自社では単品加工などしかしていなかったり、商社業をしている人にとって量産案件というのは、魅力的な仕事の1つかもしれません。
毎月安定した受注量で安定した収入を得ることができると考えられるからです。
しかし、量産(大ロット)はリターンが大きい反面、受注に至ってからのリスクも大きいですし受注に至るまでのやり取りでも気を付けておかないと大変な目に合うことも予想できます。
とりわけ単品加工モノばかりを取り扱ってきた人にとっては、落とし穴が沢山ありますので注意しておきたいところです。
ここでは、私が経験から知ったことをまとておきますのでこれから大ロット案件の見積もりなどに取り組む場合は参考にしてください。
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継続年数の補償契約をしてもらう
まず単品加工の仕事では概念がない継続受注の補償をしてもらう契約です。
量産案件がありますから見積もりしてみますか?
なんて言われて、月産数万個の仕事に意気揚々と見積もり作業を取り組もうと思ってはいけません。
まず、量産はボリュームにもよりますが、加工ラインを確保しないといけないものもありますので、そうなると加工会社にとっては生産スケジュールの調整やら加工機械の確保などをする必要が出てきます。
月産数万個レベルになると、単品加工屋で対応できる量ではありませんので、自動機を持った量産を専門にしている会社などに依頼するほかありません。
しかし、量産を専門にしている会社では一定の決まった案件をこなしていることが多いので、ポッと出の案件には継続年数の確保などが約束されていないと真剣には向き合ってもらえません。
何故なら、その仕事のために新しく機械を確保するわけです。
場合によっては、新規機械を購入したりまでします。
新規に機械を購入するならば、機械の購入費の償却も必要ですから、やはり継続した受注の確保が必要となるのです。
物流費用の負担
受注の継続補償も重要ですが、物流についても見落としてしまいがちですので注意しないといけません。
単品物と違って、量産の場合は月産数万個レベルになれば私達が通常使っているであろうヤマト運輸や佐川急便などの運送会社では対応してくれないです。
それに、運送コストの心配もあります。
なので、数万個を一回で運ぶのか、分納するのかなども含めてどこの運送会社を利用するのかを打ち合わせしておきましょう。
運送コストの負担を受注側がする場合は、見積書にも明記しておかないとダメです。
洗浄・梱包などの雑費用
加工が終わった後の洗浄・梱包費用も見落としてしまいがちなので注意します。
図面に「脱脂処理のこと」などが書かれていないかチェックし、もし加工後にそういった洗浄処理が必要となる場合は、大ロットだと手間が非常にかかります。
手間がかかるということはコストもかかる。
また、梱包も同じです。
箱の中にバラバラっと入れるわけにもいかないでしょうし、大きな物になればどういった梱包をするのか、木箱を用意するのかなどケースバイケースで顧客と相談しておきます。
すると、予想外に梱包費用がかさむということもありますので必ず計算するようにしましょう。
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設備投資費の負担についての交渉
新規に大ロットの製品を製造するにあたって、既存の社内設備だけではまかないきれないということも多々あります。
そういったときには、新たな設備の導入を加工屋サイドから提案されることもありますが、その設備投資費用をどうするのか?というのが問題になったりします。
加工屋が勝手に設備導入するんだから知りません!というお客様もいれば、設備投資費用を全額負担する代わりに生産契約が切れた時には機械の返却を求めるお客様もいる。
あるいは、加工屋に機械のリースを組ませて、月々のリース費用を加工単価に乗せるよう指示するお客様だっている。
色々です。
なので、もしも新たな設備投資が必要であるとなったときには費用をどうするのか相談しましょう。
工具費用の負担
量産案件の場合、月々に使用する工具量というものがある程度計算できます。
なので、専用に工具代が月々どれくらい必要かを計算して、加工代に加えるか別途明記して請求するかになります。
単品加工では工具代とか切削油代なんてほとんど計算に入れませんが、量産になると無視できない量になるので注意です。
量産前の試作だけで終わる覚悟も必要
大ロットの加工はハイリスクです。
もし、不良品を大量に作ってしまったら材料費、時間、人件費など莫大な赤字になってしまいます。
そのため、まずは間違いなく良品が作れるのかどうかの試作を求められることがあります。
単純なものは試作なしで本番もありますが、ネジの加工があったり面粗度の指定などがあったりすると、やはり試作品で品質チェックを受けます。
時には、何回も何回も試作を繰り返してお客様が「合格」というまで食い下がらないといけないこともある。
はっきり言っておくが、量産加工屋にとって試作は拷問です。
自動機などで数千、数万の製品を大量に作るのが得意としている会社で1個、5個、10個だけを試作して提示するのは、赤字にしかならないのです。
それでも、量産にGoがかかれば、数年契約で機械が動き続けるので試作の赤字もペイできるという計算するからやるのです。
しかし、あまりに精度や加工条件などがが厳しくて何回試作をしてもパスしない状況が続くと、加工屋も辞退してしまいます。
そこは覚悟しておかないとダメです。
不良品が出た時のリスクの大きさも考えておく
いざ量産(大ロット)案件が決まったとしても安堵してはいけないです。
必ず付きまとう不良品対策です。
切削工具の磨耗などによる寸法公差の外れやネジ穴不良などはよくあることで、そうなった場合には速やかに不良品対策として再製作などにとりかからないといけません。
もちろん、不良品が出れば赤字です。
不良品の量が多ければ多いほど赤字が大きくなります。
なので、品質の安定性や品質チェック体制は加工屋に徹底してもらう必要があります。
仕事はお金の問題だけでなく、信頼の問題、時間の問題など様々な要素がつきまといます。
大ロット案件はスムーズにことが進めば「オイシイ」仕事かもしれませんが、足を踏み外すと大変苦労します。
そこを踏まえたうえで取り組みましょう。
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