ブラスト処理とは?初心者にもわかる加工の基本と実践ポイント

ブラスト処理とは?初心者にもわかる加工の基本と実践ポイント 研磨

「ブラスト処理って何?」「ショットブラストとサンドブラストの違いがわからない…」
金属加工や鉄骨工事に関わる方なら、一度はそんな疑問を感じたことがあるのではないでしょうか。

ブラスト処理とは、表面のサビや異物を除去し、塗装の密着性を高めるために行う重要な表面処理技術です。しかし、その仕組みや種類、工程の流れまできちんと理解している人は意外と少ないのが現実です。

この記事では、ブラスト処理の意味や目的、代表的な種類(ショットブラスト・サンドブラスト)、さらには処理後の対応までを図解付きでわかりやすく解説します。

初心者の方でも「なるほど!」と納得できる内容になっています。

ブラスト処理とは?意味・目的・工程を解説

ブラスト処理とは?意味・目的・工程を解説

 

「ブラスト処理とは何か知りたいけど、技術用語ばかりで難しい…」そんな悩みを持つ製造現場の方に向けて、図解でやさしく説明します。

金属表面処理の基礎知識として、サビ落としや塗装前処理としての役割、そしてショットブラストやサンドブラストなどの違いまで網羅。まずは、ブラスト処理の全体像をここでつかみましょう。

 

ブラスト処理とは何か?基本の意味と定義

「ブラスト処理」という言葉を耳にしても、具体的にどんな加工かイメージできない方も多いのではないでしょうか。まずは、この技術の基本的な意味と定義について、なるべくわかりやすく解説していきます。

ブラスト処理とは、圧縮空気や遠心力などのエネルギーを使って、研磨材(メディア)を高速で表面に衝突させる加工法です。主な目的は、金属や樹脂などの製品表面からサビ・酸化膜・バリ・塗装膜などの異物を除去することまた、表面に微細な凹凸をつけることで、塗装やメッキなどの密着性を向上させる効果もあります。

この技術は、表面処理のひとつであり、鉄工・自動車部品・航空機・電子機器など、幅広い産業で活用されています。たとえば、鉄骨建材ではJIS規格で「素地調整Sa2.5」などの施工基準が定められており、ブラスト処理はその基準を満たす前処理として必要不可欠です。

種類としては、「サンドブラスト」「ショットブラスト」「グリットブラスト」などがありますが、いずれも研削力や形成される粗面の特徴が異なり、用途や材質によって使い分けられます。

ちなみに、一般社団法人表面技術協会によると、ブラスト処理は「機械的前処理の基本であり、後工程の品質に直結する重要なプロセス」と位置づけられています(出典:表面技術協会)。

ブラスト処理の目的とは?サビ落とし・表面処理の理由

次に、なぜブラスト処理が必要なのか、その具体的な目的と背景について掘り下げていきましょう。

ブラスト処理の最大の目的は、製品の表面をきれいに整え、後工程の品質を安定させることです。特に多く使われているのは、鋼材や鉄鋼部品の「サビ除去」です。酸化による腐食が進んだ金属表面に対し、粒度の異なる研磨材を吹き付けることで、素地を露出させ、金属本来の強度や耐久性を回復させます。

さらに、表面に微細な凹凸=梨地(なしじ)状の粗面を形成することで、塗装やメッキなどの密着性を高める効果があります。実際に塗膜の密着性試験では、ブラスト処理を行った金属表面は、未処理に比べて20~30%ほど密着強度が向上したという報告もあります。

もうひとつの重要な目的は、不要な塗膜や樹脂の剥離、加工中に発生したバリの除去(バリ取り)です。とくに金型や精密部品のクリーニング処理においては、ノズル径や噴射圧の細かな調整が求められるため、設備と熟練技術の両方が必要とされます。

また、摺動部の摩擦抑制や、摺動性向上を目的とした前処理にも活用されており、単なるクリーニングを超えた「機能的加工」としての価値も高まっています。

このように、ブラスト処理はただの汚れ落としではなく、製品性能の向上や、長期的な耐久性の確保に直結する重要な表面加工技術であることがわかります。次の章では、その種類や具体的な工程について、さらに詳しくご紹介していきます。

ブラスト処理とは?種類・工程・処理後の流れを現場目線で解説

ブラスト処理とは?種類・工程・処理後の流れを現場目線で解説

ここでは、実際に現場で行われるブラスト処理の工程や処理の種類、作業時の注意点などを詳しく解説します。ショットブラストとサンドブラストの違いや、使用するメディア、処理後の洗浄・脱脂・塗装などの流れも一挙に紹介。初心者でも「この流れなら現場で説明できる!」と感じられるような構成です。

 

ショットブラストとサンドブラストの違いとは?

