町工場で働くと、年収ってどれくらいなんだろうかと気になるところだろう。
特に、これから高校や専門学校を卒業して、町工場へ就職を考えている人にとっては大きな問題となります。
できることなら、有名で大手の会社に就職はしたいがなかなか簡単ではありません。
町工場に就職すると、一生低賃金で働かないといけないのだろうか。
それとも、役職がつくとそれなりの年収がもらえるのか。
あなたは、そんなことを考えて就職までの日々を送っていないだろうか?
正直に言おう。
どこに就職したって、あなたの思考が間違っている限りは給料なんてどこに行っても望むほど上がりません。
町工場で機械工作員として働くあなたが給料を上げるための方法は『思考』と『判断力』と『行動』にある。
町工場の一般社員がもらっている年収ってどれくらい?
すごく気になる年収ですが、実は非常にバラつきがあります。
町工場と言っても、その仕事内容は会社の中でもでも様々です。
機械加工をする人もいれば、検査員の人、運搬の仕事をする人、営業、事務・・・
とにかく、仕事の内容によっても年収が変わりますが、現場の機械加工作業者だと年収250~500万円くらいが平均的な相場です。
中には600万円以上ももらっているという超優遇社員がいる会社もありますが、かなり少数派です。
営業職の場合だと、さらに幅は広くなって年収250~1000万円。
本当に年収は会社によって全然違います。
じゃあ、やっぱり初任給から高そうな会社を狙っていくほうが良いのか?
というと、そういうわけでもありません。
初任給と生涯年収に相関関係はない。
やはり、町工場であっても他の会社と同じようにその人のスキルによって年収は変わります。
デキる人は年収が高くなります。
もちろん、会社の経済力が高いという前提ですが、「町工場の年収は低い」という思い込みはしない方がよい。
機械加工の手際が良くなっても年収が2倍に増えるわけがない
ネットの掲示板とか実際に町工場で働いている従業員の声を色々と聞いたりしていると、会社への不満とか愚痴が聞こえてきたりします。
この世は人間社会ですから、愚痴の1つも出るでしょう。
とりわけ、町工場の従業員に多いのが給料が少ないという不満じゃないかと思う。
しかし、小さな零細町工場で働く機械作業者の多くが勘違いしていることがあると感じます。
一昔前のような、1つの会社で働き続ければ自然と給料は上がっていくものだという幻想を抱いている人が多いのです。
毎年、新卒などの若い社員を入社させているわけでもないような零細町工場において、何を根拠に年齢だけで給料が上がると思っているのか教えて欲しいくらいです。
5年、10年、30年と同じ生産量でしか会社に貢献していないのに、なんで給料は右肩上がりの保証をしないといけないのか?
あなたは、そういう議論を理解できるかどうか。
そもそも、給料というのは会社が得た利益から出るものです。
(当たり前だよね)
従業員メンバーが10年以上も同じで、新しい若い社員が入ってきていない会社だと、ひとりひとりの生産量が同じだと、会社の利益も変わらないはずです。
むしろ、60代、70代になると20代、30代の頃よりもパフォーマンスが低下しているでしょう。
それなのに従業員の給料だけをどんどん上げると、会社運営が立ち回らないですよね。
中には、「就職した頃にに比べて機械作業が早くなったのに給料が少ししか上がらない!」とボヤく人もいる。
でも、今まで60分かけて加工していたものを45分で加工できるようになったところで、どれだけの売上アップにつながっているのか?
