町工場の売上アップ戦略の1つとして、社内コストをいかに抑えることができるかを模索・実践する方法があります。
かつて1999年に6844億円もの巨額赤字をわずか1年で3311億円の黒字に転換させたカルロス・ゴーンも購買コストを極限にまで落とすことでその成果出している通りです。
2010年に経営破綻したJAL(日本航空)がわずか2年でV字回復をしたのも、京セラの創業者でもある稲盛和夫氏によって徹底的な無駄を省くコストカットを実施した結果。
その後、カルロス・ゴーンにおいては色々と問題があったりもしますが、いずれにしても町工場レベルに落とし込んでコスト削減について考える時間を設けても良いのではないかと思います。
書類たった1枚0.15円さえも無駄にしない、壊れたものはすぐに捨てずに自分で修理してみるといった小さな無駄や節約の積み重ねがJALの再建に大きく貢献したように、あなたの工場でも同じような取り組みをすることで、思わぬ利益効果をもたらしてくれるかもしれません。
稲盛和夫氏のJAL経営再建にかけた思想の真髄は『全員経営』にあり、この精神無くして赤字脱却のための経費削減の遂行は得られなかったと言われています。
簡単に言えば、社員全員が自分の会社のことを真剣に想う気持ちが大事ということです。
実はこれってトヨタ生産方式(TPS)あるいはリーン生産方式の中にもある要素の1つだと言えます。
リーン生産方式については改めて別記事で書くことにして、とりあえず経営改革の一環としてどのような無駄を省くことができるか考えてみよう。
光熱費の節約を考える
- 動かしていない機械の電源を入れっぱなしにしない
- エアコンの温度設定を夏は26-28℃、冬は20-23℃くらいにする
- 室温は一定に保つ(エアコンの on/off を頻繁にしない)
- 的に遮熱(保温)カーテンを使う
- 植物の ”緑のカーテン” を活用する
- 工場の電気をLED水銀灯に切り替える
- ソーラーパネルを設置してみる
- サーキュレーターを使って空気を循環させる
- 契約している電力会社の見直しをしてみる(ハルエネでんき
)
- プロパンガスを使用しているなら、ガス会社の乗り換え検討をしてみる(おススメ➡【ガス屋の窓口】
)
とりわけ、これらの対策のうち最もコストダウン効果が高いとされるのが電力会社の切り替えです。
大手電力会社ではない、新興の新電力会社はどうも信用性に欠ける・・・
「電気の切り替えを検討しませんか?」という営業電話にうんざりしている。
というように、我々、中小零細町工場をカモにしているのでは?と疑ってしまいたくなりますよね。
しかし、工場の規模にもよりますが、新電力の切り替えによって年間数十万円から数百万円ものコストダウンを実現できているところもあると聞きます。
そう思うと「ちょっと検討してみてもいいかもしれないな、もしも高けりゃ断ればいいし」という気持ちにもなりそうです。
注意しておきたいのは、新電力の電気料金の仕組みをちゃんと理解してから契約することです。
電力自由化で劇的に安くなった電気代が、発電材料の不足などにより電気代の市場価格の高騰が思わぬ悲劇をもたらすこともあります。
電気も市場で取引されているため、株価のように乱高下することもあると頭に入れておこう。
新規電力会社への見積依頼など、最初は面倒な手間はありますがコスト削減効果を考えた場合、行動してみる価値はあるのでは?
sponsored linkガソリン代や高速代の節約を考える
ガソリン代の節約として、できるだけ車やバイクを動かさないでガソリンを使わないようにするのが一番ですけど、そういうわけにもいかない。
ならば、ガソリン代が安くなるクレジットカードを利用するとか、楽天カードやドコモのdカードでポイントを稼ぐしかないです。
高速道路を毎月使う場合は、ETCカードを使うことは割引制度を活用するための鉄則。
深夜割引、休日割引、早朝割引など。
おススメは高速情報共同組合のETCカードです(⇒ETCカード申込み)
平日朝夕割引 50%OFF
深夜割引 30%OFF

すごくない?
