「見積依頼のメール、文面これで大丈夫かな……?」と毎回悩んでいませんか。中小企業の営業事務・総務として、多忙ななかで相見積もりや新規取引先への見積依頼を任されると、ビジネスマナーや書き方の正解がわからず不安になりますよね。
この記事では、すぐに使える見積依頼テンプレート(メール・見積依頼書)の例文と、件名・宛先・本文・回答期限・希望納期・支払条件などの書き方を、共起語を押さえながらわかりやすく解説します。
読み終える頃には、「テンプレートを開いて必要事項を埋めるだけ」で、取引先にも上司にも安心して出せる見積依頼メール・見積依頼書を作れるようになります。
見積依頼テンプレートとは?メリットと基本マナー

見積依頼テンプレートとは、製品やサービスの価格を出してもらうための依頼内容を、
一定のフォーマットにまとめたひな形のことです。WordやExcel、PDF形式であらかじめ
「宛先・件名・依頼内容・数量・仕様・希望納期・支払条件・回答期限」などが並んでいるため、
担当者は必要な箇所を書き換えるだけで、すぐに見積依頼書を作成できます。
テンプレートを使う最大のメリットは、書き漏れ・伝え漏れを防げることです。
数量や仕様、希望納期、見積有効期限、支払条件などを口頭やメールだけでやり取りすると、
「言った言わない」「そんな条件とは思わなかった」といったトラブルにつながります。
その点、フォーマットに沿って記入しておけば、双方の認識を文書でそろえられるため安心です。
一方で、見積依頼メールはビジネスマナーを意識したコミュニケーション文でもあります。
件名・挨拶・名乗り・依頼の背景・依頼内容・締めの言葉といった基本構成を押さえ、
敬語や表現にも気を配ることで、「きちんとした会社」だと印象付けられます。
ここからは、書類としての見積依頼書テンプレートと、メールテンプレートの違いと使い分けを見ていきましょう。
見積依頼書テンプレートの基本構成
見積依頼書は、発注前に価格提示を依頼する公式なビジネス文書です。
一般的なテンプレートには、次のような項目が含まれます。
- 文書タイトル:御見積依頼書
- 発行日・見積依頼番号:管理番号や日付を明記
- 宛先情報:会社名(御中)、部署名、役職、担当者名(様)
- 自社情報:会社名、住所、部署名、担当者名、電話番号、メールアドレス
- 件名:案件名やプロジェクト名(例:〇〇システム導入に伴う御見積依頼の件)
- 依頼内容の詳細:品名・品番、仕様、数量、単位など
- 希望納期:具体的な日付、または発注後の日数
- 希望支払条件:例)月末締め翌月末払い、振込手数料の扱い など
- 見積回答期限:いつまでに見積書を提出してほしいか
- 見積有効期限:提示される価格がいつまで有効か
- 備考:相見積もりである旨、添付資料、特記事項など
このように項目を整理しておくことで、依頼先は必要情報を一目で把握でき、
見積作成のスピードと精度が上がります。また、自社側も案件ごとに条件を比較しやすくなるため、
稟議や社内承認の際にも役立ちます。
見積依頼メールテンプレートとの違い
見積依頼メールは、見積依頼書を添付するためのカバー文としての役割と、
簡易な依頼を完結させる依頼文そのものとしての役割を兼ねます。
テンプレートを作る際は、次の構成を基本にするとよいでしょう。
- 件名:〖御見積依頼〗〇〇の件 など
- 宛名:会社名+部署名+担当者名
- 挨拶・名乗り:いつもお世話になっております。株式会社〇〇の△△と申します。
- 依頼の背景:自社の状況や、どの情報を見て問い合わせたか
- 依頼内容:見積依頼書に記載した内容の簡単な要約
- 回答期限:〇月〇日(〇)までにご返信いただけますと幸いです など
- 添付ファイルの案内:詳細は添付の見積依頼書をご確認ください など
- 締めの挨拶:ご多忙のところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 署名:会社情報・連絡先
メールテンプレートでは、件名と冒頭の数行で「何のお願いか」を即座に伝えることが重要です。
また、相手の工数を増やさないよう、回答期限や希望納期、添付ファイルの有無を明確にしておきましょう。
相見積もりで活きるテンプレート活用ポイント
複数社に同時に見積を依頼する相見積もりでは、条件をそろえなければ比較ができません。
そのため、全社に同じ見積依頼テンプレートを送ることが基本です。
数量・仕様・希望納期・支払条件・検収条件などを共通化することで、
価格差が「条件の違い」ではなく「本当の提案力の差」だと判断しやすくなります。
また、メール本文では、「本件につきましては複数社様にお見積りをお願いしております」など、
相見積もりであることを一文添えておくと、公平性と誠実さを示せます。
他社の価格や条件を具体的に伝えることは避けつつ、回答期限や評価観点を事前に共有しておくと、
先方も提案内容を組み立てやすくなります。
見積依頼テンプレートの具体例と今すぐ使える文面
ここからは、実際に使える見積依頼テンプレートの例文を紹介します。
