個人で金属3Dプリンターを依頼する方法と費用のリアル

個人で金属3Dプリンターを依頼する方法と費用のリアル 3Dプリンター

「金属でオリジナルパーツを作ってみたいけれど、個人でも金属3Dプリンターって依頼できるの?」そんな疑問を持つ方は少なくありません。実際、樹脂製3Dプリンターに比べて、金属3Dプリントの価格や依頼のハードルは高いと感じがちです。

しかし近年では、個人でも依頼できるサービスや、小ロット・1個からの造形に対応した3Dプリント業者も増えており、うまく選べば手の届く現実になってきました。

もちろん、うちの会社でも金属3Dプリントの受託を受けていますので相談先に困っているようでしたらお問い合わせください(https://www.hirano-s.jp/3d-printer

この記事では、個人で金属3Dプリントを依頼するための流れや注意点、費用の目安をわかりやすく解説します。材質の違い・納期・おすすめサービス・トラブル回避法まで網羅しているので、初めてでも安心して依頼できるようになりますよ。

 

個人が金属3Dプリンターを依頼する前に知っておくべき基本知識

個人が金属3Dプリンターを依頼する前に知っておくべき基本知識

金属3Dプリンターへの依頼というと、以前は企業の製品開発部門や研究機関だけが使える特別な設備というイメージがありました。ところが現在では、副業での試作品づくりや、趣味の機械パーツ製作など、個人利用も現実的になってきています。

この記事では、個人が金属3Dプリンターに依頼する際に知っておくべき基本の「技術」「費用」「データ形式」などの重要項目について、初めての方でも分かるよう丁寧に解説していきます。実際の価格感や納期、素材の特徴などもふまえた実践的な情報をお届けします。

 

個人でも金属3Dプリントを依頼できるのか?実現可能性と背景

以前は数千万円単位の設備投資が必要だった金属3Dプリンター(積層造形装置)は、近年、業者による「受託造形サービス」の普及によって、個人でも1個単位で依頼できるようになりました。

たとえば、DMM.makeやJLC3DP、カブクなどのサービスでは、ブラウザ上で3Dデータ(STL形式など)をアップロードするだけで、見積もりから注文まで完了します。アルミ、ステンレス、チタン合金など20種類以上の金属素材に対応しており、1パーツ5,000円〜10,000円程度で製作可能な事例もあります(素材やサイズ、精度により大きく変動)。

加えて、こうしたサービスは3Dプリント後の後加工(研磨、塗装、切削)にも対応しており、従来の金属加工と比べても遜色ない品質でパーツを入手できます。

背景としては、自動車、航空、医療など産業分野の高精度ニーズに応えるべく金属積層技術が急速に進化し、その技術が一般にも解放されはじめた、という流れがあります。

 

金属3Dプリンターの仕組みと他方式との違い

金属3Dプリンターと一口にいっても、その仕組みはFDMやSLAといった樹脂系プリンターとはまったく異なります。

代表的な方式としては、パウダーベッド方式(SLM、EBM)が主流です。これは、金属粉末を薄く敷き、レーザーや電子ビームで一層ずつ溶融・凝固させて造形する方法で、非常に高い寸法精度(±0.05mm以下)と強度が得られる点が特徴です。

たとえばFDM方式はフィラメント(樹脂)を熱で溶かして積層しますが、金属3Dプリンターは金属粉末を対象にするため、微細な形状・複雑な内部構造・軽量化設計が得意です。また、切削加工では難しい中空構造や有機的デザインも造形できます。

ただし、表面の積層跡(ラダー模様)や酸化による粗さが残ることがあるため、研磨やショットブラストなどの表面処理が必要な場合もあります。

これらの違いを理解しておくと、用途(例:試作 vs. 量産、強度重視 vs. 形状自由度)に応じた適切な加工方式の選定が可能になります。

このように、個人が金属3Dプリントを活用するためには、基本的な仕組み・依頼の可否・用途に応じた方式選びを理解しておくことがとても重要です。続くセクションでは、実際に依頼する際の費用感やサービス選びのポイントについて詳しく見ていきます。

 

