エンドミルによるダウンカットとアップカットの使い分け

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個人の趣味で部品加工をしてみようと思い、卓上ミニフライス盤を購入される方もいらっしゃると思いますが、フライス加工で必ず必要になる工具がエンドミルですね。

エンドミルの購入でどれを選べばよいかわからない人向けに超基本は前回記事に書きました。

フライス加工を専門にしている弊社からすれば卓上フライス盤は馬力も小さいのでおもちゃのようにも思えますが、個人の趣味レベルであれば十分使えるものですね。

これで手に負えないなぁというレベルの加工だけを、町工場に頼んでみると結果的にはコストが抑えられるかもしれません。

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今回は個人的な趣味の一環で、実際にエンドミルを購入してから卓上ミニフライス盤などで使用する時に注意したいことを書きます。

刃物の回転数や送り速度も大事ですが、エンドミルの切削方向も意外と重要なんです。

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ダウンカットとアップカット(アッパーカット)

フライス加工って何か、エンドミルとは何かを簡単に知っている人なら、エンドミルの切削方向の話も知っているかもしれませんね。

エンドミルは刃物であり、通常は右回転(時計回り)させながら非切削物に当てます。

この時、非切削物に対して刃物を左側で切削するか(ダウンカット)、右側で切削するか(アップカット)に別れます。

言葉で表現すると分かりにくいので、下の絵を見てください。

まずは、ダウンカットから。

非切削物に対してエンドミルが左側を通ります。

エンドミルは右回転(赤矢印)していますから、非切削物の切りカス(切粉)を内側に巻き込みながら削るイメージですね。

刃物は最初にまだ削っていない部分に当たり、内側に切り下げていく方法。

一方でアップカットは非切削物に対して右側をエンドミルが通りますので、このようになります。

切粉を外側に排出しながら切るイメージです。

刃物がすでに切削した面に当たり、すくい上げるように削ります。

このダウンカットとアップカットはどのエンドミルでも共通して使い分けをするようになります。

また、エンドミルだけでなく溝切り加工に使用するサイドカッター、Tスロッターという工具でも同じようにダウンで切るか、アップで切るかが重要になることがあるので後述します。

ダウンカット・アップカットのメリットとデメリット

エンドミルの加工でダウンカットとアップカットの違いが分かったところで、それぞれの使い分けができないと意味がありません。

フライス加工の現場では、どちらの方法で加工するかを間違えると加工を失敗してしまうことがよくありますので注意しておきたいところです。

なので、それぞれのメリットとデメリットを確認してみよう。

多くのフライス加工の現場では圧倒的にアップカットよりもダウンカットで加工することの方が多いです。

何故か。

理由はいくつかあります。

1つは刃物の寿命が長くなるからです。

アップカットを多用すると、どうしても工具寿命が短くなってしまいます。

刃物にかかる負荷が大きくなるのです。

その理由は切り込み時に刃物にかかる負荷の問題が大きいです。

刃物は回転しながら前に進みますが、最初に非切削物に刃物が当たる面がアップカットの場合は曲線面になり食いつきが悪いのです。

刃物が滑るというイメージ。

なので、摩擦熱が大きくなってしまい磨耗が激しいわけです。

そのため、ビビりと言われる刃物の振動が起こり、加工面が波打ったようになってしまうこともあります。

ただし、アップカットのメリットはビビリがでなければ光沢面が出やすいということ。

(非切削物の種類によっては光沢がでないものもあります)

さらに、切粉を外側に排出しながら削るので、切粉の巻き込みによる刃物の折れの心配が少ないです。

一方で、ダウンカットの場合は切削面に光沢はほとんど出ませんが、食い込みが良いのでビビリも少なく刃物の磨耗が軽減されます。

ただし、ダウンカットをする場合の注意点があります。

機械の剛性が低い場合はダウンカットで荒削りしてはいけない

ダウンカットは刃物の磨耗も少なく、工具寿命も長くなるので大きいメリットがあるのですが、使用する工作機械によってはダウンカットではなくアップカットで加工しないといけないことがあります。

