うちの会社は金属部品加工をメインに事業を続けてきました。
これまで、様々な部品を作りましたが類似品として多いのはロールです。
プリンターなどにもたくさん付いていますが、形状は同じですけれど、それらよりもサイズがもっと大きいロールをよく作っています。
いわゆる工業用のロール。
ドーナツのような形をしていますが、外周に溝加工がしてある。
材質もいくつかあって
一般的に多いのはS45Cという炭素鋼ですね。
外周溝部に高周波焼入れをするものもあります。
他には、SKD11とかSK3、SCM440とかですかね。
お客様によって要望が異なります。
対応しているロールの大きさは決まっていませんが、実績としてはΦ600(直径600mm)くらいまでです。
これ以上の大きさになると、持つのも一苦労。
こんなロールですが、図面が回ってくるたびに思うのが「名称」の違いです。
タイトルにも書きましたが、ピンチロール、フィードロール、送りロール、あるいは矯正ロールなど、いくつかあります。
仕事を持ってきてくれる営業マンの中には、違いってあるの??と言う人もいます。
正直、形状などはそんな大差ないので、普段はあまり気にしません。
ただ、「違いは何か?」と聞かれるとモヤモヤしますね(^^;
ということで、簡単に紹介しましょう。
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ピンチロールは ”押して” 送る
ピンチロールは英語で書くと pinch roll です。
pinch は「締め付ける」という意味があります。
なので、ピンチロールは線材や棒材を2枚のロールで挟み込み、押えて送るためのロールです。
ある意味、送りロールとも言えますが、厳密にはピンチロール。
同じ機能を持たせたロールに「ニップロール」というものがあります。
これは、送りロールに被搬送材を圧をかけて押し付けるためのロールです。
ピンチロールは2枚がお互いに押し合って、材料を送るのに対して、ニップロールは片側からだけ押して送るという違いがあります。
さらに、似ているものとして「タッチロール」がありますが、こちらはニップロールと違い、押えるのではなく添えるだけのロール。
ガイドみたいなものです。
フィードロールは送りロール
フィードロールは英語で feed roll と書く。
feed は「送り込まれる」という意味があり、送り込まれてきた線材や棒材を受けて転がすためのロールです。
フィードロールも送りロールも同じですね。
加工上の違い
いくつかのロールがありますが、作り方としては基本的に同じです。
ただ、圧力が掛かるロールならば、外周溝に耐摩耗性が必要になってきます。
柔らかい材料だと、すぐに凹んでしまいますからね。
そのため、外周溝部に高周波焼入れをして硬度を高くしたり、ロールの素材そのものをSKD材などにして全体焼入れをするとか。
ただ、SKD材で全体焼入れをするとなると、歪みの問題や仕上げ加工が高くついたりもします。
価格との兼ね合いですね。
ロールの修正
板を丸てパイプを作っているような鋼管会社では、成型ロールというものが使われています。
こちらは、S45Cのような柔らかい材料では使い物にならないため、SKD11を使うことが多いですね。
あとは、熱した鉄を引き延ばす圧延ロールも硬い材料が使われています。
こうしたロールは使っているうちに磨耗しますので、定期的に交換する必要がありますが、使い古したロールをそのまま捨ててしまうのはもったいない。
ということで、古いロールは外周をもう一度削って使えるようにしたりもします。
あるいは、他のサイズのロールに転用したりもします。
線材や棒材を送るための「送りロール」の修正も弊社ではよく受けています。
新品を作るよりは安くつきますし、納期も早いですしね!
もし、ご要望があればどうぞ~
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