ブラスト処理にはいくつか種類がありますが、現場で特によく使われるのが「ショットブラスト」と「サンドブラスト」です。このふたつは似ているようで、目的や仕上がり、使用するメディアに違いがあります。

ショットブラストは、主に鉄工や鋳物、鍛造品などの重厚な金属部品のスケール除去やバリ取りに使われます。球状のスチールショットやカットワイヤーなどのメディアを高速で投射し、衝突させることで金属表面を均一に加工します。特に、鋼材の素地調整や密着性向上が目的のときに使われることが多く、高い耐久性が求められる構造物に最適です。ショットブラストは、処理効率が高く、大型製品にも対応可能な自動装置が整備されている点が特長です。

一方、サンドブラストは、繊細な表面処理や凹凸の形成、彫刻などの細かい用途に向いています。こちらはエアーを使って微細な研磨材(アルミナやガラスビーズなど)を噴射し、表面に梨地(ざらざら)状の粗面を形成します。塗装前処理や樹脂・ガラスなどの比較的やわらかい素材への施工に適しており、圧力・ノズル角度・粒度の調整がカギとなります。

つまり、**「強度・生産性重視ならショットブラスト」「精密・美観重視ならサンドブラスト」**という使い分けが、現場では基本となっています。どちらも一長一短があり、対象となる部品の材質や用途に合わせた判断が重要です。

出典:一般社団法人日本ショットブラスト工業会

ブラスト処理の作業工程を解説

ブラスト処理の流れを把握することで、現場の作業効率や品質管理に大きく差が出ます。ここでは、工程の全体像と、それぞれのステップのポイントを解説します。

 

一般的な工程は以下のようになります:

  1. 前処理(脱脂・乾燥)
     表面に付着した油や粉じんなどをアルカリ洗浄や中性洗剤で除去し、乾燥させます。これを怠ると研磨材が目詰まりしたり、密着不良が起こります。

  2. メディア選定と準備
     部品の材質や形状、目的に応じて研磨材(アルミナ、グリット、ビーズなど)と粒度を選定します。粗面形成なら#40〜#60、微細な剥離なら#100〜#180が目安です。

  3. ブラスト加工(噴射)
     圧縮空気または遠心力を使い、一定の圧力(例:0.4〜0.7MPa)で均一に噴射します。ノズルの角度と距離は15~30度/100〜200mmが適正とされ、ムラを防ぐための往復動作も重要です。

  4. クリーニング・回収
     処理後のメディアと粉じんは、専用の集塵装置で回収します。研磨材は再利用が前提のため、分級装置による管理が必要です。

  5. 検査(粗さ・外観)
     ブラスト後は、表面の粗さ(Ra値)や密着性、変形の有無などを検査します。JISやISO規格に沿った測定が必要なケースもあります。

この一連の流れは、加工の精度だけでなく、後工程である塗装やメッキの品質を左右するため、現場では非常に重視されています。

処理後はどうする?洗浄・塗装・保護の流れ

ブラスト処理が終わったからといって、作業はそこで終わりではありません。ここでは、処理後の対応について具体的に見ていきましょう。

 

まず、処理後の金属表面は非常に活性化されており、数時間以内に酸化(サビ)が始まるリスクがあります。そのため、早急な洗浄と表面保護が必須です。一般的には、以下の流れで処理を行います。

  1. 洗浄・脱塵
     残留した研磨材や粉じんをエアブローや高圧水洗浄で取り除きます。金属粉の残留は、塗膜のハジキや密着不良の原因になります。

  2. 速乾タイプのプライマー塗布
     時間をおかずに防錆用プライマーや溶剤系塗料を薄く均一に塗布します。ここでのポイントは、塗装前処理の規格(たとえばISO 8501)に適合する施工を意識することです。

  3. 本塗装またはメッキ処理
     用途に応じて、ウレタン系・エポキシ系塗装やクロムメッキ、溶融亜鉛メッキなどの表面処理を施します。塗装密着のバラつきを防ぐには、ブラスト後1〜2時間以内に処理を開始するのが理想です。

  4. 検査と保管
     塗膜の密着テストや外観検査を経て、湿気の少ない環境で保管。梱包前には、防錆紙や乾燥剤の使用が推奨されます。

これらの工程を怠ると、どれだけブラスト処理が丁寧でも最終製品としての耐久性や外観品質が大きく損なわれるリスクがあります。

ブラスト処理の現場で役立つ知識と失敗しないポイント

ブラスト処理の現場で役立つ知識と失敗しないポイント

最後に、実際の業務に活かせる「使える知識」として、ブラスト処理にまつわる注意点やよくある失敗例、選定時のコツなどを紹介します。

また、他の表面処理との違いや、外注する場合のチェックポイントも併せて解説。これを読めば「ブラスト処理を語れる人」になれます。

 