メール本文だけで完結するパターン、見積依頼書を添付するパターン、
新規取引先・既存取引先・急ぎの場合・建設業など高額案件の場合など、
よくあるシーン別にテンプレートを用意しておくと、必要なときに迷わず使えます。
まずはベースとなるテンプレートを1つ決めて、案件ごとに少しずつ修正するスタイルがおすすめです。
新規取引先向け見積依頼メールテンプレート
初めて連絡する相手には、「自社紹介」と「問い合わせのきっかけ」を丁寧に伝えることで、
安心感と信頼感を与えられます。以下は、新規取引先向けの基本テンプレートです。
必要に応じて「相見積もりであること」や「希望納期」を追記してください。
件名:〖御見積依頼〗〇〇商品のご提案のお願い 株式会社△△ 営業部 〇〇様 初めてご連絡いたします。 株式会社□□の営業部で〇〇を担当しております、山田と申します。 貴社ホームページを拝見し、製品「ABC-123」に大変興味を持ち、 下記条件での御見積をお願いしたくご連絡いたしました。 ――― 依頼内容 ――― ・品名/型番:ABC-123 ・数量:50台 ・希望納期:2026年2月末まで ・納入場所:弊社東京本社(東京都〇〇) ・支払条件:月末締め翌月末銀行振込 つきましては、恐れ入りますが、 〇月〇日(〇)までに御見積書をご送付いただけますと幸いです。 (メール添付にてお送りいただければ結構です) ご多忙のところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。 ―――――――――――― 株式会社□□ 営業部 山田 太郎 〒000-0000 東京都〇〇〇〇 TEL:00-0000-0000 E-mail:taro.yamada@example.com ――――――――――――
新規の相手には、上記のように問い合わせのきっかけ(ホームページを見た、セミナーで知った等)を一文入れ、
依頼内容は箇条書きで整理して伝えるのがポイントです。
既存取引先・急ぎの場合のテンプレート
既存の取引先であれば、毎回長い自己紹介は不要です。その代わり、
いつまでに見積が欲しいのかと、急ぎである理由を明確に伝えましょう。
件名:〇〇システム追加ライセンス御見積のお願い(至急) 株式会社△△ 営業部 〇〇様 いつもお世話になっております。 株式会社□□の山田です。 表題の件につきまして、下記内容にて追加ライセンスの御見積をお願いできますでしょうか。 ――― 依頼内容 ――― ・対象製品:〇〇システム ライセンス ・数量:20ユーザー分 ・希望納期:2026年1月末まで ・支払条件:現行契約と同条件 大変急なお願いで恐縮ですが、 社内稟議の都合により、〇月〇日(〇)までに御見積を頂戴できますと幸いです。 ご多忙のところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。 ―――――――――――― 株式会社□□ 山田 ――――――――――――
「至急」であっても、相手のスケジュールを配慮するクッション言葉を入れることが大事です。
また、「社内稟議のため」「上長確認のため」など、急ぐ理由を一言添えると、先方も優先度を判断しやすくなります。
建設業など高額案件向け見積依頼書テンプレート
建設工事や設備投資など、高額かつ長期のプロジェクトでは、
メール本文だけで条件を伝えるのは危険です。必ず見積依頼書テンプレートを用意し、
ExcelやPDFで添付するようにしましょう。以下は、基本的な構成例です。
御見積依頼書 発行日:2026年1月15日 見積依頼番号:REQ-2026-001 【宛先】 株式会社△△ 御中 建設事業部 〇〇様 【発行者】 株式会社□□ 建設企画部 山田 太郎 〒000-0000 東京都〇〇〇〇 TEL:00-0000-0000 / E-mail:taro.yamada@example.com 下記の通り、お見積りくださいますようお願い申し上げます。 件名:本社ビル空調設備更新工事に伴う御見積依頼 希望納期:2026年8月末 完了 希望支払条件:検収月末締め翌月末現金払い 見積回答期限:2026年2月14日 見積有効期限:見積書提出日より30日間 No. 品名・工事項目 仕様・内容 数量 単位 1 空調機本体 別紙仕様書A-1の通り 10 台 2 既設機器撤去工事 別紙仕様書A-2の通り 1 式 3 搬入・据付工事 別紙仕様書A-3の通り 1 式 4 試運転・調整 別紙仕様書A-4の通り 1 式 備考: 1. 本件は複数社への相見積もりとなります。 2. 詳細仕様については別紙仕様書A一式をご参照ください。 3. 送料・諸経費等は見積金額に含めてご提示ください。
このように、見積回答期限と見積有効期限を明示しておくことで、
価格変更リスクを避けつつ、自社の稟議スケジュールも守りやすくなります。
また、「別紙仕様書」を併用することで、依頼書自体はシンプルに保ちつつ、
技術的な条件をしっかり伝えられます。