機械の剛性がポイントであり、ダウンカットは切り始めの刃物の食いつきがよいのですが切削抵抗(衝撃)が大きくなります。

なので、機械の剛性が低かったり、汎用と呼ばれる機械の場合は俗に「持っていかれる」と表現する現象が起きてしまいます。

最近はNC制御された(コンピューター制御)された機械を多用する会社がほとんどなので、意外と知らない人は多いです。

汎用のフライス盤のようにコンピューターで動きが制御されていないものは、基本的にハンドルを回すことで機械に組み込まれたネジの回転が起こり、それによってテーブルを左右前後に動かします。

なので、刃物が非切削物に当たった時の衝撃や切削中の抵抗がハンドルの回転の重さに伝わってきます。

切削抵抗が大きくなれば、ハンドルを回すのが重くなりますし、逆に切削抵抗が小さくなればハンドルは軽くなります。

ここで、先ほどの「持っていかれる」という表現が意味するのは、ハンドルが持っていかれるということです。

ダウンカットの場合、エンドミルの刃が非切削物をかき込みながら前に進むので、刃物を非切削物に当てると自動的に刃物は前へ進もうという力が働きます。

なので、ハンドルがググッと切削方向に勝手に回されてしまうのです。

つまり、ダウンカットで削る場合は切削方向へハンドルをブレーキをかけながら回さないといけないのです。

これが非常に難しい。

場合によっては、一気に削りすぎて刃物を破損させたり加工物を飛ばしてしまったりすることもあるのです。

この理由から、できれば卓上フライス盤や汎用フライス盤では、切削抵抗が大きくなる荒削りの時はアップカットで削る方がベストなのです。

アップカットならすくい上げるように切削するので、「持っていかれる」という現象が起きませんから。

アップカットで荒削りをする時は、仕上げシロを 1mm 以上残そう

汎用フライス盤でアップカットによる荒削りをする場合、必ず仕上げシロとして最低でも 1mm 以上は残しておかなければなりません。

アップカットはどうしても食いつきが悪いので、刃物が非切削面に吸い込まれるように食いついていきます。

つまり、機械値よりも必ずと言ってよいほど削りすぎてしまいます。

1mm 以下の切削量(仕上げ加工)の場合は問題ありませんが、1mm を超える切削量の場合は必ず仕上げシロを十分確保しておいてください。

汎用機での手順としては、荒削り用のエンドミルで仕上げシロ2mmを残してアップカット

工具はそのままで、仕上げシロ 0.1 ~ 0.5mm を残してダウンカット

仕上げ用のエンドミルで残りを仕上げるというのが一例ですね。

NCフライスやマシニングセンターなど、コンピューター制御された機械の場合は、最初から仕上げシロ 0.1 ~ 0.5 mm を残してダウンカットで荒削りしても問題ありません。

ダウンカットする時の切削カスの巻き込みに注意する

エンドミルやサイドカッター、Tスロッターでは必ずダウンカットによる工具破損が懸念されます。

特に細い溝を切るときには、切りカスの逃げ口がないので工具に巻き込まれてしまうのです。

切削中の工具に切りカスが巻き込まれるとどうなるでしょう?

そうです。

余計な切削抵抗が生まれ、刃物が折れやすくなるのです。

エンドミルで加工する時にはさほど問題にはならないことも多いのですが、とりわけサイドカッターやTスロッターは非切削物の横側を切りますので、切りカスが下に落ちにくく詰まりやすくなります。

従って、サイドカッターやTスロッターで加工する時の鉄則はアップカットするということになります。

以上がエンドミルを使うときに注意するダウンカットとアップカットの使い分けになります。

まぁ、論より証拠で実際に自分でやってみれば、早い話が経験として身につくということです。

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