砥石をドレッシング(ドレス)しないといけない理由とその頻度

砥石のドレッシング 部品加工の基礎

研磨用の砥石をドレッシング(ドレス)するのは何故か?

また、ドレッサーは何からできているのか?

 

そんな素朴な疑問をもっている初心者さんに向けて、簡単に説明しよう。

 

工場の現場で、意味も分からずドレッシング(ドレス)していてはダメです。

何のために、どういう意味(意図)があってその行動をしているのかを理解することは、技術力アップのために大切です。

砥石をドレッシング(ドレス)しないといけない理由

卓上グラインダーや研磨機についている砥石の表面を拡大して見ると、砥石には小さな穴がいっぱいあいています。

砥石で金属を研削すると、研削した時に出てくる細かい金属粒子が砥石の穴の中に詰まってきます。

 

最初のうちは、よく研削できていたのに長く使っていると徐々に砥石の切れ味が低下しているように感じることがあるはずです。

これは、砥石の穴に研削粉が入りこんで目詰まりしている証拠なのです。

 

目詰まりしたまま砥石を使い続けていると、研削時に製品に引っかき傷のようなものが見えるようになります。

まるで猫が爪でひっかいたような傷です。

これをスクラッチと呼びます。

 

スクラッチが出たら砥石をドレッシング(ドレス)してあげないといけません。

砥石が切れていない証拠だからです。

このままだと、砥石が切れていないので面粗度が悪くなり、ビビり(表面が波打ったようになる)が発生したりもします。

 

ドレッシングにはもう1つ理由があります。

それは、変形した砥石の形状を整えることです。

 

例えば、ドリルの研磨をしたりする卓上グラインダーの場合は砥石の同じ部分ばかりを使ってしまい、部分的に凹んだりします。

それを、平面を均一にならすためにドレッシングすることはよくある。

特に砥石が切れなくなると、ドリルの研磨の時にドリルが弾かれて上手く研磨できなくなったりしますので、ドレッシングは重要です。

 

あるいは、ロータリー研磨だと、砥石の内側と外側で周速が異なるため砥石の減り具合に差が出ます。

なので、ドレッシングすることで砥石の変形を矯正してあげるのです。

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ドレッサーの材質は?

硬い金属を研削する砥石をドレッシング(ドレス)するためのドレッサー。

その材質としてよく使用されるのは人工ダイヤモンドです。

他にも、超硬とかセラミックのドレッサーもあります。

 

ダイヤモンドドレッサーには種類があり、単純にダイヤをシャンクの先端に1個つけている単石ドレッサーから、インプリドレッサーと呼ばれる細かいダイヤモンド砥粒を含有したメタルボンド砥石が先端についたものなどもあります。

使っている砥石に合わせてドレッサーを選びます。

 

例えば、卓上グラインダーの砥石をドレッシング(ドレス)するなら、小さいダイヤモンドドレッサーがあれば便利ですし、保管場所もとりません。

価格も1000円程度で購入できるので安い。

 

砥石をドレッシング(ドレス)する頻度と費用の関係

工場勤務をして研磨作業の現場に配置されたりすると、「砥石のドレスインターバルを伸ばす」という言葉を聞いたりするかもしれません。

これは、砥石をドレッシングしてから次にまたドレッシングするまでの期間を長くするという意味です。

 

砥石が目詰まりするとドレッシングするわけですが、ドレッシングすると砥石は減ってしまいます。

普通に研磨するだけでも砥石は減るわけですが、ドレッシングする回数が多くなればなるほど、またドレッシングする間隔が短くなればなるほど砥石の寿命は短くなってしまいます。

 

工場というか会社としては、経費をできるだけ抑えたいという考えもありますから、砥石の寿命をできるかぎり長く持たせてほしいのです。

それに、ドレッシングしている時間は加工が止まったままになりますし、ドレッシングすれば砥石の寿命が減り、コスト的には何も良いことはありません。

 

では、砥石をドレッシングする頻度はどれくらいが理想的なのか?

結論から言うと、加工状況(加工物や使っている砥石)によって異なりますので、使用している砥石の様子を見て経験から会得するしかありません。

マニュアル的なものは有って無いようなもの。

 

目詰まりしたままの砥石を使い続けると、「砥石が硬い」という感覚を得られるようになります。

それでも使い続けると研磨焼けが発生し、製品の歪みや面粗度の低下などの不良率を上げてしまう要因になります。

 

まとめ

砥石は目詰まりするものですから、必ずドレッシングが必要です。

ですが、砥石のドレッシングをする頻度をより少なくすることは、トータル的なコストダウンにもつながりますので考えておかなければなりません。

 

砥石のドレッシング頻度を少なくする方法としては

  1. 加工物に合った砥石を選択する
  2. 研磨条件を見直す
  3. 砥石の回転振れを極限まで少なくする
  4. 循環させている研削液のフィルタリングをする

というようなことが言えます。

1番と2番は言うまでもありませんが、3番と4番は意外と知らない人も多いことです。

 

砥石を回転させた時に芯ブレがあると、砥石の偏った点でしか研削できません。

砥石の外周を均一に当てて研削できないということは、それだけ砥石の目詰まりを感じやすくなりドレスインターバルが短くなってしまうのです。

 

砥石は使用する前にツールイングという作業をしますが、これは砥石の芯金(フランジ)と砥石の芯ブレを補正しているのです。

フランジの中心軸に合わせて砥石の真円度を整える作業のことです。

少し高価なものになりますが、特殊なバランサーを砥石を取り付ける主軸に装着すると、加工中も砥石が暴れないようになるので、目詰まりを起こしにくく長持ちするようになると言われています。

 

この特殊なバランサーについては、興味がある場合は取り扱い商社を紹介しますので info@hirano-s.jp (弊社会社のメールアドレス)までメールください。

 

そして、もう1つは研磨機で研削液を使用しているならば、研削液を循環させていると思います。

その研削液を循環させる時にフィルターにかけることで、砥石の目詰まりが劇的に軽減されますし面粗度も安定しやすくなります。

 

研削液には使用しているうちに離脱した砥石の砥粒や被研削物の細かい粒子が混じってしまいます。

眼には見えないけれども、100%含まれてしまいます。

すると、それらの細かい粒子が研削を邪魔してしまうのです。

 

なのでフィルターで粒子を除去し、異物を含まない新品の研削液に近い状態をよりキープしてあげることで砥石の寿命も延びますし、製品品質も安定しやすくなります。

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