部品加工の依頼をするときには図面が必要です。
個人からの依頼を受けている会社では、現物を採寸して図面化することも込みで対応してくれているところはあるかもしれない。
しかし、現物を図面化するというのは、よほど単純な形状の部品でなければ時間はかかる。
1時間、2時間かけて図面を描いて、見積りをして注文をもらえなかったら、その時間はまるで無駄になるわけです。
少なくとも自給換算して、最低賃金くらいは欲しいくらいです。
というか、図面を書くというスキルの付加価値を上乗せしてもよいくらいです。
しかし、実際はせっかく図面を書いても注文をくれない客もいるわけで、それがあるので町工場は現物から図面を書くのをやりたがらないのです。
あるいは、現物を採寸するにも数百万円もする計測装置を使って正確に測定できればよいけれども、ノギスやマイクロメーターだけでおおよその寸法を測ると誤差も出たりします。
特にいびつな形のものは、測定不可の部分もあったりする。
そうなると、製図したものが間違いないかどうか保証できないわけです。
そんな図面で部品を作ったら、現物とちょっと違う。使えない。というような事態になることもある。
こうなった時にクレームをつけられても町工場側としては困るわけで、そういうトラブル回避のために、図面化しないと決めているところも多いのです。
そいうことから、部品加工を依頼するために素人ながらも、自分で図面を書こうとされる方もいらっしゃいます。
図面を書いて提示してもらえるのは、部品を作る側としては製図ミスのリスク回避のためにも有り難いことです。
ところが、素人が書いた図面は“図面もどき”になっていることも多々ある。
その一例が、実線と点線の違い。
たかが実線と点線ですが、この違いで形状が全く異なるものになることがあるので、紹介します。
実線と点線でまるで別モノになる事例
これらの図は正確に言うと、正しい図面ではないですが、このような図を書いてこられる方も多いので、一例として挙げます。
たった1ヶ所、実線と点線の違いがあるだけで全く異なる部品になる例です。
部品図に描く点線は、基本的には表面には見えない部分の線です。
こうやって比較してみれば、当たり前のように思うのですが実践と点線を間違えて描いてしまうことはよくあります。
企業の設計者が書いた図面でも、実線と点線の間違いがあったりします。
これによって、部品を作る側は混乱してしまうのです。
どっちだ?と。
混乱して問い合わせしてくる場合はまだマシで、最悪なのは、加工者が勘違いしたまま間違ったものを作って納品してしまうことです。
修正もできないので、結局は再製作。
誰も得しません。。。
なので、あなたも図面を書くときには、実線と点線をくれぐれも間違えないように気をつけて欲しいと思います。
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