1日に売り上げる数字で主張しないとダメです。
手際の良さじゃないのです。
このように、町工場で働く多くの人が主張する『年齢と共に増える給料』っていう幻想は町工場では当てはまらないのです。
ある程度の従業員数を抱える企業だと、若年層~ベテラン社員まで、それぞれの給料配分がすでに決まっていることもある。
例えばだけど、月給20万、月給30万、月給40万という『社員の給料ボックス』の中に、各社員が順番に入っていくだけのことです。
飛びぬけて高い給料をもらっている人は、親族経営の会社で「息子だから」というのは除外するとして、それ相応の何かをもって会社に貢献している、あるいは何かを評価された人のはずです。
「息子だから」という理由で高給をもらっている能無し経営者の会社はヤバイですね。
そんな会社は没落の道が見えそうです。
町工場の一般社員が年収を増やすための『思考』とは
私が言いたい主張は、仕事の絞込みをしすぎないようにして欲しいことです。
「オレはこの工場に機械加工者として就職した」
そんな主張をしているから給料が上がらないんですよ。
1つの事をやり続けるという美徳を否定はしませんが、それは相応の技術力の研鑽、鍛錬を続けるという強い意志を持つことが前提での話のはず。
そんな強い意志も持たずに「嫌になったら転職しようかな」なんて考えているのなら、その時点でアウトです。
それくらいの意思だったら、むしろ1つの作業への固執を投げ捨ててしまうべきです。
先ほど書いたとおり、1つの工作機械で1日に売り上げることができる限界はあります。
よほど加工単価が良い仕事が来れば別ですが、そうでなければ平均的には時間チャージというもので計算されるはずです。
ある加工品が60分で加工できた場合、材料代が3000円、加工代が4000円で合計7000円。
加工に必要な機械のリース代、電気代、工具代、油代などを差し引いて・・・
というように計算しているところが多いはずです。
そうすると、加工時間が10分、15分短縮されたところで、利益率の上昇がどれくらいあるか考えてみてください。
そこからあなたのお給料に還元されるのはどれくらいあるか?
年々、給料を爆上げするには無理がありますね。
60分かかってやっていた仕事を1分でできるようになったらバンザイですけど。
無理です。。。
当然ですが、まともに機械加工もできないうちは、自分で勉強したり、先輩や社長の言うとおりにしっかりと「守・破・離」を意識してやり込むことが必要です。
そのうえで、自分の日常作業にすこし余裕をもてるようになれば次の『思考』というステップに進めばいいと思います。
じゃあ『思考』って何だ?
それは、機械加工以外のところで貢献することです。
町工場では、何をすれば年収が上がるのか?
町工場で自分の給料を上げる方法。
それは簡単なことです。
会社の売り上げをアップさせればよいだけです。
問題はどうやって売上アップさせるのか?
経営者でもない従業員が何をすればいいのか?
本来なら会社経営者が取り組むべきことなんですが、社長も現場に出てせっせと機械を動かしているような町工場では、経営戦略とか微塵も考えていないところは少なくありません。
ひたすら注文がくるのを待つだけというところがどれほど多いことか。
そして、ちょっとまとまった量の注文がくると、自社で加工できる容量を超えてしまっているからという理由で断るというのもよくある話です。
あなたの工場では、仕事の獲得をどのようにしていますか?
いつものお客様からの注文が勝手に入ってくるのを待っているだけ?
社長があちこち走り回って営業活動をしている?
どんな問題を抱えているか?
まずは、自分の勤める会社がどのように仕事を獲得しているか、会社としてここは改善したほうがいいのではないかということを知ることから始めよう。
そして、社長が会社経営や仕事獲得などでどんな悩みを持っているかを探ってみよう。
普段から「仕事がない」とか「もう仕事がパンパンで・・・」とか、悩んでいるところを従業員が打開策や提案という武器で突くことを考えてみよう。
特に従業員数が10人以下の町工場は社長と従業員の距離が短いというメリットがある。
そこを利用しない手はありません。
逆に、ある程度の規模になると自分の意見をダイレクトに経営者へ伝えることが難しくなったりします。
そう考えると、小さな町工場で売り上げをグッと上げられるような提案ができれば、あなたの評価が上がり給料も上がりやすいと言えます。
そもそも、町工場の経営者目線から言えば、機械加工に従事してくれる従業員を新たに雇う時、そんなに期待していません。
即戦力でバリバリに売り上げを上げてくれる人材なんて、そうそう見つかるものではないと思っているからです。
それはある意味、最初はあなたのことを過小評価しているということでもあります。
でもガッカリしないでください。
仮にあなたが人を雇う側だとしても、同じように考えることのはずです。
”絶対に” 戦力になるという保証はない人にお金を沢山だせるわけがないですよね。
最初から高給で雇ってもらうような人は、それ相応に期待値が高いため、高いパフォーマンスを求められる人です。
最初の給料は高いかもしれませんが、もしも期待に少しでも応えられないと、一気に給料が下がることだってあるわけです。
でも、町工場でいきなり高給の人材を入れようと考える社長は少ないはず。
もしも、今、あなたの給料が安いと思うなら、元々の期待値が低いわけですから機械作業だけでなく、色々なことに気が付いて率先してやったり、会社の売り上げにつながる取り組みの提案をしてみたり、他の従業員とはちょっと違うぞというところを見せるだけでも株は上がるものです。
案外、社員のことを町工場の社長は見ているものなんです。
もしも、あなたの言葉に一寸もの聞く耳を社長が持たないというのなら、そんな会社はおさらばすればいい。
未来はないです。
社員の言葉に耳を傾けないような経営者がいる会社は、どこまで行ってもワンマン経営ですから辞める決断力も必要ですね。
それに、私腹を肥やすことに必死な経営者もいますので、あなたが務める会社の経営者がそうでないことを祈ります。
真っ当な経営者が運営する会社の場合、もしも、あなたの意見やアイデアが社長の心にグサリと刺されば準備は整ったことになります。
次は、実際に行動に移すのです。
sponsored link会社の売り上げアップに貢献するための提案とは
これは会社によって様々なので、一概にこの方法がよいということは言えません。
各々が抱える問題点を洗い出すということをして、何が足りないのか。
どんなことに取り組んでみるべきなのか。
考えてみてください。
例えば、営業力が乏しい会社の場合。
何故、営業力が乏しいのか?