金属3Dプリンター 依頼 個人の費用相場とおすすめサービス一覧

金属3Dプリンター 依頼 個人の費用相場とおすすめサービス一覧

「金属3Dプリントって高そう…」そんなイメージをお持ちではありませんか?
実は、用途や素材、造形サイズによって費用は大きく変動します。さらに最近では、個人向けにも対応したオンライン見積もりサービスが増えており、費用感を事前に把握しやすくなっています。

このパートでは、金属素材ごとの価格目安と、コストを抑えるための依頼方法のコツをご紹介。あわせて、実績豊富な個人対応サービス5社を、「品質」「対応力」「用途別のおすすめ度」など複数軸で比較します。

 

金属3Dプリントの費用相場と素材ごとの価格比較

素材や造形方式によって、金属3Dプリントの価格は数千円から数万円まで幅広くなります。まず基本として理解しておきたいのが、「材料費+造形費+後加工費(オプション)」の3つの合計が価格になる、という点です。

たとえば以下は、一般的な素材別の参考単価です(2025年時点、1cm³あたりの目安):

  • アルミ(AlSi10Mgなど):約800〜1,200円/cm³

  • ステンレス(SUS316L):約1,000〜1,500円/cm³

  • チタン合金(Ti64):約2,000〜3,500円/cm³

これに加えて、最低造形費(4,000〜10,000円)が設定されている場合が多く、厚みや形状の複雑さによって追加料金が発生するケースもあります。また、後加工(バレル研磨・切削・表面処理など)を行う場合は、1工程あたり3,000〜15,000円程度を見込んでおくと良いでしょう。

価格を抑えたい場合は、「形状をシンプルにする」「肉抜き設計で重量を軽くする」「積層方向を意識する」などの設計上の工夫が効果的です。

✅参考:株式会社DMM.makeでは、素材別・サイズ別の概算費用がシミュレーションできます。

 

個人で依頼できるおすすめ金属3Dプリントサービス4選(用途別)

最近では、1個から注文可能な金属3Dプリントサービスが増えてきており、副業や個人製作レベルでも十分活用できる環境が整っています。ここでは、用途別におすすめできる5つのサービスを厳選してご紹介します。

 

① DMM.make(汎用性・素材対応が豊富)

国内最大級のオンライン造形サービス。ステンレス・チタン・アルミなど15種類以上の金属に対応し、即時見積もり・納品までのスピードにも定評あり。3Dデータアップロード後すぐに価格と納期がわかります。

 

② J・3D(試作品・精密モデルに強い)

高精度かつ微細形状の出力に強く、金型や医療部品などの試作分野における導入実績が豊富。エンジニア出身スタッフによる設計サポートやデータ修正提案も特徴です。

 

③ カブクコネクト(企業レベルの品質を個人にも)

元はBtoB向けですが、個人からの発注も柔軟に対応複雑形状の造形・量産試作向けパーツにも実績あり。数万点の納品実績があるため、品質重視派におすすめ

 

④ ココナラ(データ作成・モデリングとセット依頼可)

造形サービスそのものではなく、3D CADデータの作成を外注したい方向け。初心者でも、モデリングと製作依頼をワンストップで相談できるため、設計未経験者に最適です。

番外として、弊社では主に中国で3Dプリント造形を行い、製品提供する受託をしています。日本の企業が導入している業務用の3Dプリンターも中国製が多くあり、「日本製だから」という言葉は意味を成しません。コストメリットや多様性を求めることに応えらえる分野でもありますので、気になる方はお問い合わせください。(https://www.hirano-s.jp/3d-printer

 

金属3Dプリンター 依頼 個人で失敗しないためのデータ準備と依頼の流れ

金属3Dプリンター 依頼 個人で失敗しないためのデータ準備と依頼の流れ

3Dデータってどう作るの?」「STLって何?」「加工ミスが起きたら誰の責任?
そんな不安から、金属3Dプリンターの依頼をためらっている方も多いのではないでしょうか。

ですがご安心ください。正しい形式と手順を守るだけで、個人でも高品質な金属造形が依頼可能です。特にデータの精度・材質・後加工の要望など、事前に意識しておくべきポイントを押さえることが大切です。

