私の金属部品加工相談を受けるスタンス

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日本の産業の中でも大多数を誇る製造業。

その土台となる町工場は同業者他社との差別化に苦しむところが多い。

どこでもできる仕事は安さで勝負するか、単納期で勝負するか、強力なコネを持っていないと引っ張り切れません。

今や競合他社は国内だけでなく、海外も視野に入れておかなければ「あぐらをかいた」状態では、近いうちに崩壊するでしょう。

他社と自社を差別化するという課題は常に付きまといます。

価格で勝負するためには、機械の導入数を増やし自動で加工する仕事をバンバンこなす方法もある。

特殊な難しい加工方法を考え出して、自社のオリジナリティを高める方法もある。

あるいは、個人から法人まで小さな要望や相談に「金にならない時間」を割きつつも、次なる展開を模索することも一つの手だと思う。

私は現在、様々な相談案件を受けることが多くなった。

通常業務でこなす部品加工とは、一線を画するような異ジャンルともとれるようなものもある。

同業他社の知人等に相談したところで「それはウチらの仕事じゃないからやめときなよ」と度々言われるのだが、私は懲りずに全力で取り組んでいる。

もちろん、ご要望に沿えないことも多々あるが、今ある弊社の形態が少しでも変化すれば面白い未来が開けるのではないかと望みを持ちながら意地になっている部分もあるからだ。

でも、いつかこの芽が開花することを期待しながらやるだけです。

さて、前置きが長くなったが今回も部品加工依頼の例を紹介してみる。

普段、弊社ではあまりやらないタイプの加工です。

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真ちゅう製のパイプ部品の依頼

いきなり完成品の写真を載せたが、これは真ちゅう製のパイプ部品です。

長さは100mm程度で、径は25mmのパイプ。

肉厚は1.5mmで片側のみ口が開いています。

これの材料は下のようなもの。

写真の色合いが少し悪いですが、元は真ちゅうパイプと、真ちゅうの短い棒から作ります。

作り方は簡単。

真ちゅうの短い棒の外径をパイプの内径にはまるように削り、叩き込むだけ。

難しい点は、はめ合いですね。

パイプの中に入れた時に、スコッと滑り落ちてしまうといけませんからパイプと中に入れる棒の径寸法を0.01mmのレベルで調整します。

そのため、まずはパイプの内径を測定。

ノギスでおおよそ22mmと分かった後に、マイクロシリンダーで細かく測定すると21.98mmでした。

なので、中にはめる真ちゅう棒の径は21.97~21.98mmを狙って加工します。

これが21.95mmとかになってしまうと、スコスコになってかち込むことができません。

一方で22mmに仕上げると、パイプの内径の方が小さいので入らないかもしれません。

はめ合いって非常に重要。

実際に、フライスの機械で加工したものがこちら。

丸棒の端を掴んで必要な長さだけ21.97mmの径に加工しました。

中心はドリル(キリ)で4mmの穴を貫通させています。

これを、真ちゅうパイプに差し込みます。

この状態では、手で押しても入りません。

何故なら、パイプの内径が21.98mmで、そこに押し込もうとしている丸棒の径が21.97mmですから。

おおよそ、人の手の力でスコスコと動かせるはめ合いは0.03~0.05mmくらいのギャップがある時です。

それ以上だと、スッカスカでガタガタです。

それ以下だと、手でははめ込めません。

とりあえず、これを真ちゅうを傷つけないように樹脂ハンマーで叩きこみます。

カンカンと何回も結構力強く打ち込みます。

すると、底まで入る。

こうなったら、パイプから丸棒は手で引っ張っても抜けない。

どんなに力一杯引っ張っても無理です。

あとは、パイプの先から出っ張っている部分を削ればOK。

削るのはエンドミルで。

最後に、バリをペーパーなどで取り除けばきれいになります。

これで完成。

手で持って使用するらしいので、バリはないように注意しないといけない。

怪我するといけないから。

専門じゃない加工をやるかやらないか

弊社の周辺にある加工屋は、たいていこの手の仕事は受けない。

面倒くさがってやらないのだ。

今回の案件も、念のため最初は協力会社に相談してみたが「無理だよ」の一言でおわり。

というのも、一般の素人からすれば「鉄を削っているなら、コレも削れるでしょ?」的な感覚をもってしまうのだが、実は部品加工屋の仕事はある程度ルール化された加工手順というものがあるのです。

そのルール、順番にやれば完成形に到達できる部品は取っ掛かり易いのだが、そのルールから少しはずれたイレギュラーな仕事は敬遠する傾向にある。

結局は、加工方法の選定やら何やらで時間を割かれるのをみんな嫌うのだ。

これは賃加工屋の宿命かもしれないが、賃加工屋は一人頭1時間に1台の機械でどれくらいの部品加工がさばけるかが大事になってくるから、あーだこーだと考える時間を無駄な時間とみなしてしまいます。

いかに、沢山の部品加工をこなすか。

たとえ、量産であろうとも単品加工屋であろうとも、そこは同じです。

したがって、スポットの安い加工や個人依頼のように高単価が望めない上に試行錯誤しないといけない仕事はあまり手を出したがらないのです。

実のところ、個人依頼の半分以上は ”やらしい” 難解な仕事の割りに超低価格を望まれるので苦労するところは多い。

逆に、決まった枠内にはまらないような個人依頼やアイデア商品開発案件ばかりを取り扱う会社もありそうだが、実際は少ないと思う。

採算がやはり合わないのかもしれません。

今回の真ちゅうの加工もフライスじゃなくて旋盤で加工すれば早いのかもしれませんが、どこもやらないです。

少なくとも、弊社の周りではね。

やればできるのに。

私の場合はこういう一つ一つの案件の相談を受けた時には、通常の業務の合間に頭の中でシュミレーションします。

加工方法をどうするか、あるいは外注先としてどこに聞けばよいかなど。

そして、そうした案件の一部は処理した後にブログ等で紹介することもある。

これは、別の顧客を呼び込むことが目的です。

その先に、いつか大きなチャンスとなる案件に巡り合えるかもしれませんし、今、抱えている案件が大きく成長するかもしれません。

こうした活動は正直儲からないので、ボランティアの要素は欠かせなくなりますが視野は広がる可能性があると思うのです。

その中で、町工場として生きる道がまた新しく見えるかもしれません。

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