町工場で働くと、年収ってどれくらいなんだろうかと気になりますよね。「町工場は安月給だ」とか「町工場で働いているヤツは低学歴の落ちこぼればかり」なんて言う人もいるようですが、そんな言葉を信じてはいけません。
いかにも夢も希望もなさそうな言葉なので強く反論する。
町工場で給料が上がらないというのは
- 会社役員がケチで、どうにかして従業員の給料を安く抑えてやろうとしている
- 会社役員を含め、社員全員に向上力が無く、会社の収入がそもそも少ないから
- 会社のビジネスモデルとして、収益性(経常利益の確保)が低いから
- そもそも、社員個人にやる気が無い、学習意欲が無い、行動力が無いから
という理由があると思います。
会社が儲かれば社員に還元するという会社であれば、努力と行動力次第で年収1000万円だって夢ではない。ただ、残念ながら苦労を買ってでもやる人は少数派なんですね。
だけど、町工場であろうと他の職種であろうと、年収を多く稼いでいる人はそれ相応に努力して、学習して、行動して会社に利益をもたらしているんです。そうでなければ、会社は社員に1000万円の給料を出せません。
町工場の給料は本当に安いのか?世間のイメージを見直そう
「町工場って、給料が安いって聞いたけど…」そんな声をよく見かけますよね。でも、それって本当に正しいのでしょうか?実は、イメージと現実には大きなズレがあるのです。
よくある「3K」のイメージが、町工場を誤解させている
町工場というと、「きつい」「汚い」「危険」のいわゆる“3K”というイメージが今も根強く残っています。確かに、昔は重労働で油まみれになる現場も多く、単純作業の繰り返しで長時間労働という環境もありました。
ですが、いまの町工場はまったく別物です。たとえば、精密部品加工を行っている大阪の某企業では、工場内はエアコン完備、床には油もほとんど無く、機械の操作もタッチパネルで行われるなど、清潔かつスマートな環境が整っています。さらに、NC旋盤やマシニングセンタといったハイテク機械の操作がメインになっており、重たい部品を持つことさえ少なくなっています。
実際に現場で働く人からは、「IT企業よりも設備が整ってる」との声もあり、イメージだけで判断するのはもったいない時代になっているのです。
SNSやネットで語られる「安月給」発言の正体
「町工場なんて給料が安くてやってられない」
「一生働いても年収400万いかない」
こうした書き込みが、X(旧Twitter)やYouTubeのコメント欄などでも散見されます。
しかし、よくよく見てみると、こうした発信者は「転職活動すらしていない」「スキルを習得する努力をしていない」「自己研鑽の習慣がない」など、いわば“思考停止型”の人が多いという傾向があるのです。
一方で、同じ町工場で働いていても、国家資格の「機械加工技能士」や「品質管理検定」を取得し、年収600万円を超える人も普通に存在します。さらに、営業的な視点を持って新規顧客の受注に貢献すれば、社内での評価は一気に上がります。
参考までに、経済産業省の「中小企業の実態と課題に関する調査(令和4年版)」では、中小製造業における技術職・現業職の平均年収は470万円~520万円と記載されており、思ったよりも高いと感じた方も多いのではないでしょうか。
「町工場=低年収」は、極一部のケースにすぎない
誤解の大きな要因として、町工場の現実をよく知らないまま“全体を語ってしまう人たち”の存在が挙げられます。確かに、給与が上がらない会社もあります。でも、それはどの業界でも同じこと。町工場だからという話ではありません。
実際、私の知る町工場では、20代後半で年収600万円、40代で年収900万円を超える社員もいます。いずれも、機械加工に精通し、現場改善や後輩指導などにも積極的に取り組んでいる“プロ意識の高い社員”です。
こうした人材は、町工場の中でも特に重宝され、社長との距離も近いため、「努力=昇給」に直結しやすい環境があります。大企業のように“ポストの空き”を待たなくても、実力と結果を出せば年収アップは十分可能なのです。
町工場の実態は、外から見ているだけでは決してわかりません。安月給どころか、「やる気と行動力があれば、同世代よりもはるかに稼げる」フィールド。それが、いまの町工場なのです。
統計から見えてくる、町工場で働く人たちのリアルな年収事情
「町工場の給料って、実際いくらぐらいなんだろう?」と気になっている方も多いと思います。ここでは、信頼できる公的データと現場の実態をもとに、町工場社員の年収を詳しく見ていきます。
中小製造業の平均年収は、決して低くない