営業担当の人間がいない?
営業はいるが、ルーティーン営業(いつも決まったお客のところに行って「仕事ないですか?」とグルグル聞いて回るだけの営業というか営業もどき)をしているだけかもしれません。
とにかく、会社に入ったらその色々な実情をリサーチしておくと絶対に良いことあります。
ホームページを持っているか持っていないかくらいはググればすぐわかります。
自社のホームページすらないところは、ホームページ作りの提案をしてみてもよい。
今の世の中は全てがインターネットで繋がっていると言っても過言ではないくらいです。
パソコンだけでなく、スマホ、車、家電製品。
それに、町工場で使う工作機械もインターネットに接続できる時代です。
インターネットはまるで、今まで分断されていた各業種同士を横から突き刺す『串』です。
色んな技術や情報の行き来によって、これまで接触することのなかったはずの業界と結びつく可能性ももたらしてくれるのです。
あとは使い方次第です。
他にも、自社で汎用工作機械が何台かあるのなら、1月に1回の土曜日、工作機械を触ってみたいという人に向けて、工作機械操作教室みたいなものを開いてみても面白いかもしれません。
自分が作ってみたいという形状の切削体験ですね。
ちょっと素人では難しい形状が入っている場合は、途中まで体験切削させて、残り仕上げをやってあげるというのもいい。
できたものは持ち帰ってもらってもいいし、いらなければスクラップに出すとか。
それをホームページやSNSにアップして、こんな体験教室やってますというアピールをするのもいい。
そういう取り組みをすることで新入社員の獲得のきっかけが出来たりするのかもしれませんし、話のネタに誰かがどこかで会社の名前を広めてくれるかもしれない。
インターネットの世界において、自社サイトを作ったあとはグーグルやヤフーなどの「検索」から入るかフェイスブックやインスタグラムなどのSNSにあるリンクから閲覧者が訪れるのが主流です。
特に検索では、いきなり自分の会社名で検索してくる人なんて知り合いくらいです。
ほとんどは、何らかの検索キーワードからたどり着く人たちばかりなので、SEO対策というのが必要になるわけです。
SEO対策については、専門性、権威、信頼性というものが検索の世界でも重要視されます。
部品加工において、専門性を発揮したり何か取り組みをすることで知名度を上げたりしながら、インターネットを活用していかないといけません。
このように、日常の工作機械による部品加工だけでなく、学んでいかないといけないことは沢山あります。
情報収集は常にしておかないとダメです。
自分は機械加工しとけばいいからと言って、空き時間にスマホゲームばかりしている人は給料アップなんて口に出してはいけないのです。
自分で収集した「これは有益だな」と思う情報は、どんどん会社の中でアウトプットするべきです。
人は情報をインプットするだけよりも、アウトプットを繰り返すことで自分のものにすることができる生き物ですから、どんどんアウトプットしましょう。
社長に意見しましょう。
おわりに
町工場で働く一般社員の年収も幅はあり、年齢やキャリアだけじゃなくその人のスキルによっても変わるというのは、他の会社と全く同じ。
年収が上がるかどうかについては、個人のスキルともう1つは会社の経済力。
会社に力が無ければ、給料を上げたくても上げられません。
なので、自分も会社の経営者になったつもりで、どうすれば会社の収入が上がるか取り組むという姿勢は大事ですね。
また、それを評価してくれる会社であるかどうか。