ジュラコンとデルリンの違いとは?

pom 材料

樹脂加工や機械設計の現場でよく耳にする「デルリン」と「ジュラコン」

名前は違うけれど、

  • 「結局、何が違うの?」

  • 「図面で指定されたけど、代替できる?」

  • 「性能差はどれくらいある?」

と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、デルリンとジュラコンの違いを、材料の正体・性能・使い分けの観点からわかりやすく解説します。

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デルリンとジュラコンの違い

結論から言うと、デルリンもジュラコンも同じ「POM(ポリアセタール)」という樹脂です。

POMは、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の一種で、以下のような特長を持ちます。

  • 高い機械強度

  • 優れた耐摩耗性

  • 低摩擦で滑りが良い

  • 寸法安定性が高い

そのため、ギア・ベアリング・摺動部品・精密部品などに多用されています。

デルリンとジュラコンの違いは「メーカーと構造」

両者の違いを一言で言うと、「メーカー」と「分子構造のタイプ」です。

項目 デルリン ジュラコン
正式名称 Delrin® DURACON®
メーカー DuPont ポリプラスチックス
POMの種類 ホモポリマー コポリマー
日本での流通 やや少なめ 非常に多い

 

性能面の違いをわかりやすく比較

デルリンとジュラコンはいずれもPOM(ポリアセタール樹脂)ですが、分子構造の違い(ホモポリマー/コポリマー)により、力学特性・熱特性・加工安定性に明確な差が生じます。
ここでは設計者・加工技術者の視点から、それぞれの特徴を掘り下げて解説します。

 

デルリンは、DuPont(デュポン)が開発したホモポリマー型POMです。分子鎖が規則正しく並び、結晶性が非常に高いことが最大の特徴です。

■ 剛性・引張強度が高い

ホモポリマー構造により結晶化度が高く、

  • 引張強度

  • 曲げ弾性率

  • 表面硬度

といった機械的特性がコポリマーPOMよりも高い傾向にあります。
そのため、荷重が集中する部位や変形を極力抑えたい構造部品に適しています。

■ 機械的強度を最優先する用途に向く

デルリンは、ギア・カム・シャフト・精密スライド部品など、金属代替としての役割を強く求められる用途で評価されてきました。

特に、

  • 繰り返し応力

  • 高い接触圧

  • 剛性不足が致命的になる設計

では、デルリンの持つ高剛性が大きなメリットになります。

■ 摩耗しにくく硬さがある一方、注意点も

結晶性が高い=硬く摩耗に強い反面、

  • 熱分解にやや弱い

  • 成形温度管理がシビア

  • 厚肉成形や複雑形状では内部応力が残りやすい

といった特性もあります。
設計自由度や量産安定性よりも、純粋な物性を優先する設計向けの材料です。

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ジュラコン(コポリマーPOM)の特徴

ジュラコンは、ポリプラスチックスが製造するコポリマー型POMです。
ホモポリマーに少量の異なる単位を組み込むことで、総合的な安定性を高めた設計になっています。

■ 耐熱性・耐薬品性・寸法安定性が高い

コポリマー構造により、

  • 成形時の熱分解リスクが低い

  • アルカリ・洗浄剤・油脂への耐性が高い

  • 吸水後の寸法変化が小さい

といった実使用環境での信頼性に優れています。

特に長期使用や、温度変化・湿度変化のある環境では、
デルリンよりも寸法精度を維持しやすいのが大きな強みです。

■ 成形・加工時の安定性に優れる

ジュラコンは、

  • 成形条件の許容幅が広い

  • 反り・ヒケ・割れが出にくい

  • 切削加工時の欠けやクラックが少ない

といった特性があり、量産性・歩留まりの良さに直結します。

そのため、設計値どおりの部品を安定して作り続けたい現場では非常に扱いやすい材料です。

■ 日本の加工現場で最も一般的なPOM

日本国内では、

  • 図面指定が「POM」だけの場合

  • 材料指定が曖昧な場合

多くのケースで実質的な標準材料としてジュラコンが採用されています。
これは性能だけでなく、流通性・実績・加工ノウハウが豊富であることも理由です。

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専門的な視点でのまとめ

重視ポイント 適した材料
最大強度・高剛性 デルリン
長期安定性・量産性 ジュラコン
精密ギア・高荷重部 デルリン
成形品・汎用機械部品 ジュラコン

設計思想が「物性最優先」か「安定運用重視」かによって、選ぶべきPOMは明確に変わります。

実務ではどちらが使われている?

日本の製造現場では、
「POM=ジュラコン」という感覚で使われることが非常に多いです。

  • 図面に「ジュラコン」と書かれている

  • 実際はPOM指定の意味合い

  • デルリンや他社POMで代替されるケースも多い

ただし、

  • 医療機器

  • 精密機構部品

  • 海外規格が絡む案件

などでは、ブランド指定が厳密な場合もあるため注意が必要です。

デルリンとジュラコンの使い分け目安

どちらでも問題ないケース

  • 一般的なギア・摺動部品

  • 強度・耐久性が極端に求められない場合

  • コストや入手性を重視したいとき

 

使い分けたほうがいいケース

  • 高剛性・強度優先 → デルリン

  • 寸法安定性・耐薬品性優先 → ジュラコン

 

よくある誤解

❌「デルリンとジュラコンは別の素材」
👉 同じPOMです

❌「必ず性能差が大きく出る」
👉 用途によっては差を感じないことも多い

❌「指定されたブランド以外はNG」
👉 設計意図と要求性能次第

まとめ|デルリンとジュラコンの違い

  • デルリン = DuPont の POM

  • ジュラコン = ポリプラスチックスの POM

  • 性能差はあるが基本は同じ素材
    → 現場ではほぼ同等として扱われることが多いです。

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