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(令和5年)」によると、中小製造業(従業員100人未満)の技能職や製造職の平均年収は、約420万円〜490万円の範囲に収まっています。特に金属加工業や機械部品の製造に関わる企業では、地域や職種によっては年収500万円を超えるケースも珍しくありません。
一例として、NC旋盤オペレーターとして働く30代後半の男性は、残業を含めた年収が約560万円。また、とある精密加工会社では、品質管理課の主任クラスが年収650万円という事例もあります。
これらはほんの一例に過ぎませんが、「町工場=年収300万円台」という先入観とは、かなり違って見えるはずです。
職種によって大きく変わる年収の実態
町工場とひと口に言っても、働く職種によって年収はかなり差があります。以下は実際の平均値と現場ヒアリングをもとにした、おおまかな目安です。
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加工オペレーター(NC・汎用機械):350万〜480万円
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熟練加工技術者(高精度加工・多品種少量):450万〜650万円
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品質管理・検査技術者:400万〜600万円
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生産管理・現場リーダー職:500万〜700万円
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営業技術・見積対応(兼任あり):550万〜750万円
なかでも高年収に近づきやすいのは、「技能+改善提案力+顧客対応力」をあわせ持つ人です。加工だけでなく、「段取りの改善」や「不良率の低減」などに積極的に取り組んでいる人は、現場でも一目置かれる存在になりやすいです。
同じ町工場でも、年収に差が出る3つの要因
実は、同じような仕事をしていても年収に100万円以上の差があることは珍しくありません。その理由は、次の3つが大きく関係しています。
(1)職種とスキルのレベル
たとえば、単純な作業の繰り返しと、ミクロン単位の精密加工では、求められるスキルも責任も全く異なります。難易度の高い技術を持っている人ほど、給与水準は自然と上がります。
(2)地域差と業種の市場価値
都市部と地方では、同じ職種でも年収に差が出ます。また、自動車部品のように景気に左右されやすい業種より、医療機器や半導体関連のように高付加価値製品を扱う業界のほうが、高単価な仕事が多く、結果として社員の給与水準も高くなる傾向があります。
(3)会社の規模や経営方針
従業員10人以下の超小規模企業でも、利益率の高い案件を中心に受注していれば、高収入を実現しているところはあります。一方で、「人件費をなるべく抑える」方針の企業では、昇給が少ない傾向もあります。
現場の声として、「小さな町工場のほうが、社長との距離が近く、自分の働きが直接評価に反映されやすい」という意見も多く聞かれます。つまり、給与の上がりやすさ=規模の大小ではなく、実力主義かどうかが大きく影響しているのです。
数字で見ても、町工場の年収は決して低くないどころか、努力次第でどんどん伸びていける余地があることがわかります。単なる平均値に惑わされず、「どういう働き方をしているか」が最終的な差を生んでいる、というのがリアルな実態です。
なぜ「町工場=低年収」と思われるのか
町工場で働く人たちの給与が、なぜか低く見られがちなのには理由があります。ただし、そのイメージは必ずしも事実ではなく、声の大きな一部の人によって作られているケースが多いのです。
声が大きいのは、努力を放棄した人たち
残念ながら、ネット上で「町工場は給料が安い」「生活が苦しい」と発信している人の多くは、自ら成長する努力をしてこなかった人たちです。たとえば、10年以上働いていても資格をひとつも取っておらず、同じ作業を延々と繰り返している人が「昇給しない」と嘆いていたりします。
たとえば実際、私が関わった金属加工会社では、20年以上勤続しているにもかかわらず、年収が手取りで300万円台という人がいました。しかしその方は、図面も読めず、工具の研削も人任せで、定時に帰ってはパチンコに行く毎日。そうした生活スタイルの延長線上に、高年収は当然ながら存在しません。
一方、入社5年目で加工条件や刃物選定まで自分で判断できる若手は、すでに年収500万円を超えており、職長候補として上司からも高く評価されていました。つまり、収入の差は「年数」ではなく「意識の差」なのです。
