「部品加工の図面に描く『穴』は3種類」の記事では、加工屋さんに部品加工をお願いする時に開ける穴は大きく3種類あると説明しました。
キリ穴(バカ穴)、タップ穴、精密な穴ですね。
最近、ちょっと尋ねられたことがあり、「Φ8キリ」と「Φ8通し」と違うんですか?という質問。
あなたは、答えられますか?
※Φ8とは直径8mmって意味で、Φを「ファイ」とか「パイ」と呼びます。
「キリ」穴加工はドリルで加工してねってこと
結論から言えば「キリ」と書いてあるのは、ドリルで加工してくれていいですよという意味であって、貫通させてとか、途中の深さで止めてって意味は基本的にはない。
ただ、加工方法を示しているだけ。
ところが、質問者さんのように「Φ8キリ」が「Φ8通し」とどう違うのか混乱するのは、図面によって書き方が違うからです。
例えば、このように3mmくらいの板の真ん中にΦ8の穴を開ける加工があったとします。
ここで、加工指示を図面で「Φ8キリ」としても「Φ8通し(貫通)」としてもほぼ同じ意味です。
正確には「Φ8キリ通し」の「通し」が省略されているんですね。
もう、わざわざ「通し」って書かなくてもわかるでしょ!ってことです。
一方でこんなのはどうでしょうか。
ちょっと分厚いですね。
仮に500mm以上の長さがあったら、真ん中に開いている穴は「Φ8キリ」で貫通なのか?と私たちは疑います。
そんな場合は図面を見るのです。
便宜上、寸法線などは省いています。
ここで、見るのは穴加工の点線が書いてあるでしょ。
ということは、この「Φ8キリ」は「Φ8キリ通し(貫通)」という意味なんです。
t=200って書いてあるでしょ。
これは英語の thickness(厚み)の頭文字を指しており、厚み=200mmという意味です。
でも、これだと厚み200mmのブロックの真ん中に「Φ8キリ」が通し(貫通)なのか、途中の深さまでなのかがわかりませんので、一応は依頼者に確認をすることになります。
貫通? or 止まり? ってね。
これらのように「キリ」だけの表記だったら、図面を見て通し(貫通)なのか違うのかを判断します。
それでも分らない場合はお客様に確認するのです。
あくまでも「キリ」はドリルで加工するって意味しかありません。
「穴通し」はどんな用途の穴かによって、加工方法が変わる
「Φ8通し」と書いてある部品図面があったとします。
その部品のΦ8穴は一体何に使われるのでしょうか?
ただの空気穴?
ボルトを通す「バカ穴」?
それとも、位置決め用のピンを差し込む穴?
色々考えられますね。
図面に記載される穴は基本的に3種類あるんです。
まぁ、普通は精密な穴を要求する場合は公差が記入されているはずです。
Φ8(0~+0.03)というように。
この場合だとΦ8.00~Φ8.03mmの穴をあけてくださいって意味になります。
結構精密です。
それ以外の穴は基本的にはドリルで加工しても問題ないと判断してよいと思います。
ドリル加工(キリ穴)の公差ってどれくらい?という疑問もあるかと思いますが、一般公差レベルでしょう。
±0.1~0.2mm程度。
逆に「Φ8(±0.2)」って書いてあったら、公差があるけどどうするん?ってなりますね。
これは、もうキリ穴でOKです。
でも、キリ穴(ドリル加工)だとドリルの刃の研磨次第で寸法に細かいバラつきが出ます。
Φ8mmのドリルで削った(あけた)のに、実際の寸法はΦ8.1mmくらいになることもある。
これは、加工屋さんのドリルの刃の研磨技術次第ですね。
心配ならまずΦ7.8mmのドリルで穴をあけてから、仕上げにΦ8mmのドリルで削ります。
そうすると、結構キレイになります。
とりあえず、綺麗な穴に仕上げて欲しかったら「キリ」とは書かないことです。
加工方法をあまり細かく指示してしまうと、返って加工屋さんも困ることがあるので、穴の面をできるだけキレイにしておいてくださいって言えばいいです。
キリと通しに関するまとめ
ここまでで、大体分かってもらえたでしょうか。
キリはあくまでもドリル加工方法を意味する。
通しは加工方法は指示してないけど、とにかく貫通穴にしてって意味。
混乱しがちですが、よく考えれば分かるよね。
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