個人で部品加工を業者にうまく依頼できる人の共通点は図面の準備です。
何となくでも伝われば業者さんは作ってくれるんじゃないかという期待から、ラフなスケッチ図を送ってしまう人は必ずいますが、部品加工依頼ができる確率はかなり低くなると思った方がよい。
旧モデルのパーツを使っているが、すでに廃盤となってしまっているので新規購入ができない。でも、そのパーツじゃないと使用上満足できないので、手元にある現物と同じものを作って欲しい。
こんなことが多いのでは?
あるいは、バイクや車などのカスタムで自分で考えた市販品にはないオリジナル形状のパーツが欲しいというのも相談依頼が多いジャンルの1つです。
その他含め、個々で作って欲しい、修理してほしいというものは様々ですが、加工業者に依頼する時に相手に余計な負担をかけないようにすることが重要なんです。
そのためには、見やすくて正しい図面を準備する必要があなたにはあるのです。
まず読解から入らないといけないような図面を渡されると、加工屋はうんざりしちゃうんです。
ですから、正しい図面がなければ(用意が難しい場合は数百円など低額から個人で製図代行を受けてくれる人も探せばいます→ココナラ)加工業者に依頼できる確率が低くなるというわけです。
ここではその重要性と図面の準備方法について解説します。
現物支給あるいは現物写真だけでは部品加工を受けてくれない理由
「現物渡すからそのコピーを作ってくれたらいいだよ!」
という要求はなかなか通りません。
お断りします!!
と言われるのがオチです。
最初に伝えたように、そもそも図面が無いことを前提にした仕事は断りたくなるもの。
設計図無しに家を建てろと言われているようなもの。
現物写真があれば同じもの作れるんじゃないの?と思う人は多いですが、確かに作れるかもしれないものの業者としては敬遠したくなる心理があります。
その心理は、逆にあなたが依頼される側だと想像したら何となくでも理解できるのではないかと思います。
現物を見ただけでコピーするのは難しい
例えば、彫刻品があったとして
「この彫刻品と同じものを作ってくれ」と言われた場合、似たような形はできるかもしれませんが、寸分違わず同じものをコピーしようと思うと3Dスキャンしてから3Dプリンターとか真空注型とかしないと難しい。
それでも、現物とまったく同じというわけにはいきませんし、金属製となると3Dプリンターとかでは高コストで到底依頼できないということにもなる。
そうでなければ「世界に一つだけ」の芸術作品なんて簡単に量産コピーされてしまいます。
もし、あなたが手元に持っているものを業者が預かってくれたとしても、業者としてはそのパーツを採寸して図面化しないと加工ステップに進めないのです。
加工者に「このように加工して」という指示書が図面ですから。
ところが、パーツに特殊なネジやギアが切ってあったり、寸法計測できない曲線面があったりすると図面化そのものが困難になります。
ましてや「材質は何かわりません」と依頼者が言うようなことがあれば、加工依頼を受ける側である業者は「そんなものできません」と言うしかないのです。
材質、形状、寸法(公差も含む)などの情報がないことには、何もできないのです。
図面化できないということは、加工者に加工指示がだせないということ→加工不可!
こういうことです。
「似たような形にしてくれたらいい」は拒否される!
加工屋は普段の仕事で、0.01mmの世界、あるいは0.001mmの世界で戦っていることが多いです。
わずか0.01mmの寸法外れでクレーム・返品・再加工をお客様から指示されてしまうこともあります。特に大手自動車メーカー関係の部品は、わずかな寸法外れが大きな問題となることもあるので神経をとがらせているのが日常なのです(時には過剰品質ではないかと思うようなところも多々ありますが・・・)
こういった厳しい環境下で仕事をしている手前、図面に不備があったり加工指示不明箇所があると必ず細かく問い合わせをお客様にします。
勝手な判断で「こうしとけばええや!」と加工してしまうと、後々に大クレームを受けることもあります。
その習慣が加工業者にはあるので、法人であろうと個人であろうとお客様には「細かく加工指示を図面に示して提示する義務がある」と思っているのです。
加工指示が不明瞭な図面では、普通に加工不可ですと返答されてしまいます。
個人客からすれば、似たような形にしてくれたらいいのに不親切だな!と思うかもしれませんが、それは認識違いというものです。
部品加工の業界には部品加工の常識があるということを受け入れないといけないのです。
sponsored link図面の書き方の基礎は展開図
さて、図面を提示することの重要性を少しでも理解してくれたということで、図面の書き方についての基礎をお伝えするならば、それは展開図をイメージすることが大事です。
図面の書き方については個人の単品部品依頼のための図面作成方法を参照してください。
全ての部品図面は、三角法などの製図ルールに則って描かれています。
そのルールが展開図です。
部品を上から見た時、横から見た時、下から見た時(必要に応じて斜めから見た時)という情報が必要ですし、断面図というものが必要になることもあります。
私も時々個人から様々な部品加工の相談を受けることがあります。
でも、やはり図面がないという方が圧倒的多数であり、手書きでもよいので図面を描いて送ってもらえますか?と言うと、部品をスケッチしたものを送ってくれることがあります。
スケッチは図面ではないです。。。。
写真で撮ったものと同じです。。。。
図面というのは、加工指示をするものだということを繰り返し言います(これ重要だから!)
自分で部品図を製図できない時には製図委託を検討しよう
どうしても図面を描くというのは自分にはできない。
CADソフトはフリーでダウンロードできたりもするけれど、使い方がわからないし投げだしたくなるという人は多い。
その場合は、製図もしてくれる業者を探すか(うちの会社では業務時間的な問題で対応していません)、ココナラを利用して図面を描いてくれる人に依頼するのも1つの手です。
ココナラのトップページの上部検索欄に「図面」とか「製図」などのキーワードを入れてみると色々と対応してくれる人が見つかります。
価格については、それぞれ設定されている金額が異なるので、自分でこれくらいなら出しても良いかなと思う人に相談してみるといい。
会員登録は無料なので、登録だけでも済ませておくと便利に使えますね。
図面製図にわざわざお金をかけたくないと思うかもしれませんが、図面データさえ出来上がって所有できていれば、いつでも色々な加工業者に相談しやすくなるというメリットを忘れてはいけません。
加工業者が個人依頼を敬遠する最大の理由は、部品加工における金額面での認識相違の他、ちゃんとした図面を提示してくれないということにあるのです。
金額的な認識のズレについては仕方ないとしても、せめて図面を提示できるのであれば門前払いをくらう確率はグッと下がりますので投資だと思って製図してもらいましょう!