会社で複数の従業員に営業などでETCカードを渡さないといけない場合でもクレジット機能はついていないので、社員が勝手に使い込むんじゃないかというような余計な心配をしなくてもいい。
それに、ETCマイレージ制度(5万円分利用して5000円が還付される!)もあるし、まだ立ち上げたばかりの新会社でも発行してくれる。
とりわけ事業実績の乏しい会社だと、通常のETCカードは申請してもなかなか通らなかったりする問題点があるが、ここなら大丈夫です。
工具代を節約する
ものづくりには工具が欠かせませんが、それは ”必要なものだから” という理由で節約の方法を考えないというのはもったいない。
例えば、長持ちするが高い工具、あまり長持ちしないが安い工具。
これらのどちらが良いかは、購入するところから廃棄するところまでに費やした時間と使った頻度で、ランニングコストを計算してみないと見えてこないですね。
単純に長持ちするからという理由だけでなく、加工の仕上がりがこの工具じゃないとダメなんだとか仕方がない部分もあるかもしれません。
そうでなければ、ミスミなどで安い工具を割引価格でまとめ買いしておく方が賢い。


一度、工具の見直しなんかもしてみるといいかも
ついでに言うならば、工具の整理は絶対しないとけない。
当たり前だけど、工具は荒加工用、中仕上げ用、仕上げ用、ステンレス用、高硬度用などに細かく分け、なおかつ、使いかけの工具か新品かも分けて置いておく箱を用意しておくと、無駄に工具を買う必要もなくなるね。
こういう工具管理って、意外と経営者の知らないところで工場の現場では疎かになっていたりするもんですから。
作業のマニュアル化を考える
コスト削減の最たるものは、とにかく作業効率を上げることです。
誰がやっても、同じスピードで作業が進むことが理想ですよね。
そのためにはマニュアル化を進めるのが一番です。
この仕事は○○さんしかできないから・・・
というのが最もダメなパターンです。
家電製品の取説のようなものを用意して、誰でもできる仕事に変身させることはできないか?と考えてみよう。
そして、マニュアルを作ってしまうのです。
そのマニュアルの中には、こうすれば早くできるという ”コツ” みたいなものも書いておくと、技術伝承にも一躍を担ってもらうことになるのではないでしょうか。
サプライヤーを見直す
備品の購入や外注からの仕入れを見直すというのは、コストカットの手段の1つです。
カルロス・ゴーンが日産を1年で回復させたのも、購買コストの削減によるものだと言われています。
外注先が多いと自慢する人もいますが、外注先が増えれば増えるほど事務作業も煩雑になります。
サプライヤーはできる限り絞り込める方が、事務コスト削減にもつながると思います。
そもそも、これはここから購入しないといけないのか?という疑問を毎度自分に投げかけるようにすれば見直すきっかけになるに違いない。
消耗品についても、無駄に高いものを買っていたりすることもあります。
工具の見直しと同じですが、どこから買うかをリサーチする時間も作っておくと良いかも。
廃棄する工具を溜めてスクラップに出す
これも町工場なら当たり前のことですが、スクラップの出し方で収入が増えるかもしれません。
言わずもがな、工具はレアメタルなどを多く含んだハイス、あるいは最近の工具は超硬を使ったものが多くなってきているので、ただの鉄くずと混ぜてしまわないように分けておくのが理想ですね。
分別してスクラップに出すだけで、1Kgあたりの買取価格が10倍になるかも!?
sponsored linkコストカットの見つけ方
とにかくコスト削減を目指すなら、自分の会社(工場)をとにかく見渡してみることから始めます。
すると、これはどこから買っているのか?
どれくらいの費用がかかっているのか?
もっと安くて良いものがあるのではないか?
不要なものはないだろうか?
と見えてくるものがあるはずです。
そこには、必ずコストカットできるものが1つは見つかると思います。
その積み重ねが大きな利益につながるはず。