このパートでは、金属3Dプリントに必要な3Dデータの準備方法や注意点、具体的な依頼フロー、納期の目安や発注前に必ず確認しておくべき3つの項目を、初心者でも分かるように解説します。

 

3Dデータの作り方・対応拡張子・注意点(STL/STEPなど)

金属3Dプリントに対応するデータ形式として、最も一般的なのがSTL形式です。これは、設計データを三角形メッシュで表現するフォーマットで、多くのサービスがこの形式を標準としています。加えて、STEP(.step/.stp)やIGES(.igs/.iges)にも対応している業者もありますが、STLに比べて互換性にばらつきがあるため、事前確認が必要です。

 

■初心者向けのモデリング方法

3Dデータを自作する場合、無料のFusion 360(非商用版)やTinkercadが使いやすいツールです。これらはSTL形式での出力が可能で、簡単な部品設計であれば数時間程度でデータ作成が完了します。

また、3D CADの経験がない方は、ココナラやクラウドワークスでのモデリング外注も有効です。5,000円〜10,000円程度でSTLデータ作成を依頼できます。依頼時には用途(試作、装着部品など)や形状の条件、寸法精度を明確に伝えるのがコツです。

■注意すべきデータ仕様とトラブル例

意外と多いトラブルが、「閉じていないメッシュ」や「厚みゼロの面」など、スライス不可なモデルです。これを防ぐには、データ作成後に「Netfabb」や「Magics」などでのチェック・修正を行うと安心です。

 

金属3Dプリント依頼の流れと納期目安、事前確認すべき3つのこと

依頼の流れは基本的に以下の通りです。

  1. 3Dデータを用意(STL推奨)

  2. オンライン見積フォームにアップロード

  3. 素材・仕上げ・数量を指定し見積もり取得

  4. 支払い・製造開始(銀行振込・クレカ対応)

  5. 造形→仕上げ処理→発送(通常5〜10営業日)

この一連の流れは、DMM.makeやJ・3D、カブクなどの主要サービスで共通です。

■納期の目安と短縮オプション

標準的な納期は5〜10営業日ですが、「短納期オプション」があるサービスも増えています。たとえばRapid Fabでは3営業日以内の発送にも対応しています。短納期を希望する場合は、後加工を最小限にするなどの工夫も有効です。

■依頼前に必ず確認すべき3つのこと

  1. 寸法公差と最小厚みの制約(例:最小肉厚0.5mm以上が一般的)

  2. 後加工の対応可否(切削・タップ・塗装などの一貫対応)

  3. 再現が難しい形状(中空、オーバーハング)への対応力

こうした点を確認しておくことで、思っていた形状と違う…というミスや再発注のリスクを大幅に回避できます。

 

まとめ

「金属3Dプリンターって個人でも使えるの?」という疑問に対し、本記事では個人でも安心して金属3Dプリントを依頼できる方法や相場、注意点を詳しく解説してきました。

かつては企業向けだった金属3Dプリンターも、今ではDMM.makeやJ・3D、カブクコネクトといったサービスの普及により、1個からの注文や短納期対応も可能な時代になっています。価格は素材や形状によって異なりますが、5,000〜10,000円台から依頼可能な事例もあり、試作や趣味の部品製作にも十分対応できます。

また、STL形式の3Dデータを準備すればすぐに見積・発注できる環境が整っており、初心者でもFusion 360などの無料ソフトココナラでの外注を活用すればデータ作成も問題ありません。

依頼時は、素材選定・表面仕上げ・造形方向・最小肉厚などの仕様確認を忘れず行うことで、ミスのない発注が可能になります。

さらに、中国製造の強みを活かした低コスト・多素材対応の受託造形サービスを提供する企業も存在し、日本製にこだわらない選択肢も広がっています。
ご相談がある方は、平野製作所の金属3Dプリントサービスまでお気軽にどうぞ。

金属3Dプリントは、個人でも想像以上に身近なものに進化しています。
正しい知識と準備で、あなたのアイデアをかたちにしてみませんか?

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