プリハードン鋼とは?←【あらかじめ熱処理した材料】

プリハードン鋼 町工場

部品加工の現場で「プリハードン鋼」という名前を聞いたことがあると思いますが、これは製造メーカーにて、熱処理済みで、ある程度の硬さが調整されて販売される鋼材のことです。

 

金属(合金)にはたくさんの種類があり、メーカー各社が元素比率を変えて合金を作っては、より使いやすい鋼材を開発しています。

その中の1つがプリハードン鋼(一般名称)。

プリハードン鋼材とは、あらかじめ熱処理された材料

メーカー各社が販売しているプリハードン鋼の多くは、機械加工ができる硬さ(45HRC程度以下)に予め熱処理されています。

もともと硬度が入っているので、機械加工後に熱処理する必要も無くそのまま使えるという大きなコストメリットがある。

熱処理コスト削減や納期短縮に重宝されている材料です。

 

実際、手のひらに乗るくらいのサイズであっても、熱処理に1000円、熱処理後の仕上げに2000円かかるとすれば、3000円のコストダウンができちゃうわけです。

それに、熱処理と熱処理後の仕上げ加工にかかる時間も4~5日くらい短縮できるので、納期が厳しいものには最適です。

 

さらに、種類によっては合金添加や熱処理の工夫により、鋼材の中心まで焼きが入っているものもある。

普通の熱処理は表面は硬いが、中心にいくほど焼きが入らないので柔らかい。

つまり、プリハードン鋼なら切削しても硬度のムラが少なくて済むということです。

 

しかもHRC45以下とは言え、焼入れすると硬くて削りにくいものだが、プリハードン鋼の多くは快削元素が添加されていて削り易くなっているのです。

削った感じは、普通のS50Cとかを削っているのと同じです。

 

プリハードン鋼の用途に多いのはプラ型(プラスチック成型用金型)とか鍛造型鋼ですが、それ以外にも調質(熱処理)を省くために、色々なところで使われたりします。

プリハードン鋼を熱処理したら硬くなるのか?←【そうとも言えない】

プリハードン鋼はHRC45以下くらいの硬さを持っているけれども、もっと硬くするために加工後に熱処理しても大丈夫?硬度は上がる?

そんな疑問を持ったりすることもあるでしょう。

 

結論から言うと、加工後に熱処理すると硬度がアップするものもあれば、しないものもある。

(というか、わざわざプリハードン鋼を使ったうえに熱処理しようと思う人は少ないかも)

 

 

熱処理をしても硬度が上がらないプリハードン鋼の代表例と言えるのが、大同特殊鋼のNAK材です。

その理由は、NAK55やNAK80は『時効硬化型』の鋼材だからです。

 

時効硬化は別の呼び方で析出硬化とも言いますが、これは本来低温で析出するはずの金属間化合物(二種類以上の金属によって構成される物質)が、製造工程で焼入れ後に急冷されることで析出する間もなく溶け込まれ、常温になるとゆっくり析出してくる現象を指します。

析出した金属間化合物によって、金属素材が硬くなるのです。

普通に熱処理して硬くするというのとは、また違った方法で硬くしている材料ということになります。

 

プリハードン鋼の表面硬度を硬くしたいのならば、窒化という手段もあります。

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プリハードン鋼材の代用をおススメする例

様々な部品加工図を見ていると、熱処理硬度指定が通常の熱処理硬度よりは低くて、調質硬度よりは高い中途半端な硬度だなと思うものもあります。

 

例えば、S45C(HRC30)とか。

 

S45Cの調質硬度はせいぜいHRC20-23くらいまででしょう。

HRC25は入らないと思います。

なので、焼入れ焼き戻しで硬度を合わせてもらうしかない。

 

それならば、プリハードン鋼を使ったほうが熱処理代も時間も省略できるのでコストが抑えられるしラクです。

図面を見て「あーこの硬度は面倒だなぁ」と思ったら、プリハードン鋼を提案してみよう。

 

 

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