「大阪は名古屋よりも部品加工が安い」は本当か?大阪町工場の本音

町工場

大阪は名古屋よりも部品加工が安いよね

 

私が知る自動車産業関連の部品加工をしている多くの知人は、まるで何かの呪いにかかったかのようにこう言います。

あくまでも、私が主に加工している部品は自動車産業が多く、ほかにも半導体装置や製鉄関係、産業機械装置関係など色々やってますが、やっぱり最も多いのは自動車関連部品です。

自動車は日本の基幹産業の1つですからね。

 

そんな自動車産業において、大阪や愛知県で部品加工をしている町工場の人間ならば、「大阪は安いよね」というのを一度は聞いたことがある、もしくは言ったことがあるかもしれません。

実際、大阪の会社の営業マンが愛知県に営業に行くと「名古屋は高いわwww」とぼやいていますね。

 

しかし、大阪の町工場の人間から言わせてもらえば

そんなことねぇし!!!!

と言いたいのが本音です。

 

私の個人的な反論は一旦置いておいて、何故、大阪の部品加工は安いと言われるのか?

とりわけ愛知県の加工屋の方々は知りたくてうずうずしているのでは?(笑)

 

先日、知り合いの愛知県の加工屋が今度、大阪に来ると連絡がありました。

その時、うちの会社を訪問したいと言うのです。

その理由こそが、どうやったら大阪のように部品加工を安くできるのか秘訣を教えて欲しいということでした。

 

秘訣なんて言われてもね・・・

 

ということで、この記事では大阪の町工場で部品加工業者を営んでいる私が、大阪の部品加工費が愛知県よりも安くなるとされる理由について、私なりに考察してみたいと思います。

大阪は愛知県より物価が安いから部品加工費が安いのか?

部品加工をするためには、様々な費用がかかります。

工具、油、材料費、家賃、光熱費、人件費。

 

これらの費用が大阪よりも愛知県の方が高いということであれば、納得できるところも多少はあるかと思います。

しかし、実際には物価の違いというのはほとんどありません。

決して大阪が安いということは無いですから、部品加工費に諸経費が転嫁されている違いによって価格差が出ているとは考えにくいところです。

 

じゃあ、なんで大阪は愛知県より金属加工が安いの?

大阪の町工場には安く部品加工をする【秘密】がある?

人件費や光熱費、物価にそんな差がないのに何で??

なにか ”ウルトラC” があるんじゃないかと思っている人もいるかもしれませんよね。

 

「ウルトラC」って表現、古っ!!!! 何それ!?

と思った人は、調べてみてください。

必殺・奥の手という意味です(笑)

ここで私の意見を言わせてもらうと、大阪の町工場にはウルトラCはありません・・・

あるわけないじゃないですか。

みんな、どれだけ短時間で効率よく加工できるかを考えて考えてコストダウンをしているんです。

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大阪は町工場が密集しているから価格の競合意識が高い?

まず、多くの人が真っ先に考えるのは、東大阪のように町工場が密集しているエリアで競合激しく仕事をしているから、大阪は部品加工が安くなっているのでは?ということです。

確かに、東大阪は町工場がたくさん集まっていますので、競合はあるかもしれませんが、東大阪の中だけで激しく競合し合っているということは私の知る限り、ない。

 

大阪も全土に加工屋があります。

北摂、泉南、河内、東大阪、大阪市、南部・・・

それぞれの地域で、傾向として得意な加工分野があったりはしますが、それらを見極めて仕事依頼の相談ができる営業マンや経営者がすごいと言えるのではないかと私は思うのです。

 

大阪に限らず、それぞれの会社が持っている加工設備と加工者によって、得意・不得意な加工があります。

「できないことはないけど、何とかやれる」よりも「そんなの、いつもやっているから」という仕事の方が安くできそうですよね。

 

大阪では、小さな町工場が多くありますが、雑多なジャンルの加工屋が集まっているということもあり、仕事を依頼する側としては「この仕事は、あの会社に頼めば安くやってくれる」という情報をいかに集めるかに尽きるということです。

何でもかんでも安いと思ったら間違いですね。

自動車産業部品の仕事の商流は大阪の方が下流にあるから安い?

日本の自動車メーカー最大手のトヨタ自動車は愛知県に本社があります。

それに付随して、デンソーやアイシンなど自動車部品を多く手掛けている超大手企業も愛知県にある。

 

なので、愛知県には自動車部品を担っている大手商社や加工業者がたくさんあります。

自ずと、仕事の流れは愛知県から大阪にということになるので、必ずしもではないですが大阪で自動車部品加工を受けている町工場は、3次、4次、5次の下請けになっていることが多いです。

そのため、愛知県の業者からすれば同じ愛知県の加工屋に仕事を出すよりも大阪の方が安くなると感じるのかもしれません。

 

実際、値切られて値切られて、仕方なく頑張っている加工屋は大阪に多いですけどね。

 

最近は、愛知県の大手商社から直接仕事の依頼を受けている大阪の会社も増えているようですが、以前、私がアイシンのとある部署のGM(グループマネージャー)から直接話を聞いたところ、あまり近畿方面に直接取引している加工業者は無いとのことでした。

あんなデカイ会社であるアイシンがね・・・という話だったのですが、ある意味、大阪はチャンスがあるのかも。

 

まとめ

大阪は愛知県より部品加工が安い。

これは幻想でしかありません。

 

大阪は愛知県よりも加工費が安いと思っているのは、その仕事を得意としている会社にうまく依頼できているからに過ぎないです。

どこに頼んでも安いというわけではないです。

 

大阪は部品加工業者が多く集まった地域である割には、トヨタ自動車のような大手自動車メーカーと言えるのは池田市にあるダイハツくらいしかない。

そのため、仕事の商流が深くなりやすく、価格もシビアになりやすいというだけです。

 

しかし、それは大阪の町工場の一面でしかありません。

安く加工できる業者というのは、どんどん減っている気がします。

というのも、安く加工できていたのは年配の小さな町工場があったからという状況もあったりするからですが、その年配の方々もどんどん会社をたたんでいます。

 

今後、大阪は安いという印象が変わってくるのではないかと予想されのではないでしょうか。

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