最近は零細企業でも中国メーカーへ部品加工依頼をするのも珍しくなくなりました。
日本各地で行われる展示会にも中国メーカーが出展していたり、中国メーカーから直接DM(ダイレクトメール)が届いたりすることから、中国メーカーとの直接やりとりが増えたことが背景にあるのではないかと思います。
かく言う弊社も中国メーカーとのお付き合いは、かれこれ10年以上になるか・・・
中国メーカーに依頼するメリットはいくつもありますが、デメリットももちろんあります。
その1つが支払いです。
本稿では、中国メーカーへの加工代金の支払いについて、実際にやってみると分かる面倒くさいことを紹介しておきます。
海外送金には必要書類が多い
海外送金で面倒なのが、何よりも必要とされる書類です。
実を言うと、利用する銀行によって要求される書類(内容)が若干異なる場合があります。
弊社も全ての銀行のことを知っているわけではなく、あくまでも経験の中でしかお伝えできませんが概ね差異は無いものと思ってもらって結構かと。
必要なものは基本的には以下の3点です。
- インボイス(製品を輸入するときに相手側から出される出荷内容を記載した書類)
- 送り状(航空便であれば追跡番号が記載された紙)
- 輸入許可書(船便、航空便に限らず必要)
インボイスについては、注意点があるので別記事を参照してください。
中国メーカーとの取引を始めるにあたって、中国メーカーを見つけることの次にハードルとなるのが海外送金(支払い)の時にそろえる書類が面倒であることです。
ややこしそうだな。。。と思ってしまう場合は、弊社のように中国メーカーと取引している日本の会社に仲介してもらう方が簡単かもしれません。
深セン市や東莞市など南のエリアの中国企業と取引するときの注意点
中国は国土が広く北から南のエリアまで、さまざまな地域に企業があります。
どの地域の企業と取引をするかによって、海外送金に問題が発生することを経験したのでご紹介しようと思います。
まず、北部にある大連や中部にある上海、青島などは問題が発生することは少ないかったです。
過去に大連にある企業に海外送金するとき、北朝鮮が近いということから送金したお金が北朝鮮に流入するのではないか?みたいな問題が大きく広がり、銀行側で送金手続きを渋られた経験がありますが、2024年現在では特に問題なさそうです。
一方、2023年に大きく問題になったのが南のエリアの中国企業との貿易です。
深センや東莞は地域的に香港のすぐそばです。
なので、これらの地域の企業は香港に子会社(実質はペーパーカンパニーだと思う)を作り、香港の銀行に口座を持っていることがほとんどです。
問題は香港の銀行口座なんですよね。。。
どういうことかと言うと、中国企業から請求が来ると香港の銀行口座に送金して欲しいと依頼があるわけです。
理由としては、中国本土の銀行口座に振り込むと中国側で税金がたくさん取られてしまうからだそうです。詳しい内容については調べていませんが、こちら側としては別にどこの口座でも送金はかまわないのです。
ところが、問題は日本の銀行側の事情です。
マネーロンダリングって言葉を聞いたことがありませんか?
一般に、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関等による収益の発見や検挙等を逃れようとする行為と説明されています。
要するに、中国本土にある企業に依頼しているのに、支払いを香港の銀行にするのはおかしい(日本政府から怪しまれる)という理由から、香港の銀行口座への支払いを日本の銀行が拒絶しているのです。
弊社が取引している銀行では、もう、何をしてもダメでした。海外送金できない!
支払いしたいのに、支払えないという・・・
香港って中国なんだけど、中国じゃないような複雑な問題が残っていますよね。
色々と国際問題が起こっていることはご存知かと思います。
これが解決されるまでは、難しいのではないかなと。
海外送金の解決策
海外送金ができないままだと、未払いになって困ります。
そこで色々と調べたところ、楽天銀行なら海外送金ができそうだと。
ということから、急いで楽天銀行で法人口座を作りました。(もちろん、海外送金ありきでの申し込みです)
今では何とか送金ができるようになり、取引が続けられていますが今後も同じような問題が起こらないか心配です。
これから海外メーカーと取引をしようと考えている方は是非ともご注意くださいね。