OCD(強迫性障害)とその対処法「エクスポージャー」

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OCD(強迫性障害)とは、家を出る時に何度も鍵をかけたか確認しに戻ってしまったり、公衆トイレなどのドアノブに触れると汚れてしまうと感じて不安になって何度も手洗いをしてしまうというような症状のこと。

一種の不安障害とみなされ、以前は強迫神経症と呼ばれていました。

人口の2~3%くらいの人が有病していると推定されています。

とにかく、細かいことが気になって仕方がないという点からすれば、多くの人が何かしらの強迫観念にとらわれることがあるのではないかと思うが、OCDと診断される人はその度合いが大きいというだけなのです。

こういった、精神的な病は病院で診察を受けたところで寛解することは難しいとされることが多い。個人的には外科や内科以上に医師の手腕によるところが大きい医療分野でもあると思っている。

では、OCDはどのように治療されるのでしょうか。

ここでは、その方法について行動分析の視点から紹介します。


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OCDの治療法であるエクスポージャーとは

まず本人、あるいは家族がOCD(強迫性障害)であると自覚しているかどうか、どんな症状が出ているかどうかはあまり関係ない。

「強迫観念が起こる刺激」があるかどうかです。

例えば、トイレのドアノブを触れない(触らないといけない)という刺激があれば、そこから「手を洗わないと自分が汚れてしまう」という強迫観念が発生し、何度も手洗いをしてしまったり、長時間手洗いをしてしまうという強迫行動を起こす。

強迫行動を起こせば一時的には不安が和らぐのだが、しばらくすると再び強迫行動を止めたことに対して不安が沸き起こるので、また「手洗いをしなければ」という強迫観念に襲われるという悪循環が起こる。

これがOCDだ。

OCDの治療には本人の心の持ちようというようなメンタル的な曖昧な要素は一切いらない。

それが、エクスポージャーという技法です。

エクスポージャーとは日本語で曝露(ばくろ)と表記し、いわゆる何かにさらすという意味です。

つまり、強迫観念を引き起こす要素にあえて触れ続けさせる(刺激を与え続ける)という方法で刺激に慣れさせようという方法。

多くは、不安要素を取り除くことで症状の緩和を目指したりするかもしれないが、OCDの場合は逆の方法が効果的なのです。

心理カウンセラーがすることとは真逆のことなので、戸惑う人も多いかもしれないが確かに効果があると実証されている技法です。

大きな刺激を与え続けられると人は慣れる

人は大きな刺激を受けたとしても、継続的に与え続けられると感覚が鈍る生き物です。

騒音や臭い、味などの感覚も同じ。

これは、脳が刺激を自動的にシャットアウトしているということです。

OCDを治療するためには、強迫観念の引き金となる事象に曝露させて慣れさせることが効果的なのだが、単純に曝露するだけではいけない。

ここが難しいところであるが行動分析学の視点から説明されていることには、以下の通りです。

行動の直前と直後にどんな事象があるかを知ることが重要

私たちの能動的な活動にはその前後に行動を起こす前の事象と起こした後の事象が必ずある。

例えば、手を洗うという行動の前後にはそれぞれの人にそれぞれの事象があるはずです。

  1. 手が汚れている → 手を洗う → 手が汚れていない
  2. 手が汚れているかもしれない → 手を洗う → 手が汚れていない

1の場合は実際に手が汚れているから手を洗うという行動を起こした結果、実際に手が綺麗になったわけですが、2の場合は手が汚れているかどうかはわからないけれど、汚れている気がするから手を洗うという行動を起こした結果、手が綺麗になった気がするということです。

同じ「手を洗う」という行動ですが、その前後にある事象は異なります。

目に見えることかどうかではないことに注意してほしいと先に言っておくが、私たちの能動的な活動は自分にとってメリットのある結果を得たいという目的のためにあります。

何の見返りもいらないという献身的な活動にさえ、自分自身の満足感を得るためというような何かしらのメリットがあるはずです。

それが物理的であれ抽象的であれ関係ありません。

あるいは、事前に嫌なことやものがあり、それを消去するという行動も結果として自分に嫌なことが無くなったというメリットを生みます。

いずれの行動においても前後の事象をもってして完結します。


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OCDの治療法「エクスポージャー」の活用

OCD(強迫性障害)の行動の前後にも必ず事象がある。

「手を洗う」という強迫観念の場合だと、先ほど提示した

  1. 手が汚れている → 手を洗う → 手が汚れていない
  2. 手が汚れているかもしれない → 手を洗う → 手が汚れていない

が考えられます。

多くは、実際に手が目に見えて汚れているわけではないけれども、手が汚れているような気がするので「手を洗わないと」という強迫観念が生まれています。

なので、手を洗えば汚れがなくなったと気持ちが落ち着くのです。

しかし、実態として見れば「手が汚れていない」→「手が汚れていない」と行動の前後で変化はありません。

変化しているのは、気持ちだけです。

だから一向に改善させることができないのです。

そこで、エクスポージャー(刺激に慣れさせる)を活用するわけです。

具体的には、強迫観念を引き起こす刺激にあえて曝露させることで、手を洗うという行動の前の事象を「手が汚れているかもしれない」から「手が汚れている」に変える。

そうすれば、手を洗う行動の後の事象は「手が汚れていない」で変わりませんが、実態として本当に手から汚れが取れたということに近い状態になります。

一見するとそんなに大差がないようにも思えますが、「手が汚れるという嫌なことを起こさないように手を洗う」→「手が汚れたから洗う」に変化したということは、目に見えない不安を取り除くか、目に見える不安を取り除くかという大きな違いを生みだしているのです。

さらに、もう1つ「手を洗う」という行動は反復した強迫行動であったので、これをハンカチやウェットティッシュで拭くというような行動に置き換えることで、強迫行動という反応を阻止するように仕向けることもできる。

このように、刺激に実際に触れさせて、手の汚れを拭うという行動を反復させることで、やがて刺激は鈍化してOCDの症状が緩和されていく。

これがエクスポージャーなのです。

OCD(強迫性障害)やその他の診療内科に関する病気は治療が非常に難しいとされていますが、行動分析学から見れば人間の行動の前後に注目することで解決の糸口が見えることがあります。

何故、そのような行動を起こすのか。

そのような行動を起こせば、起こした本人にどんなメリットがあるのか。

これをよく観察して考えることが重要なんですね。

人は損得だけで動いていないという意見もあるが、一方で何かしらのメリットなしに人は能動的に動かないという見かたもあるということです。


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