よくある失敗とその対策:加工ミスを防ぐには

ここでは、ブラスト処理の現場でよく起こるミスや不具合と、それを未然に防ぐための具体的な対策についてご紹介します。

まず代表的な失敗のひとつが、**「過剰な加工による基材の変形」**です。たとえば、アルミや樹脂など比較的やわらかい材質に対して、高圧(0.7MPa以上)で粗いグリット研磨材(#40など)を長時間噴射した場合、表面の梨地が深くなりすぎ、寸法精度に影響を及ぼします。これはとくに、摺動部品やOリング装着面などにおいて致命的な加工不良に繋がります。

また、ノズルの角度や距離の不適正も頻発するミスの一つです。通常はノズル角度15〜30度・距離100〜200mmが推奨されていますが、これを逸脱すると、噴射ムラによる表面粗さ(Ra値)のばらつきや塗装密着不良が発生します。

さらに見落とされがちなのが、処理中のメディアの管理不足です。再利用しているアルミナやガラスビーズが摩耗し、粒度が極端にばらついたまま使用されると、研削力が安定せず、粗面形成の精度が著しく低下します。

このような失敗を防ぐためには、

  • 事前に材質ごとの加工条件をマトリクス化しておく

  • 研磨材の使用時間・リサイクル回数を定期管理する

  • 定期的なRa測定や断面顕微鏡観察による品質確認
    などの対策が効果的です。

現場では「いつものやり方で」と流しがちですが、材質や用途が変われば条件設定も変えるべきだという認識が重要です。

他の表面処理との違いと外注時のチェックリスト

次に、ブラスト処理と他の表面処理(たとえば化成処理や酸洗い)との違い、そして外注する際に確認すべきポイントについて見ていきます。

まず押さえておきたいのは、ブラスト処理は機械的に除去・形成を行う処理であり、化学反応を伴う酸洗いや化成処理とは原理がまったく異なるという点です。たとえば鉄鋼部品のサビ除去を目的とする場合、酸洗いでは深部まで酸化膜を溶解除去できますが、細かいバリや梨地形成はできません

一方、ブラスト処理では**「粗面形成」「密着向上」「防錆下地の確保」など複数の目的を一工程で達成**できるため、塗装前処理としての効果が非常に高いという利点があります。とくに、JIS規格で定められたSa2.5の素地調整レベルが求められる現場では、ショットブラストのような処理が事実上の標準となっています。

外注時のチェックポイントとしては、以下のような点を確認しておくと安心です:

  • 対象材質に合わせたメディアと粒度の選定ができるか(例:アルミならガラスビーズ#100以上)

  • 処理後のRa値や表面状態を記録・報告してもらえるか

  • ショット・サンド・ウェットなど処理方式の違いを説明できるか

  • 乾燥・脱脂・塗装前処理まで一貫対応できるか

このような点を事前に確認することで、後工程での手戻りや品質トラブルを大幅に減らすことができます。

ブラスト処理は「ただの表面清掃」と捉えるのではなく、製品性能に直結する“技術工程”として捉える意識が大切です。発注者側としても、その認識と知識を持っておくことが、製造品質の安定に繋がります。

まとめ

ブラスト処理とは、金属や樹脂などの表面に圧縮空気や遠心力で研磨材を噴射し、サビ・異物の除去や塗装の密着性を高めるための表面加工技術です。ショットブラストやサンドブラストなどの種類があり、目的や対象材質に応じて使い分けられています。

処理の流れとしては、前処理(脱脂・乾燥)→ メディア選定 → 加工(噴射)→ 回収 → 検査 → 塗装・保護処理といった工程を経て、品質と耐久性を確保します。特に、処理後すぐに塗装やメッキを行うことで、酸化を防ぎ、仕上がりの信頼性が向上します。

よくある失敗には「過剰な加工による基材変形」「メディアの摩耗による粗面不良」「ノズル条件の不備」などがあり、材質ごとの適切な条件設定と定期管理が重要です。また、化成処理や酸洗いとの違いを理解し、外注時にはメディア選定や仕上がり確認の体制をチェックすることもポイントです。

つまり、ブラスト処理は単なるサビ落としではなく、製品性能と工程全体の品質に大きく関わる重要なプロセスであるという理解が求められます。現場担当者や設計者にとっても、正しい知識を持つことで、信頼される判断・発注ができるようになります

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