になります。
壊れたプラスチック部品の現物を渡すから、これを削り出しで複製して欲しいという要望はかなり多いです。(実際に私もよく相談を受けます)
でも、削るためには寸法や形状データが必要になるわけです。
ハンドメイドで粘土をコネて作るわけではないので、その点についても理解は必要になる。
なのでデータが無い。作れない。どうしようもない。
となると、業者さんでデータを作ってもらえるのかどうか、3Dスキャンしてモデルを作れるかどうかなどの確認が必要になります。
個人クリエイターがサービスを提供しているココナラ でも3Dスキャンしますという人はいるので、見つかれば安くすむかも。
自分で色々とスキャンして3Dモデルを作りたいなら、アマゾンなどで安い3Dスキャナーを探してみてもよいかもしれないですね。
3Dプリンターで造形するメリット・デメリット
3Dプリンターにもいくつかの造形方法があります。
DMMの3Dプリンターサービスなど、造形サービスを提供している会社はいくつかあるのでそういった業者に依頼すれば手軽にプラスチック部品が作れるメリットがあります。
ただし、選べる素材に限りはありますし、何よりも3Dモデルデータが必要という高いハードルが・・・
なのでモデルが用意できないという人には向かない方法になります。
それに強度については、若干弱い。
価格はどうか?というと、昔はかなり高額でしたけど最近は3Dプリンターも当たり前のように普及されているので安くなりました。
1個、2個の数を作りたいという場合にはメリットが大きいと思いますが、10個とかそれ以上必要な場合は次に説明する「型を作って複製する方法」を選択した方がよいかと思う。
sponsored link型を作って複製するメリット・デメリット
1個、2個のレベルじゃなくて10個、50個、100個あるいはそれ以上の数の部品を作りたい場合には型を作って複製するべきです。
1個あたりのコストがかなり抑えられます。
それに型さえ作れば、かなりの量を繰り返し作ることができるのでリピート生産が簡単になるんです。
街中で見かける大量生産されているであろうプラスチック製品の多くは射出成型と呼ばれる方法で作られているのですが、これは金属製の型(金型)を作って製造されています。
数万個、数十万個あるいはそれ以上を生産する場合には必ず射出成型を活用していると言っても過言ではないでしょう。
問題は金型を作る費用ですよね。
少量の複製で金型を作っていては金型費用が高すぎてダメです。
軽く数十万円はすることが多いからです。
でも、今あなたが欲しいのは数個~数十個レベルくらいの数の複製ですよね?
そこでおススメするのが真空注型という方法です。
真空注型も”型”を使った複製方法になりますけど金属製の金型を使わないのが特徴なんです。
真空注型とは
すでに手元にあるサンプルを簡単に速く複製するのに有効な方法です。
手元のサンプルをマスターモデル(見本・原型)としてシリコンゴム等で型をとります。
溶かしたシリコンの中にマスターモデルを入れて、シリコンを硬化(固める)させるだけで簡易金型が出来上がるのです。
作ったシリコン製の型に真空状態で樹脂を流し込み、複製品を作ります。
真空状態で樹脂の注入をする理由は、出来上がる製品に気泡が入りにくいというメリットがあるからです。
真空注型を使えば、金属製の部品をプラスチック製に変えて数十個複製することも可能。
マスターモデルさえあれば、型取りをするだけでOKなんですから。
真空注型のメリット
金型を作って・・・という方法と比べると、圧倒的に短納期・低コストで複製品の調達ができるということ。
やっぱり、依頼したら早く手元に複製品欲しいですよね。
そういう時にはかなり有効です。
また、手元にあるマスタ-モデル(原型)の形状を細かく忠実に再現できます。
原型の材質は金属・木材・プラスチックなどシリコンが固まるのを妨害しないようなものであれば真空注型に使えます。
しかも、真空注型って難しそうに聞こえますけど、ココナラなどで個人クリエイターが「真空注型【オリジナルアイテム】作製いたします」というサービスを超低価格で提供していたりもするので探してみると見つかるかもしれません。
真空注型のデメリット
デメリットは材質がウレタン樹脂やシリコンゴム、エポキシ樹脂に限定されてしまうこと。
製品に着色をしたければポリウレタン樹脂を使うと良い。
また、シリコンでマスターモデルから型取り(転写)するのですが、出来上がる型の製作精度とその型を使った注型で作った製品の寸法精度には限界があるため、精密な寸法精度が必要となるものには使えない。
複製品には概ね±0.3~0.5mm程度の誤差が出ると思っておけばよいでしょう。
あとは、使える素材に制限があるため、製品の機能に関する評価試験には使えません。
衝撃に耐えられるか、熱変形しないか、引張強度はどうかなど。
なので、おもちゃなど寸法に細かく注文付けないものであれば、小ロットで手元にあるマスターモデルを複製できるので有効です。
あるいは、異なる色調に変えて実験したいとか、プレゼン用にちょっとだけ複製したいという場合にはうってつけですね。
費用面でのデメリットも実はあって、1個だけ複製するために真空注型はちょっと高くつきます。
やっぱり数十個単位で作らないと厳しいお値段になるかもね。
逆に数百個以上とかだと、さすがにシリコン型では耐久性がそこまでないので金型にしないとダメです。
まとめ
手元に複製したプラスチック製品があって、10個~数十個を複製したいというのなら、利用すべきは真空注型です。
まずは切削で作るのか、3Dプリンターで造形するのか、金型を作って複製するのか・・・と比較して最適な方法を考えておきましょう。
真空注型をどこの業者に頼むか迷ったら、とりあえず近くに樹脂加工・樹脂成型業者がないかググってみよう。
インターネット検索すれば、意外と見つかりますよ。