個人で金属部品加工を依頼する場合、どれくらいの費用がかかるのか気になりますよね。
私の会社にも、毎月のように個人さんから相談とか見積依頼の電話がかかってきます。
でもね。
業者として言わせてほしいことがあります。
電話をかけてこられて、何の図面も資料もないまま口頭で「いくらですか?」と聞かれても、答えられません(笑)
材料のこととか、大きさとか、加工精度とか何もわからないのに、個人で頼んだらどれくらいの費用がかかりますか?ってよく聞かれます。
わかんねーよ!!!(笑)
不思議と多いんですよねぇ。。。
確かに、加工費用がどれくらいになるのかは気になると思いますが、焦らずにまずは問い合わせをする前に相手に伝える準備をしっかりとしておかないとダメです。
電話で話せばわかるだろうと思い込んでしまいがちですが、あなたが思っているほど相手には伝わりません。
個人でも法人でも価格に差は出ません
部品加工を依頼すると、個人だと割高になると思い込んでいる人は結構いるみたいです。
確かに、事務手数料などの費用がかかってきたりしますが、加工費そのものが割高になるということはあり得ません。
やる仕事の内容が同じなら、個人であろうと法人であろうと関係ないから。
しかし、実際に見積をしてもらった金額が妥当な金額であったとしても、それを高いと感じるかそうでないかはあなた次第です。
加工屋さんが5000円と提示してきた価格にたいして、あなたが1000円以下でやってもらわないと高いと思うのなら、他の加工屋さんを探し続けてください。
実際、部品加工にかかる費用はどれくらい?
部品加工といってもその内訳は様々です。
思いつくだけでも
- 材料費
- 加工費
- 表面処理費
- 熱処理費
- 梱包費
- 送料
- 人件費
とあります。
このほかにも、データ作成が必要になればデータ作成費、打ち合わせや設計が必要になれば設計費など。
実際、同業者でもそれぞれの会社の人件費はわからないので不透明な部分はあり、加工費についても時間チャージで考えるのか、感覚で決めているのか会社によってバラバラです。
材料費についても、実は仕入先によって異なるので一概には言えないのですが、参考程度に見てもらうのであれば、ミスミやモノタロウなど一般の人でも価格が知れるサイトを見てみましょう。
材料ってどれくらいするのかが分かります。
表面処理(メッキやアルマイト、コーティング、塗装など)の費用は表面積で決まったり、マスキングをしたり、下地処理をしないといけなかったりすることで価格は変わります。
それに、1個だけを処理するのか複数個を処理するのかでも全然価格が違う。
なので、個人依頼で1個だけの製作をお願いしたら、表面処理費用は高くなったりします。
数千円という金額になることもよくある。。。
熱処理については、ほとんどが1kgいくらという重量単価になっています。
(金属の種類によってキロ単価が変わります)
この単価も各会社が熱処理屋さんといくらで契約しているか次第で変わりますが、1kg数百円くらいが相場です。
基本的には1kgが最小単位なので、1kg以下の部品だと1kgとみなして価格請求がきます。
気を付けたいのは、熱処理や表面処理については、加工会社が自社でやるわけではないので処理業者のところへ製品を発送したり、持って行ったりしないといけません。
その時にかかる費用も実際には見積金額に乗ってくると思ってください。
小さな部品だから1000円くらいかなぁと思ったりする人もいますが、材料って小さければ安いというわけではなく、逆に小さくなると割高になる傾向にあります。
大量生産するようなパーツの場合は、歩留まりのよい大きい材料から切り出しながら作っていくので材料費が数円とか数十円になるかもしれませんが、1個だけをワンオフで作る場合は絶対無理です。
例えば、30mm角のブロックの真ん中に1か所10mmの貫通穴をあけるだけの部品があったとします。
数量1個
素材はSS400(鉄)
表面処理なし
あなたなら、いくらくらいを想像しますか?
材料費:500円
加工費:500円
梱包費・送料:1000円
と計算しただけで、2000円になります。
ここに、事務手数料(請求書や納品書の作成など)が500円プラスされると2500円です。
いつも取引している会社どうしなら、事務手数料というのは通常考えませんが、個人さんとかになるとそれだけを処理しないといけないので、事務手数料が必要になったりする。
あくまでもざっくりとした単純計算ですけどね。
これを高いと感じるか安いと感じるか、それと妥当だなと思うか思わないか。
店舗で棚に製品を陳列して販売しているわけではなく、オーダーメイドの受注生産であるということを理解してもらえれば、何となく納得してもらえるのではないかなと思います。