与えられた仕事しかしない人の末路
「うちは社長がケチだから給料が上がらない」と言う人もいますが、実態はどうでしょうか?与えられた業務だけを“こなす”だけの人が、給与評価で伸びることはまずありません。
町工場は規模が小さいぶん、社長や上司が現場をじかに見ています。だからこそ、「自分で考えて動く人」「改善提案を出す人」「後輩を指導する人」は自然と評価され、昇給の対象になります。
逆に、言われたことしかしない、段取りや納期を他人任せにするタイプの人は、「いてもいなくても変わらない」と見なされ、賃金も頭打ちになります。
つまり、「町工場は低年収だ」と言っている人の多くは、自身の働き方や学ぶ姿勢を見直さずに、会社のせいにしているだけという現実があるのです。
文句を言う前に、スキルを身につけるべき
町工場の世界では、スキルこそが最大の武器です。たとえば、「機械加工技能士2級」や「品質管理検定(QC検定)3級」を取得するだけでも、社内でのポジションや給与評価が変わってくる企業が多数存在します。
とくに小規模な加工会社では、1人の技能者が売上に直結する場合もあるため、腕の良い職人は月給が一般社員の1.5倍〜2倍近くになることもあります。筆者の知る町工場では、CNCプログラムと加工条件設定を自分で行えるエース社員が、40代で年収900万円を超えていました。
このように、努力と結果がはっきりと結びつくのが、町工場の最大の魅力です。
その反面、「何もせず文句だけ言う人」が報われる構造にはなっていません。
実際の現場データによれば、町工場社員の自己学習率(週1回以上勉強しているか)と昇給率は正の相関があるという研究も報告されています(※中小企業白書2023より)。
※参考:中小企業庁|中小企業白書2023
町工場の年収を下げて見せているのは、外部の構造や業界のせいではなく、「学ばない」「動かない」「考えない」人たちが作り出した空気に過ぎないことが多いです。本当は、町工場こそ“スキル次第で上がっていける”世界。そのリアルを、もっと多くの人に知ってもらいたいところです。
町工場で年収を上げるために必要な3つの力
町工場で年収を上げるには、ただ「真面目に働いている」だけでは不十分です。収入を伸ばす人には共通する3つの力があり、それぞれに具体的な行動や思考が求められます。
(1)学ぶ力:技術・資格・知識に貪欲であれ
町工場で高収入を得ている人は、ほぼ例外なく“学び続ける姿勢”を持っています。たとえば、機械加工技能士の資格を取得することで、現場での評価は大きく変わります。
町工場で、入社4年目のオペレーターが技能検定2級に合格した結果、翌年から月3万円の技能手当が支給されるようになり、年収が一気に36万円アップしましたという事例もある。しかもこの工場では、合格時に受験費とテキスト代が全額会社負担というサポートまであるようです。会社としても、そのようなサポートを利用して社員がどんどんスキルを上げてもらうと、利益で還元されるのでwin-winですよね。
また、技術だけではなく、「切削理論」「材料力学」「JISの基礎知識」なども重要です。最近ではYouTubeやeラーニングでも無料で学べる時代なので、情報収集力と習慣的な学びが、収入アップの第一歩になります。
さらに、厚生労働省の「技能検定取得者の昇給率に関する調査(2022)」では、有資格者の平均年収は非保有者より約58万円高いというデータも公表されています。
(2)考える力:仕組み改善・段取り力・提案力
ただの「作業者」に留まっている人と、「現場を良くしよう」と考えている人では、評価も報酬もまったく違います。町工場では、改善提案=利益貢献になるため、考える力を持つ人ほど昇給しやすいのが特徴です。
たとえば、材料取り回しを変更する改善案を出したことで、加工時間を1日あたり2時間短縮。これにより、月20時間以上の作業工数削減が実現なんてことも可能です。結果として、本人には報奨金とともに翌年の昇給評価に反映されたりもします。
考える力とは、単にアイデアを出すだけでなく、現場の観察・分析・提案・行動まで一貫してできるかどうか。町工場は大手企業と違って、1人の判断で物事が動くスピードが速いため、「こうしたらもっとよくなるのに」という視点を持っているだけで、存在価値が大きく変わってきます。
(3)動く力:現場での行動スピードと粘り強さ
いくら考えても、行動しなければ意味がありません。町工場では、「すぐ動く人」が評価されやすく、「口だけの人」はすぐに見抜かれます。
現場で求められるのは、段取りの早さ、トラブル時の初動、そして「誰もやらない雑務を率先してこなす」姿勢。こうした行動力は、社長やリーダーの目に自然と留まりやすく、信頼=給与アップに直結します。
