タフトライド処理とは?窒化処理、イソナイト処理との違い

Facebook にシェア
Pocket

仕事で部品加工の図面を見ていると、表面処理の指示に「タフトライド処理」という文字を見つけることがよくあるのではないでしょうか。

まだまだ部品加工の経験が浅かったり、これまで表面処理のことにあまり気にかけてなかったりしてきた人にとっては、どんな処理なのかが分からないかもしれません。

でも、部品加工の世界ではメジャーな表面処理の1つですからここで覚えておくとよい。

その知識は決して無駄にはなりませんので。


sponsored link

タフトライド処理とは

熱処理による表面硬化度を上げるための処理で窒化処理(チッカ処理)に分類されます。

窒化処理とは高温化で鋼の表面から窒素を染み込ませて、金属元素と窒素を結合させることで金属表面をカチカチに硬くする処理のことです。

通常の浸炭焼入れを含む焼入れでは窒化処理とは異なり、鋼の組織(構造)変化による硬化処理になりますので、焼入れによる歪みや変形が伴いやすい。

具体的に、鉄(Fe)と炭素(C)を含む合金では723℃以上の高温下でオーステナイトと呼ばれる常温では存在しない安定した構造をとります。

そこから急冷するとマルテンサイトと呼ばれる硬くて脆い組織に変わり、これが通常の焼入れと呼ばれる処理なのです。

一方、窒化処理では鋼がオーステナイト化しない500~610℃程度の低温で、表面に窒素を浸透させるので、処理による素材変形量が少ないのが特徴です。

タフトライドは塩浴軟窒化処理法のひとつ

このように、タフトライド処理とは窒化処理の1つですが、窒化処理にはいくつかの処理方法があります。

  • 塩浴軟窒化
  • 塩浴窒化
  • ガス窒素
  • ガス軟窒化
  • プラズマ窒化

このうち、タフトライド処理と呼ばれているのは塩浴軟窒化のことを指します。

窒化と軟窒化の違いは軟窒化の方が処理時間が短く(1-3時間程度)、硬化層が8-20μmと薄いです。
一方、窒化処理では20時間以上の処理時間がかかる反面、0.1-0.3mmと厚い硬化層が得られるのが特徴で、表面硬さも窒化処理の方が硬くなります。
クロムやモリブデン、アルミなどを含む鋼材は窒化処理をし、その他の炭素鋼などは軟窒化することが多いようです。

タフトライド処理は通常のガス窒化と比べてより短時間で処理ができること、処理温度が低いため変形が少ないことが利点として挙げられます。

主な目的は耐摩耗性・耐かじり性の向上です。

ガス軟窒化と塩浴軟窒化(タフトライド処理)は処理方法が違うだけで、全く類似の処理だと思ってよいでしょう。

塩浴軟窒化の場合、塩浴に有害なシアンが含まれているため公害防止対策に苦労します。

ガス軟窒化は無害ですので、図面にタフトライド処理と書かれていても、ガス軟窒化で代替することはよくあります。

タフトライド処理とイソナイト処理の違いは?

イソナイト処理というのは、日本のメーカーの商標登録名であって、中身はタフトライド処理と全く同じです。

タフトライドという名前はドイツのデグザ社が持つ特許・商標権の名前であって、一時期は日本のメーカーが「タフトライド」という名前を使っていいよと許可をもらっていたのですが、2007年に名称使用契約が決裂したのをきっかけに、新たに日本で「イソナイト」という商標登録がされただけです。

なので、図面に「タフトライド処理」と書かれていようが、「イソナイト処理」と書かれていようがやることは同じ塩浴軟窒化処理です。


sponsored link

タフトライド処理(塩浴軟窒化処理)か焼入れのどちらを選ぶか?

タフトライド処理も焼入れ処理も表面硬度を上げるという目的はほぼ同じです。

ただし、先ほどにも書いた通り硬化の仕組みが違うので使い分けが必要になります。

まず、処理温度の点から言及すると歪みをとにかく抑えたいのであればタフトライド処理(窒化処理)が好ましいです。

高周波焼入れや浸炭焼入れなどを含む焼入れでは、どうしても変形が起こってしまいますので精密な寸法精度を要するものは必ず焼入れ後に仕上げ工程を入れないといけません。

また、焼入れでは「焼き戻し」という工程がありますが、実際に使う部品がこの焼き戻し温度よりも高温下におかれる場合は、使用中に焼入れが鈍ってしまう(マルテンサイト構造が崩れる)ので硬度が下がり適しません。

その点、タフトライド処理(窒化)はマルテンサイトによる硬化ではなく、金属組成の窒化物の形成による硬化なので500℃前後の高温にも耐えうるという利点があります。

ただ、タフトライド処理(窒化)は硬化層のが薄いというデメリットがあります。

どんなに頑張っても0.1-0.3mmが限界です。

焼入れでは1mmくらいの硬化層を確保できることと比べると、高耐衝撃性などが必要な部品にはタフトライド処理は適さないということになります。

もしも、高硬度、高耐衝撃性が必要であるならば、焼入れ後にさらに窒化処理をしたり、マルテンサイト系のステンレス(SUS304など)に窒化処理をするとよい。

私もよくステンレスではないが、SCM材などのシャフト(軸)を製作する時に表面を高周波焼入れした後に研磨仕上げし、さらに最後にタフトライド処理やガス軟窒化処理をすることがあります。

まとめ

結局、タフトライド(イソナイト)は塩浴軟窒化処理のことであると覚えておくとよい。

耐磨耗などの目的で表面硬度を高くしたい時に行う処理であり、低温での処理で済むために処理後の変形も少ないので加工が終わった最後の最後に処理しやすい。

ただし、塩浴は公害対策が難しいために対応している業者は限られています。

そのため、代替処理としてガス軟窒化処理を選択するとよい。


sponsored link

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でフォローしよう!

Facebook にシェア
Pocket

関連記事


スポンサードリンク




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする