振動で応力除去が主流?焼鈍し(やきなまし)に頼らない方法

町工場
geralt / Pixabay

金属の加工や溶接では、残留応力を抜きに物事を考えられません。

鋼材屋から購入する金属ブロック素材や丸材もその製造工程によって、物理的に力を加えられて形が色々と変えられます。

その過程で、金属内部には形を保つために応力が残ります。

 

一見すると四角に整ったブロックも、内部では残留応力が釣り合った状態になっているだけなので、フライス加工などによって金属を切削すると、切削熱による金属膨張が一部分に起こることで、内部応力との不均衡が生じて歪みが出ます。

 

金属を溶接すると歪むのも、部分的に熱が加わり、金属膨張による内部応力が不均衡になるためです。

よく溶接でクラック(亀裂)が入ってしまうのも、内部応力の変化により金属がお互いに違う方向へ引っ張られることで起こっているのです。

 

残留応力の影響を考えることはとても重要です。

部品によっては、残留応力が原因で使用中に破損したりすることもあるのです。

 

 

一般的には、こうした残留応力は応力除去焼きなましをすることで、不要な残留応力を取り除くことがほとんどです。

しかし、焼きなましをするということは、熱処理業者へのコスト、焼きなまし後に再び形を整えるために加工をしないとけないなど、時間的にもコスト的にも割高なのです。

なので、加工屋はみんな応力除去を面倒くさく思っているのかもしれません。

 

 

一方で、学術的には応力除去の方法は熱処理だけではありません。

物体を振動させることによっても内部残留応力は除去できます。


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中国では振動による残留応力の除去が主流?

先日、知り合いの営業マンがロストワックスの業者に行った時、ちらっと話を聞いたそうです。

中国では残留応力を振動で除去するのが主流らしいよと。

 

振動で応力除去とか嘘やん!

とか言っていましたが、応力除去をするのは焼きなましが一般的で当たり前の方法だという思い込みがあったわけで、”応力”とはという概念を考えれば、振動も応力除去の方法の1つとして何もおかしいことではないんですよね。

 

ただ、どうやら中国には、長い棒などの応力を取るための専用の機械があるみたいで、残留応力が無くなったら自動的に機械は振動を止まるらしいです。

 

確かに、非熱処理の方法として振動による残留応力除去が活用されている装置は日本にも実際にあります。

例えば、溶接機に振動装置を融合させたものなどもある。

イプロスのサイトで「残留応力 振動」と検索すると発見できます。

 

でも、長い棒を振動させる装置らしきものは見当たらないですね。

もしかしたら日本にはない、独自の中華マシーンがあるのかもしれません。

 

振動以外に利用されているショットピーニング

応力除去ではありませんが、金属表面に0.2mmほどの細かい鋼球を高速でぶつけることで、表層部に薄い応力膜を作ることで、割れとか歪みを防止する方法があります。

それがショットピーニング。

 

ショットピーニングでは鋼球がぶつけられることで、金属表面に細かい凸凹ができます。

これによって、新たに表面上に応力が発生します。

この新たに発生した応力の膜が内部応力による歪みなどを防止する役割を果たします。

 

つまり、「目には目を歯には歯を」のような考え方とでも言えるかもしれません。


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シンバルを寝かすのも応力?

日本で唯一のシンバルメーカー「小出シンバル」をご存知でしょうか。

町工場でありながら、音楽のプロも御用達だとか。

 

シンバルの製造においては、金属素材をハンマーで叩いて伸ばしていくことで出来上がるそうですが、どうも、叩き上げて仕上がったばかりのシンバルは本来の音色を出さないみたいです。

 

シンバルがシンバルとして完成するためには、寝かす工程が必要という。

寝かすことで良い音色が出るのだそうだ。

 

寝かすとは、出来上がったシンバルを何もせずにそのまま、倉庫で置いておくこと。

こうすることで、叩き上げられた応力によって散らばった金属原子が居心地のよいポジションに戻るそうです。

これも応力の均衡化ですかね。

 

金属の残留応力のこと考えてみよう。

 


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