見積依頼テンプレートを自社仕様にカスタマイズする方法

最後に、既存の見積依頼テンプレートを、自社の業務にぴったり合う形に
カスタマイズする方法を紹介します。
無料テンプレートをそのまま使うだけでも十分便利ですが、案件が増えるほど
「うちの会社ならではのチェック項目」や「稟議・承認の流れ」が見えてきます。
それらをテンプレートに組み込んでいくことで、ミスが減り、作業時間も短くなっていきます。
抜け漏れを防ぐチェックリストの作り方
まずは、過去の見積依頼で起きたトラブルや、よく質問されるポイントを書き出してみましょう。
たとえば、
- 「納入場所が書いておらず、送料が見積に含まれていなかった」
- 「検収条件を決めていなかったため、トラブル時の責任範囲でもめた」
- 「回答期限が曖昧で、稟議に間に合わなかった」
こうした事例をもとに、テンプレートの末尾にチェックリスト欄を追加すると効果的です。
【送付前チェック】 □ 品名・仕様・数量に誤りはないか □ 希望納期・納入場所を明記しているか □ 支払条件・検収条件を記載しているか □ 見積回答期限・見積有効期限を設定したか □ 添付資料(仕様書・図面)の漏れはないか
このようなチェックを毎回行うことで、「人の注意力」ではなく「仕組み」でミスを防ぐことができます。
稟議・社内共有を前提にしたテンプレート設計
見積依頼書は、最終的に稟議書・契約書・請求書など、他の書類と紐づいていきます。
そのため、自社のワークフローを意識した項目設計にしておくと便利です。
- 案件名・プロジェクトコード:社内で統一して管理できるように
- 見積依頼番号:後から問い合わせや比較をするときのキーになる番号
- 担当部署・担当者:責任の所在と問い合わせ窓口を明確にする
- 見積分類:参考見積/正式見積など、稟議レベルを分けるための区分
これらをテンプレートに組み込んでおくことで、どの見積依頼がどの稟議と紐づいているかが
一目で分かるようになり、社内の情報共有がスムーズになります。
無料テンプレートとクラウドツールの使い分け
最初のうちは、WordやExcelの無料テンプレートで十分対応できます。
特に見積依頼の件数が月に数件程度であれば、テンプレートをコピーして宛名や数量を書き換えるだけで、コストゼロで運用できるのが魅力です。
一方、月に数十件〜数百件の見積依頼・見積書を扱うようになると、テンプレート管理だけでは限界が見えてきます。その場合は、見積書や請求書をクラウド上で一元管理できる見積・請求管理ツールの導入も検討しましょう。
テンプレートをシステム上で登録し、顧客情報や品目マスタと連携させることで、見積作成〜承認〜送付までの流れを大幅に効率化できます。
まずは本記事で紹介したようなひな形をベースに運用を始め、処理件数や社内フローの複雑さに応じて、徐々にクラウドツールへの移行を検討するのが現実的です。
無料のExcel・Wordテンプレートでも十分便利ですが、見積書や請求書の件数が増えてくると、作成・送付・管理までを一括でこなせるクラウドツールのほうが圧倒的にラクになります。そこで候補になるのが、弥生株式会社が提供しているクラウド請求書・見積書・納品書管理サービス「Misoca(ミソカ)」です。
Misocaなら、ブラウザやスマホアプリから見積書・納品書・請求書・領収書をまとめて作成・送付・管理できます。見積書から納品書・請求書へ、請求書から領収書・検収書へとワンクリックで変換できるので、テンプレのコピペ作業や転記ミスがぐっと減ります。さらに、月の請求書発行枚数が少ない事業者向けには無料プランも用意されているため、フリーランスや小規模事業者でも導入しやすいのが特徴です。
「ひな形ファイルの管理が大変になってきた」「見積から請求までを一つの仕組みで回したい」という方は、見積依頼テンプレートで基本を押さえたうえで、Misocaのようなクラウド請求書サービスを併用するのがおすすめです。「Misocaの詳細・無料登録はこちら」から確認してみてください。
まとめ:見積依頼テンプレートで「早く・正確に・感じよく」
見積依頼は、金額だけでなく、相手との信頼関係に直結する大切な業務です。
その一方で、忙しい日々の中では「毎回文章をイチから考えるのが面倒」「必要な条件を書き忘れてしまう」
といった悩みもつきものです。
そこで役に立つのが、見積依頼テンプレートです。
- メールテンプレートで、件名・挨拶・依頼内容・回答期限をパターン化する
- 見積依頼書テンプレートで、数量・仕様・希望納期・支払条件・見積有効期限などを漏れなく整理する
- チェックリストと相見積もり用の項目を加え、比較と稟議をスムーズにする
こうしたテンプレートを一度整えてしまえば、あとは案件ごとに数字や条件を入れ替えるだけ。
「早く・正確に・感じよく」見積依頼ができるようになり、
あなた自身の業務効率も、会社全体のコスト管理の質も、きっと一段レベルアップするはずです。
今日からぜひ、自社に合った見積依頼テンプレートづくりを始めてみてください。


