高周波焼入れ【熱処理】とは?火炎焼入れとの違い

induction hardening熱処理

熱処理(金属を硬くする処理)の方法の1つとして、高周波焼入れという方法があります。

高周波焼入れの目的は、金属表面のみを硬くしたい場合に利用され耐摩耗性の向上を目的とします。

例えば、回転軸とかですね。

 

表面だけが硬くなって深部に焼入れが入らないということは、金属の”しなり(靭性)”を保ったまま表面の耐摩耗性向上が期待できるということになりますよね。

そういった特徴から高周波焼入れはよく使われるのです。

 

素材にもよりますが、S45Cなどの炭素鋼だとHRC45~55くらいの硬さまでは上がると思います。

実際には、製品の大きさや形状にもよりますので、あくまでも一般的な数字だと思ってください。

 

では、高周波焼入れってどうやっているのか?

ということと、高周波焼入れと併せてよく聞く「火炎焼入れ」との違いについて紹介します。

高周波焼入れの仕組み

高周波焼入れでは金属に電気を流した銅線などを近づけることで加熱します。

※コイルを製品に触れさせているわけではなく、あくまでも近づけているだけです。

 

銅線などのコイルに電気を流し、処理したい金属に近づけると電磁誘導が起こって金属表面に電気が流れます。

その時、電気抵抗が発生してそれによって加熱される仕組みです。

 

参考になる動画がありますので掲載しておきます。

赤くなっているのは、電気抵抗によって加熱されているからですね。

加熱後は水をかけて急冷します。(なんで急冷するのかということについては、「熱処理で鋼が硬くなる理由」の記事で説明しています)

 

高周波で加熱して焼入れしたままの状態で硬度はかなり上がっているのですが、このままだと靭性が損なわれていて硬くて脆い状態で使えないので、動画にはありませんが焼き戻しという工程がこの後に入ります。

焼き戻しは一般的には150~200℃くらいで行います。

焼き戻しをすることで、割れにくい硬い金属に仕上がるのです。

高周波焼入れと火炎焼入れの違い

高周波焼入れは電気抵抗で金属を加熱しますが、火炎焼入れはその名前のとおりバーナーで直接金属を火にあぶります。

焼入れ・焼き戻しの工程は同じで、最初に加熱したら水か油で急冷し、その後に焼き戻しをしないと割れる原因になります。

原始的な方法ですが、温度管理や炙り方など技術によって仕上がりが全く変わってくる。

 

DIYなどの動画で金属をバーナーで炙っている様子を見ることもありますが、硬度管理は結構難しくていい加減なところもあるのではないかと思います。

ちなみに、工業用部品では部品図面に「火炎焼入れ」と記載されていても高周波焼入れに変更することが私の経験上で多いです。

高周波焼入れをする時の注意点

 

 

高周波焼入れに限ったことではないのですが注意点があります。

まず、高周波焼入れをしたい部分にキリ穴やネジ穴があると、その穴の部分から割れ(クラック)が入ることがあります。

あるいは、ピン角のようにシャープエッジが残る部品についても、たまに割れが生じることがあります。

 

割れる理由は、加熱による金属の組織変化・膨張などです。

絶対に割れないように高周波焼入れをして欲しいと熱処理屋にお願いをしても、100%の保証はしてもらえないので注意しましょう。

 

対策としては、高周波焼入れ後に穴加工をするか、設計変更するか、熱処理方法を変えるかしかないと思います。

 

また、製品が複雑な形状になると、高周波焼入れをするために専用コイルが必要になる場合もある。

ただの丸棒なら、らせん状のコイルの中を通せばよいですが、そうはいかないような形状だと目的の形状に合わせた形のコイルを作らないと上手く処理できないです。

無理やり処理をしようとすると、焼き入れが入る部分と焼きがあまい部分が出てきてしまいます。

 

コイルをフリーハンドで製品に近づけて処理する方法もあるのですが、失敗してコイルを製品に触れさせてしまうとスパークを起こして、製品にクレーターのような凹みができてしまいます。

昔、製品にコイルを当てられてスパーク痕をつけられたことがありました。

その時は、結局、製品代の保証を熱処理屋にしてもらったんですけど、一から作り直しになるので金額保証をしてもらっても良いことは何もない・・・

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まとめ

高周波焼入れは表面硬度のみを硬くしたい場合にすごく便利な熱処理です。

真空焼入れよりも表面硬度はHRCが少し高くなるのもメリットの1つです。

 

高周波焼入れ以外には、窒化処理浸炭焼入れなどが表面だけを硬くする熱処理としてありますが、それらについては別記事で紹介していますので参照してください。

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