部品加工で最初に理解できないと困ることは、図面の読解です。
図面が見れないと、部品加工はできません。
加工依頼をする場合も、加工者がわかるように図面をかいて提示しないと、思っている形が伝わりませんし、わかりにくい図面を渡すと返事すらもらえないかもしれないです。
図面の読み方といっても、細かい加工指示を1つ1つ取り上げれば結構な量になります。
初心者さんでもわかりやすい書籍はいくつかありますので、どれか1冊を買って持っておくことをおすすめします。
今回は図面の基本的な書き方について紹介しようと思います。
図面の書きかたの基本はサイコロの展開図
図面って聞くとなんだか難しそうだしなぁと後ずさりしそうですが、実際に”こういう物”が欲しいんですっていう意思表示がザックリとできればOKなんですね。
そこに細かい指示が入っていくわけです。
基本中の基本は、寸法うんぬんの前に形がわかることです。
点線と実践を間違えて書いているために、出来上がったものが本来作るべきものとは違うものが出来上がったというトラブルは結構あります。
ちょっとの違いです。
図面の書き方の基本的に間違ってはいけないポイントは展開方法です。
三角法、一角法などの書き方があるが、概ねはここで紹介する三角法で書くことが多いと思う。
それでは、実際にサイコロの図面と展開図を比較してみます。
まずは、サイコロの展開図
小学生の頃に学校で学んだような気がしませんか?
間違った展開をしているのはどれでしょう?みたいな問題がありましたね。
大事なことは、どの面を上にして見ているのか?ということです!
上側の絵は「アイソメ」という呼称で呼ばれる見方で、この場合だと、2のマスを上にして見ていることになります。
なので、下側に描いている展開図も2のマスを中心にしているのです。
では、これを私たち町工場の人間が毎日見ている図面へと変換してみましょう。
繋がって展開されていた面がバラバラになりましたね。
しかも、3面だけしか描かれていません。
でも、これがいつもの図面の形なんです。
共通していることは、2のマスを上にして見ているということ。
もちろん、全ての6面を展開図のように描いても問題ありませんが、実際に作りたいものの図面を自分で描いてみると、こっち側の絵はいらないなぁというのが解ってきます。
※もしも、本当にサイコロを作る場合は6面全てを描いた図面を用意しなければ、どこの面にいくつの目の面がくるかわかりませんけどね。
実際には寸法線の記入があるので、小学校で習ったような展開図にはしないという理由もあります。
捕捉)寸法の数字の単位は全て”ミリ”
上にの絵でちょこっと寸法を記入しましたが、数字が30.00となっています。
これは30ミリであって、30センチでも30メートルでもありません。
図面に書き入れる寸法の単位は全てミリ単位であると覚えておきましょう。
sponsored link図面を描くときのポイント
サイコロの展開図を思い出すようにと言いましたが、作りたい物を上から見た絵、正面から見た絵、右横から見た絵の3つ(場合によっては2つ)を描けばいいのです。
例えば、個人が提示してほしい最低限、加工上必要な情報が記入された図面の例というのはこんな感じでしょうか。
あれ?
正面から見た絵が描いてないじゃないか!!
そうなりますが、これは正面図は描いても描かなくても分かるから省略しているんです。
こんな図面も沢山あります。
不必要にごちゃごちゃ描き過ぎても、図面が見えづらくなるので出来るだけシンプルにしたいのです。
ちなみに、実線で描いているのは目に見えている線。
点線で描いているのは、実際には目に見えていない線を表しています。
もちろん、他にも書き入れるべき情報などはありますが、それはまた今度ということで。
実際に出来上がる立体図はこんな感じです。
左右の側面がそれぞれ違う形になっている場合などは、6面展開のように図面が描かれていることがあります。
これは、加工間違いが起こらないようにするためで、必ず3面や2面しか書かないということはありません。
sponsored link穴をかく時に注意すること
部品図をかく時に、穴加工を指示する場合は3つの穴を使い分けられるようにしておきましょう。
3つの穴については「部品加工の図面に描く『穴』は3種類」の記事で説明してありますので参照してください。
穴を加工する方法はドリルだけではありません。
軸のはめいあいや圧入をする穴なのか、ボルトを入れるだけの穴なのかなど使用目的によって、加工方法も変わります。
なので、穴のかき分けについても意識するようにしてください。
本当は公差管理が必要な穴なのに、指示がないのでドリル加工して使い物にならなかった・・・
ということがないようにね。
丸い形の図面の書き方も基本はサイコロの展開図と同じこと
これまではサイコロを例にしていたので、四角い物を描くポイントについて言及しましたが基本的に丸いものでも三角の物でも、多角形の物でも同じことです。
上から見た絵
正面から見た絵
右横から見た絵
が必要であり、場合によっては下から見た絵、左から見た絵などを加筆していきます。
「Φ」という記号が登場しましたが、これは「直径」という意味で「ファイ」とか「パイ」とか呼びます。
なので、この図面だと一番大きいところが直径80ミリということになります。
半径で表記したい場合はR40と書きます。
これで半径40ミリ(直径80ミリ)という意味になります。
立体図はこんな形です。
まとめ
図面の基本中の基本について書きました。
図面には寸法に対する公差や面粗度、平行度、直角度、真円度などなど書き入れようとすれば情報はたくさん書けますが、必要最低限のことさえ書いてあれば問題なく加工できます。
まずは、形状認識が正しくできる図面づくりをしてください。