厚みが薄い板にネジ穴を作るときに注意しないといけないことは、ネジ山の数が極端に少なくなってネジの締結強度が著しく低下してしまうことです。
ネジを締めるときにトルク管理をしていても、バキッとネジ山が潰れてネジ穴がバカになることもあります。
そんな薄板へのネジ穴加工に対する悩みを解決する方法があります。それぞれの方法には、メリットとデメリットがあり、目的や素材、使用環境に応じて選択することが重要です。以下に、代表的な4つの方法を紹介します。
ブラインドナットを使う
ブラインドナット(リベットナット)は、薄い板材に対して強力なネジ穴を作るための一般的な方法です。主に、アルミニウムやステンレススチールの薄板に使用されます。
ブラインドナット自体の中にネジが加工されていて、板に穴をあけて差し込みます。
その後、専用工具を使用してブラインドナットを薄板にカシメることでネジ穴を作る手法です。
詳しくは別の記事で記載していますので参照してください。
→ ブラインドリベット(ナット)の使い方とは?それは超便利な道具
メリット
- 板材の片側からのみ施工できるため、狭い場所やアクセスが限られた場所でも取り付け可能。
- 高い保持力を持ち、振動や衝撃に対しても安定している。
- 特殊な工具が必要ではあるが、簡単に使用できる。
デメリット
- 専用の工具が必要なため、初期投資が必要。
- 使用する材質や厚みによっては、適切なサイズを選ぶ必要がある。
プレスナットを使う
プレスナットは、プレス機を使用して板材に圧入することで固定されます。
メリット
- 高い保持力を持ち、機械的な強度が優れている。
- 板材の表面にフラットな仕上がりになるため、美観を損なわない。
- 材質や厚みによって広範な選択肢がある。
デメリット
- プレス機が必要なため、工場などでの作業が前提となる。
- 取り付け位置の精度が要求されるため、専門的な知識と技術が必要。
バーリング加工をする
バーリング加工は、薄い板材にネジ穴を作るための機械加工の一種です。
まずは、パンチで穴をあけた後、抜けた方向のその周辺を上げ(盛り上げる)ます。この盛り上がった部分にタップでねじ加工をすれば、薄板にネジ山が作れます。
メリット
- 板材に対する追加の補強効果があり、ネジの保持力が向上する。
- 板材の薄さに関わらず、安定したネジ穴を提供できる。
- 特別なファスナーを使用しないため、コストを抑えられる。
デメリット
- 加工には専門的な機械と技術が必要。
- 板材の材質や厚みによっては、加工が難しい場合がある。
ナットを溶接する
ナットを薄い板材に溶接する方法も一般的です。
特に、溶接技術が普及している工場や現場でよく使われ、簡単でネジ穴が作れます。
メリット
- 非常に高い保持力を持ち、重負荷にも耐える。
- 材質を問わず、広範な適用が可能。
- 簡単な溶接技術で施工できる。
デメリット
- 溶接作業には専門的な知識と技術が必要。
- 熱影響を受けやすい材料では、変形や強度低下のリスクがある。
- 板材の裏側にアクセスが必要な場合がある。
まとめ
薄い板にネジ穴を作る方法には、ブラインドナット、プレスナット、バーリング加工、ナットの溶接などがあることを紹介します。
各方法には、それぞれのメリットとデメリットがあり、用途や環境に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。適切な技術を選ぶことで、信頼性の高いネジ穴を作り、長期的な安定性を確保することができるでしょう。