PVDコーティングとCVDコーティングの違いを簡単に説明するよ!

コーティング
Capri23auto / Pixabay

PVDコーティング

CVDコーティング

名前はよく聞くけど、よく分からないという人は多いのではないでしょうか。

 

ここでは、これらの違いについて簡単に説明すると共に、なぜ使い分けをされているのかについてもご紹介します。

そもそもコーティングとは?

コーティングとは母材に超硬よりも硬くて薄い皮膜(3-8μmくらい)密着させることを言い、コーティングによく使われているのはTicとかTiN、TiCNとかあります。

聞いたことありませんか?

これらのコーティングで使用されるのは、チタン(Ti)やクロム(Cr)などで、コーティングすることで、例えば工具や金型なら耐磨耗や硬さの向上によって寿命が伸びるというわけです。

 

じゃぁ、どうやってそれら硬い皮膜を母材に密着させるの?

というところでPVD、CVDという言葉が出てきます。

PVD、CVDって何?

結論から言いますと、これらはコーティングの手法のことです。

母材に硬い皮膜コーティングを作る方法は蒸着という手法を使います。

蒸着とは、コーティングするチタンとかクロムなどの物質を高温にして蒸発させ、目的の母材に吸着させる方法です。

 

この蒸着にはPVDとCVDという大きく2つの方法があって、一番大きな違いは処理温度です。

 

PVD:Physical Vapor deposition

PVDコーティングの処理温度は約400~500℃くらい。

PVDはよく「物理的反応を利用した物理蒸着」という説明をされることがありますが、よく意味がわからないという人もいるでしょう。

 

例えば、TiN(窒化チタン)皮膜をつけたい場合。

PVDだと蒸気化した窒素(N)とチタン(Ti)を400-500℃の真空炉内でくっつけて、蒸気TiNに変化させます。

それをプラズマなどによって、母材に物理的に衝突させるわけです。

 

なんで真空炉なの?

という質問があるかもしれませんね。

答えは単純です。

蒸発させたいチタンなどを気化しやすくするためです。

これは、化学になっちゃいますが、真空近くまで減圧すると気化しやすいんです。

 

物理的に母材にぶつけられたコーティング物質はその後、冷却され固まってコーティングが完成するのです。

 

ということで、PVDのイメージとしては、鍋でお湯を沸かして出てきた蒸気が窓ガラスに当たって濡れるような感じですね。

なので、物理気相蒸着、物理気相成長、物理蒸着などと呼ばれるんです。

 

CVD:Chemical Vapor deposition

一方、CVDコーティングは処理温度が700~1100℃くらい。

PVDが500℃くらいだったのに対してかなり高温です。

こちらは化学気相蒸着、化学気相成長、化学蒸着などと呼ばれているのですが、コーティング物質を気化させるのは同じです。

 

違うのは、母材をヒーターによって加熱し、そこに気化した複数のコーティング素材を接触させると、それらコーティング素材は熱せられた母材の上で化学反応が起きてコーティング皮膜ができるという仕組みです。

 

PVDコーティングとCVDコーティングの使い分け

以上のように、PVDコーティング、CVDコーティングはそれぞれ処理の手法が異なります。

それぞれにはメリット・デメリットがあるのですが、よく挙げられる点について紹介します。

 

まず、同じ種類のコーティングであれば、PVDであってもCVDであっても硬度は同じですが、母材とコーティング膜の密着度に差があり、より密着度が高いのはCVDです。

また、CVDはPVDよりも均一にコーティングされる利点があります。

 

しかし、CVDは処理温度が1000℃近くという高温になるため、金属の変寸リスクが伴いますので、鋼の場合は再度熱処理を行う必要もあるでしょう。

その点、PVDならば金型や工具の焼き戻し温度以下でコーティング可能なので変寸の心配はほとんどありません。

 

細かい点で使い分けをしていくと、どちらが良いか議論されることもありますが、それぞれのおおまかなメリットを認識した上で部品作りをしていけたらよいですね。


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まとめ

PVDとCVDの簡単な違いを説明しましたが、ここでは触れていない技術の進化があるようです。

コーティングの良し悪しは、メーカーによっても異なりますが、まずは基本から知っておくといいですね。

 

たまに、私もコーティングのことで悩まされる・・・

有限会社平野製作所

 

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コメント

  1. 宮崎栄治 より:

    はじめまして。
    PVDとCVDの違いがわかりやすくとても参考になりました。
    CVDの変寸についてより詳しく教えて頂きたくコメントさせて頂きました。
    職業柄いろいろと調べているのですが、金型のCVD処理で処理温度が高いゆえ再熱処理が必要で、その時の熱による膨張、収縮で変寸するまでは理解できたのですが、単純にCVD後に熱処理するのであればCVD前の熱処理は必要ないと思うのですが「CVD処理前の熱処理で高温焼戻しすると変寸が小さくなる」という内容を目にしたのですがいまいちよくわかりません。なぜCVD前に熱処理すると変寸が小さくなるのか?なぜ高温戻しが良いのか?なぜ低温戻しではダメなのか?
    マニアックな質問ですいません。
    宜しくお願い申し上げます。

    • Akimaru より:

      コメント有難うございます。

      手短に返答するならば、コーティングの後に熱処理するなら、コーティング前の熱処理は不要じゃないか?という疑問については、CVDで高温下にさらされることを意識すれば解決します。
      そもそも、熱処理とCVDの温度管理が全く違います。
      熱処理では、高温で焼入れしたあとに急速に温度を下げて焼き戻しすることで、マルテンサイト化をします。
      しかも、温度保持時間の管理もしっかりとやらないと、本来の熱処理を成しません。
      なのに、焼入れ前にCVDでほ高温化にさらしてしまうと、その後に焼入れをしようとすると。。。

      また、CVD前に低温戻しか高温戻しかによって歪に差が出るという話については、そもそも低温(200℃くらい)まで温度を下げて焼き戻しをすると、CVD時の温度と差がありすぎるのが1つ。
      そして、高温戻しすると変寸の元凶である残留オーステナイトがマルテンサイト化してくれるというのが理由だと思います。

      あと、もう1つは、焼き戻し温度が高いほど内部応力が緩和除去されますので、CVDの前の熱処理では高温戻しが良いのです。
      そもそも、CVDの前には熱処理後に切削や研磨といった加工応力を与える工程があることを忘れてはいけません。
      案外知らないかもしれませんが、とりわけ研磨は砥石を鋼材に擦りつけるために、切削よりも大きな加工応力を与えてしまいます。

      超硬にボラゾンを当てると、超硬が割れやすくなるのはこのためです。

      そういった加工応力も考えると、最初に高温戻しで出来るだけ内部応力を緩和しておく方がベストですね。

      という感じです。

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