アルミの種類はA1050からA7075まで20種類以上存在し、それぞれに特性が異なるわけですが、その中でも異彩を放つのがアルミーゴです。
なんだかスペインっぽいようなイメージの名前だなぁと思うのは私だけでしょうか?
アルミの加工専門業者さんでも、このアルミーゴを知らないというところがあったりしますが、大手メーカーから出た部品加工図の素材欄に「アルミーゴ」と指定されているものもあるのは事実です。
じゃぁ、このアルミーゴって何か?
今回はそんな話をします。
アルミーゴは大同DMソリューションの販売商品
アルミーゴはアルミ合金であり、大同DMソリューションが販売している固有名称(商品名)なんです。
製造元はフランスのペネシー社です。
アルミーゴって名前を聞くとスペインっぽいなぁと思っていたが、お隣のフランスだんたんですね(笑)
ということで、アルミーゴにはA5052など一般名称はありません。
だから、メーカーの図面にも素材欄に「アルミーゴ」と固有名が記載されるわけです。
アルミーゴはとにかく硬いアルミ
アルミーゴは数あるアルミ合金の中でも最高の硬さを誇ると言われているものです。
具体的には、アルミ合金でも硬いとされるA7075が硬度HB155に対して、アルミーゴはHB197です。
一般的な炭素鋼材であるS50CがHB179ですから、なんと炭素鋼よりも硬いアルミということになります。
これだけ聞くと、アルミのくせに削りにくそうだなぁと思いますが、そこは大丈夫です。
他のアルミA7075などと同様の条件で削れます。
また、ワイヤーカットや放電加工も鉄系素材と比べても格段に早いスピード(3~4倍)で加工できます。
そして、もう1つ加工上でアルミーゴを使うメリットはネジです。
アルミにタップ加工をすると、ステンレス製などのヘリサートを入れないとネジ山が磨耗してつぶれたりしましたが、アルミーゴでは基本的にヘリサートが不要です。
それだけ硬くてしっかりしているんですね。
sponsored linkアルミーゴは射出成型の金型にも最適
硬い、加工しやすい、そしてアルミなので軽いというメリットを活かせるのが射出成型の金型です。
金属プレス金型には使えませんが、プラスチック用の試作金型などには最適です。
鉄系素材よりも加工時間が短縮できるし、数万回のショットにも耐える強度を持っているからです。
さらに、金型に要求されることが多い鏡面仕上(ラップ処理)げにもアルミーゴは適しています。
#6000程度までの面粗さRa0.2μmに対応できるとされ、時間がかかるラップ処理もアルミなので鉄系よりも数倍早くできるみたいです。
まとめ
アルミーゴという名前を聞いて尻込みせずに、加工しやすい硬いアルミだなと思ってもらえればよいと思います。
ただ、価格はそれなりにするなというのが私の実感です。