3Dスキャナーとは対象物に光を当ててその反射によって距離を測定することで3Dモデルを作る装置のこと。
非接触でモデリングできるメリットがある一方で、どうしてもスキャンが難しいものもある。
世間一般的には
- 光を透過してしまうもの(透明ガラスやアクリルなど)
- 黒くて光を吸収してしまうもの
- 表面がツルツルで光沢があるもの(鏡のようなもの)
がスキャンするには難しいと言われているものです。
今回、ベークライト製のとある部品を3Dスキャンし、3Dモデルを作ってから光造形でスケールダウンしたものを作って欲しいと相談があったんです。
布ベークライトとは
ベークライトって何?という人のために、簡単に説明しておくと
「フェノール樹脂」と呼ばれる熱硬化性のある樹脂素材の1つで、布や紙をミルフィーユのように間にはさんで積層させて作ったものになります。
耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性があり、色々なところで使用されていますが、電気絶縁性を利用して配線基板などに使用されることが多いように思います。
その他、茶色っぽくてウッディな外観から見た目重視の目的で使うところもあります。
ベークライトを加工するときに注意しないといけないのは、積層目に対して垂直方向には問題ないのですけど、水平方向に加工するときはベークライトがペロッとめくれることがあります。
強度的には紙ベークライトよりも布ベークライトの方が強いので、加工的には布ベークライトが好きですね。
ただ、電気絶縁性が高いと言われているのは紙ベークライトです。
ベークライトは3Dスキャンできない?
今回、3Dスキャンしてと依頼された部品は糸を巻き取るボビンのようなものです。
実際、うちの会社の中に3Dスキャンがあるわけではなく、知り合いの会社にあるのでそこに依頼することにしたんです。
しかし、結果として3Dスキャンがうまくできないという返答。
なぜ??
冒頭でも書いたように、3Dスキャンは光の反射を利用して3Dモデルを作る装置です。
光の反射、吸収、透過といった問題がありそうならばわかりますけど、ベークライトってそういった阻害ファクターなんてなさそうじゃないですか。
これらのファクター以外で3Dスキャンを妨害してしまう要素としては
- 不安定なもの(測定中に簡単に動いてしまうようなもの)
- 左右対称なもの(つなぎ目がわからないのでモデルの画像がつなぎ合わせられない)
- 大きすぎる or 小さすぎるもの
- 穴やネジなど測定ノイズが発生しやすい部分が多いもの
といったことが挙げられます。
こういった要素の1つ1つが対象物において細かい部分で組み合わさることで3Dスキャンを困難なものにしている可能性があります。
今回、ベークライトだからという素材の理由ではない気がするのですが、実際には理由ははっきりしませんでした。
3Dスキャナーもメーカーがいくつもありますし、3Dスキャンをサービスにしている業者さんもあるので、結論としてはどこの業者に依頼するかで結果が大きく変わることは間違いなさそうですね。