夜勤明けでも設備トラブル対応のために自発的に休日出勤した若手社員が、賞与で10万円以上の加算を受けたという事例もあります。こうした“動く力”は、どれだけ社内制度が整っていても、本人の意思なしには生まれません。
また、行動する人は、失敗しても学びを得て再挑戦します。失敗を恐れず、改善しながら行動し続けることで、周囲との信頼関係も築けるようになります。
町工場は、ただ働くだけの場所ではありません。「学び」「考え」「動く」ことで、自分の年収も、働き方も、未来も大きく変えることができる現場です。そしてそれを実行する人には、確実に報酬が返ってきます。
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社長が本当に評価するのは「自分で動ける人」
町工場で年収を上げたいなら、技術だけでなく“働き方の姿勢”が何より重要です。特に社長が評価するのは、指示を待つのではなく「自ら動く人」です。
指示待ち社員と能動型社員の違い
町工場のような小規模組織では、「自分から動けるかどうか」がそのまま信頼度や昇給につながります。
たとえば、同じ組立工程にいる2人の社員がいたとします。一方は、与えられた作業を言われたとおりにこなす“指示待ちタイプ”。もう一方は、トラブルが起きる前に予測し、改善策を提案しながら周囲と連携する“能動型タイプ”。
実際、能動的に工程の順序を見直し、納期短縮に貢献した若手社員がいれば、わずか2年であっても係長に昇進させたいと思う。一方、入社歴が長くても、指示どおりにしか動かない社員は、10年以上同じポジションにとどまらせるしかありません。
このように、「言われたことだけやっている人」と「言われる前に動く人」では、同じ時間働いても将来の年収やキャリアの伸び幅に大きな差が生まれるのです。
小さな町工場だからこそ、社長の目は現場に届く
町工場の多くは、社長自身が現場に足を運び、社員の働き方をよく観察しています。これは大企業ではなかなか見られない特徴であり、評価の“距離感”が非常に近いことを意味します。
とくに従業員が10〜30人規模の工場では、「今日は〇〇さんが段取りを改善してくれた」「あのトラブル、〇〇が一番に対応してくれた」など、社長自身の目で見たことが評価に直結します。
こうした環境では、自分の仕事ぶりがダイレクトに伝わるため、工夫を続ける人は自然と昇給・昇格の候補になります。つまり、町工場ほど「がんばりが見える職場」はないのです。
昇給・昇格のスピード感が大企業とは違う
町工場では、昇給や昇進の判断が非常にスピーディーです。なぜなら、評価に関わる人間が少なく、意思決定が早いからです。
たとえば、入社3年目の社員が「新規受注案件の立ち上げ」で活躍して会社の利益を増やしてくれることに貢献すれば、1年で月給を5万円アップさせるなんて余裕でOKです。大企業のように“年功序列”や“ポスト待ち”がないため、結果を出せばすぐに評価される構造になっています。
また、給与のベースアップだけでなく、「役職手当」「技能手当」「改善報奨金」など、成果に対して柔軟な形で報酬が支払われる会社も増えています。
経済産業省の調査でも、中小製造業の約43%が「能力・成果重視の賃金体系」を導入済みとされており、実力で勝負する人にとってはチャンスの多い環境であることがわかります。
町工場での昇給や昇進は、「誰かの評価を待つ」のではなく、「自分の働き方そのもの」で切り拓いていくものです。小さな組織だからこそ、良くも悪くも“すぐに伝わる”。そして、自分で動ける人ほど、確実に見てもらえる。それが町工場の最大の魅力とも言えるでしょう。
おわりに
町工場で働く一般社員の年収も幅はあり、年齢やキャリアだけじゃなくその人のスキルによっても変わるというのは、他の会社と全く同じ。
年収が上がるかどうかについては、個人のスキルともう1つは会社の経済力。
会社に力が無ければ、給料を上げたくても上げられません。
自分は努力もして行動もしているのに、給料が上がらない!という人は、あなたの頑張りは会社の収入力アップに貢献できているのか?ということを調べてみてください。
確実に会社の収益性アップに貢献している!と胸を張って言える場合、それで給料が上がらないなら、そんな会社は辞めてしまった方がいい。本当にできる人は、真っ当に評価してくれる会社ならばどこに行っても給料は上がるはずです(ただし、会社全体の利益確保力が低い場合はダメです)。
それで収入アップを訴えるのは至極当然。
なので、自分も会社の経営者になったつもりで、どうすれば会社の収入が上がるか取り組むという姿勢は大事ですね。
また、それを評価してくれる会社であるかどうか。